某ラジオ番組の最中、「モーニング娘。」の「ハッピーサマーウェディング(2000年リリース)」が「懐メロ」として紹介されていた。
懐メロと聞くと、70年~90年代初頭あたり、またはそれ以前の曲だというイメージがあったので、少々驚いた。
と同時に、モー娘。全盛期の頃から早10年余りの時間が過ぎていたという現実がにわかに信じがたかった。

懐メロとは、ご存知の通り「懐かしのメロディ」の略であり、戦後のNHKラジオから誕生した言葉だそう。昔に流行った流行歌や名歌のことを指している。この言葉は、もともと1930年代~50年代に流行した曲を指す意味で使われていたようであるが、現在は先に出したモー娘。の例のように様々なところで使われるようになっている。

そこで気になるのは、この懐メロの定義であろう。はたして懐メロにはどのような定義があり、具体的に何年前の曲からといったような決まりはあるのだろうか。

日本レコード協会(RIAJ)の広報部に問い合わせた所、
「懐メロですが、当協会で定めている基準等ございません。懐かしいと感じるメロディーは人それぞれですので、どこから、というのは定義が難しいものかと……」

との回答であった。念のため複数他のレコード会社に同内容を問い合わせたが、回答はほぼ同じであった。独自の基準は一応設けている所もあるものの、具体的に何年を過ぎたら、といった定義はないのだという。

ゆえに、今チマタで使用されている懐メロという言葉は、特に定義もなく、なんとなく使われているのだ。つまり、懐メロというのは、「懐かしい」と感じた時に、懐メロになるという、非常に曖昧で主観的なものだということなのだろう。

某有名カラオケ店では、懐メロという言葉の曖昧さ故に客の誤解を招く可能性があるとして、曲のジャンル分けには「懐メロ」や「懐かしの曲」といったくくりを用いていないそうだ。代わりに、曲を探すための本や電子機器では、「1970年代のヒット曲」や「1980年代のヒット曲」といったように年代別のカテゴライズで対応しているとのこと。
CDを取り扱う某販売店でも同様で「懐メロ」というコーナーや区分けは常設されていないということだった。

このようにその定義こそあいまいであるものの、ある曲を聞いてノスタルジーを感じたのならば、その曲はもう「懐メロ」という事なのであろう。

(あらみり)