2026年8月4日、シンガポール紙・聯合早報は、先進半導体の重要拠点である台湾が「第三国を経由した迂回輸出ルート化」と「技術・人材の流出」という2つの安全保障リスクに直面する中、台湾政府が法整備や国際連携を通じて規制強化を進めていると報じた。
記事は、米司法省が今年3月、東南アジア経由で中国へ25億ドル(約3900億円)規模のAIサーバーを不正転送した罪で米PC周辺機器メーカー・スーパーマイクロの共同創業者らを起訴したことを受け、台湾の捜査当局も本格的な捜査を開始したと伝えた。
そして、捜査の過程で台湾当局が同社の関係者を拘留したほか、半導体大手エヌビディアのシニアマネージャーが顧客審査を不正に通過させ、規制対象であるハイエンドAIチップ「B300」を中国へ流出させていた疑いを突き止めたと紹介。東南アジアなどの第三国を経由する迂回ルートや内部関係者の不正を通じ、対中輸出規制の網を潜り抜ける手口と構造が顕在化したと報じている。
また、「技術・人材の流出」については、台湾半導体受託生産大手TSMCで起きた産業スパイ事件に言及。同社の元社員が香港籍の人物と共謀して中国での起業を計画し、社員の引き抜きを図るとともに、21件に及ぶコア技術・営業秘密文書を不正に持ち出していたと伝えた。
さらに、単なる技術文書の持ち出しにとどまらず、キーパーソンなどの人材を経由して実質的な技術移転が図られるリスクについても言及した。
記事は、リスクへの防衛策として台湾政府が2022年の国家安全法改正で「国家核心キーテクノロジー営業秘密」条項を新設して罰則を強化しており、TSMCの事件に初めて同条項を適用して起訴したと紹介。このほか、先進AIチップの規制組み入れに向けて米国との協議を重ねているほか、主務官庁へ新たな法的ツールを付与する制度調整が進められていることを伝えた。
その上で、こうした規制強化や審査体制の厳格化に伴い、企業におけるコンプライアンスコストが増大する懸念があると指摘。国家安全保障の強化と自国半導体産業の競争力維持というトレードオフの課題において、台湾当局の舵取りが試されているとした。(編集・翻訳/川尻)











