社会政策や貧困対策の研究者であり、英国のロイヤル・ソサエティ・オブ・アーツおよび社会科学アカデミー会員、オックスフォード大学グリーン・テンプルトン・カレッジ名誉教授で、北京師範大学の教授も務めるロバート・ウォーカー氏はこのほど、世界の多くの国を対象とした世論調査で、中国への好感度が米国を上回った現象を解説する文章を発表した。以下はその内容。

米ワシントンに本部を置く権威ある世論調査機関のピュー研究所が2026年春に実施した調査によると、対象にした36の中高所得国のうち大半の国民が、米国より中国を肯定的に捉えていた。また20カ国の調査では、中国の国家主席が国際情勢で正しい対応をとると信じる人の数が、米国の大統領への信頼を上回った。中国への肯定的な見方の中央値は2023年の32%から46%に回復し、インドネシア、ケニア、マレーシア、ナイジェリア、パキスタン、スリランカといった中所得国では好感を示した人が75%を超えた。

米国国民の中国に対する好感度は変遷してきた。シカゴ・グローバル評議会が実施した1978年の調査で中国への「感情温度計」は44度で、かなり厳しい評価だった。しかしギャラップが1989年2月に実施した調査によると、米国国民の72%が中国に好感を示した。この調査時期はいわゆる天安門事件が発生する4カ月ほど前で、中国については改革開放の推進が多く伝えられていた。

しかし、米国国民は中国が社会主義制度を維持することに気づくと、態度は冷え込んだ。また、新型コロナウイルス感染症の流行も関係して、米国における中国に対する2020年にかけて好感度は急落した。米中の競争や大統領選での過激な発言が影響し、2024年の「感情温度計」は過去最低の26度を記録した。

ギャラップとピューの調査結果からは、米国国民の中国に対する態度は2023年に底を打ったと言える。2023年には中国に否定的な見方を持つ米国国民が84%だったが、2026年には61%に減少した。

一方で、肯定的な見方をする米国人の割合はほぼ倍増して27%に達した。

2026年春のピューの20カ国を対象とする調査では、中国へ肯定的な見方を持つ割合の中央値が2023年の32%から46%に上昇し、否定的な見方は同じく58%から36%に低下した。また、欧州や中南米、アジアの多くの国で、中国への好感度が過去最高水準に達した。ギャラップの130カ国調査でも、2025年の中国のリーダーシップへの支持率中央値は36%となり、米国への支持率を5ポイント上回った。世界的に中国の指導力が評価される傾向が明確に示された。

対照的に米国の指導力への信頼は低下している。対象36カ国の70%以上が、トランプ大統領のガザやイラン、ウクライナ紛争への対応を支持しておらず、77%が関税措置に反対した。信頼低下はドイツや日本、カナダなどの伝統的な同盟国で最も顕著だ。バイデン政権下の2022年には同盟国の国民は米国を信頼できるパートナーと見なしていたが、2026年にはイスラエルやハンガリーを除き、そのような見方は失われた。

しかし、米国に対する人気低下の要因はトランプ大統領だけではない。2024年時点ですでに35カ国の大半の国民が、中国は自国経済に大きな影響を与えているとの認識を示した。「一帯一路」構想による巨額の投資効果が途上国で現れ、中国の影響力は急速に強まった。

2026年の調査では中所得国の大半で半数以上の大人が中国への肯定的な見方を示し、中国政府が個人の自由を尊重していると考える人も多かった。

中所得国の回答者は国際政策の策定において、中国は他国の利益を考慮するが米国はしないと考える傾向が強い。また、米国の方が他国に干渉することが多く、世界の平和と安定への貢献度も中国に及ばないと認識している。かつて中南米では米国のイメージが良かったが、現在では中国製品が科学技術の象徴として浸透した。米国の関税の脅しや移民制限、中国との関係を弱めるよう求める圧力などが、米国の国際的なイメージを大きく損ねた。

米国内では現在も中国を敵と見なす層が一定数存在し、経済面での中国の影響を否定的に捉える人の割合も大きい。これに対して中国人は反発しており、自国の全過程人民民主を高く評価している。2026年の民主主義認識指数で中国は98カ国中の第9位だったのに対し、米国は35位だった。中国人で米国を友人と考える人は17%にすぎないが、84%は米中の友好関係を望んでいる。同時に米国の覇権に対抗する自国政府の措置を支持する人が大半を占めた。

中国の成人の90%が自国の国際問題への積極的な関与を支持しており、特に国連の枠組みを重視している。米国の現政権が2026年1月に66の国際機関から離脱したのとは対照的だ。

中国国民は国際社会における自国の役割が向上することを強く支持しており、世界の世論もこの状況と共鳴し始めている。世界の地政学的な認識は、中国に対する好感度上昇という明確かつ新たな局面を迎えたと言える。(翻訳・編集/如月隼人)

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