9月10日(金)より順次全国公開される映画『達人 THE MASTER』。映画『ゆらり』『こはく』を手がけた横尾初喜監督のオリジナル作品となる本作で主演を務めるのは、お盆芸で活躍するピン芸人であり、近年役者としても活躍の幅を人げているアキラ100%こと大橋彰だ。

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資産家・牧田家の庭先で突如、記憶喪失になってしまった男・達人(たつひと)。覚えているのは「自分が何かの達人だった気がすること」だけ。牧田家の令嬢・静子(安倍萌生)や家政婦の奈津(宮本真希)とともに、自分が何者であったかを思い出すため試行錯誤するが、達人の記憶が戻ったとき、隠されていた計画が動き出す……。

ドラマや映画への出演を重ね、今回が映画初主演となる大橋彰。どんな気持ちで作品に向き合ったのか、主役を演じる上で念頭に置いていたことなどを伺った。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

誰でも肩の力を抜いて観られる作品に

——本作はいきなり主人公が記憶喪失になってしまうコミカルな導入が印象的ですね。脚本を初めて読んだときの印象を教えてください。

大橋:横尾初喜監督からは事前に「コメディの映画を作りたい」というお話を伺っていました。主人公が記憶喪失になってしまう最初のハプニングを皮切りに色々なことが起こって、記憶を取り戻す過程を追っていく物語なんですけど、「すごく面白い脚本だな~!」と思いましたね。

僕、「男はつらいよ」の寅さんが大好きなんですよ。ああいう風に、一人の男の哀愁を描き出すような、主人公を取り巻くさまざまな出来事が起こる作品に心が惹かれます。気まぐれに故郷の柴又に帰ってきては、一悶着起こしつつも登場人物たちとお互いの距離を近づけあう「男はつらいよ」のような、心温まるシーンもある作品になっているので、たくさんの方に楽しんでもらえるんじゃないかと思いますね。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

——主役を演じるプレッシャーはありましたか?

大橋:皆様のご想像通りに、ありましたね、プレッシャーは。映画の主役をやらせてもらえることに対しては、もちろん心からありがたい気持ちですが、それ以上に「僕でいいんですか、監督?」とずっと思ってましたね。

——横尾監督とは、前作「ゆらり」や「こはく」でもご一緒されていますね。

大橋:また横尾監督に声をかけてもらえて、すごくうれしいですね。もう、心からうれしいの一言です。

芸人として番組なりイベントなりに出してもらう中で、同じ方に続けて呼んでもらえることってあまり多くはないんですよ。なので「もう一度一緒にお仕事しませんか?」って声をかけてもらえるのはすごくありがたいことであり、うれしいことですね。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

——井浦新さんとも再共演されていますが、現場の空気感はいかがでしたか?

大橋:『こはく』で濃密な日々を送っていたので、新さんと再共演できるのはうれしかったです。新さんがいらっしゃることで全体に更なるワンチーム感が出たような気がします。

新さんは『こはく』の弟とは全くの別人で、今回も役作りや役への入り込み方がすごかったです。どんなことにも全力で、常に強いこだわりを持って役に向き合ってるんだというのがビリビリ伝わりました。

それに、現場の雰囲気はめちゃくちゃ良かったんですよ! 毎回、横尾監督の現場はとても居やすくて、良い空間なんです。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

撮影は、牧田家のお屋敷内でのシーンが多かったんですが、気心の知れたスタッフさんもたくさんいて……何度か一緒にお仕事させていただいてる安心感も含め、楽しい現場でしたね。

あのお屋敷、すごく良い雰囲気なんですよ。僕も、普段スタジオに行くのとはまた違った心持ちでいましたね。たとえば「チェンジするので待っててください!」ってときも、普通なら控室や楽屋にいったん入るじゃないですか。今回は畳の部屋で足を投げ出して待っていたりとかね(笑)。

——とてもリラックスして臨める現場だったんですね。主人公を演じるにあたっては、どういった役作りを意識されたんでしょうか?

大橋:コメディ要素の強い作品なので、真面目にやってるけどちょっと馬鹿馬鹿しいような……。監督とも相談させていただきながら、観てくださる方がクスッと笑えるような見せ方を工夫しました。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

楽しく笑いながら、肩の力を抜きながら、皆さんに観てもらえたらいいな~と思います。

あと、牧田家のお嬢様・静子と少しずつ心をひらいていくシーンは、達人自身が人間らしい部分を取り戻していくシーンでもあると思うので、是非そこにも注目して観てほしいですね。

自分が何者なのかを知ることができない怖さを、ずっと抱えている主人公

——映画の軸にあるテーマとして、キャラクターひとりひとりが抱えている「孤独」があるかと思います。そこで大橋さんは、達人はどんな人物だと捉えていらっしゃいますか?

大橋:今までの生活にまつわることを全部忘れてしまうのって、よくよく考えてみれば、結構怖いことだなと思うんです。

自分が誰かもわからなければ、それこそ親も兄弟も友達も、恋人がいるのかどうかも、僕くらいの年齢だったら子供がいるかもどうかもわからない。一人でそういう状況になってしまったらと想像したら、とても恐ろしいことだと思うんですよね。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

自分が何者なのかを知ることができない怖さ。それをずっと抱えている主人公なんだと思うんです。

この作品では、牧田家の屋敷で記憶喪失になる事件が起こります。そのままお屋敷に住まわせてもらえる状況になって、色々なドラマが起こっていくわけです。そんな中で人と話せる嬉しさ、自分以外の人とコミュニケーションを取れているっていう状況が、主人公・達人にとっては救いになっているはず。

自分が何者なのかもわからない恐怖心と、誰かもわからないけれど一緒にいてくれる人がいる安心感。このふたつが、達人の中に共存してるんだと思います。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

——芸人としてはもちろんのこと、役者としても着実にステップアップされていますよね。これから「こういう役をやりたい!」といった希望があったら教えてください。

大橋:まず、そう言っていただけるのがうれしいですね。夢見ていた映画に出られるというのは、20歳くらいの自分からしたら夢のような話なので。

ひとまずは、いただけるお仕事をひとつずつ、着実にやらせてもらうことが大事だと思っています。なので「将来はこれをやりたいんです!」みたいな大きな野望は、持ってないっていうのが正直なところなんですよね。

でも、お笑いをやっていることもあって、観てくださる方が楽しめる作品作りが好きなんだなっていうのを、今回再確認しましたね。

ドラマや映画に出させてもらって「いつもと違うね!」と言ってもらえるのもうれしいですし、劇場に出てコントをやってみなさんに笑ってもらえるのもうれしいですし。

アキラ100%こと大橋彰の映画初主演作『達人 THE MASTER』「皆様のご想像通り、プレッシャーはありました」

また、映画やドラマのコメディは真面目にやればやるほど、観てる人は面白いじゃないですか。役として追い込まれれば追い込まれるほど面白い、みたいな。いろいろな面白いパターンがあると思うので、ひとつでも多くの作品に携わって、面白さを追求していけたらうれしいですね。

(撮影/HITOMI KAMATA、取材・文/北村有)

【あらすじ】
両親を事故で亡くし心を閉ざしている資産家・牧田家の跡取り娘、静子。 祖父が遺した豪邸で家政婦・奈津と二人で暮らしていた。

ある日、奈津が窓から落としてしまった鉢が、偶然通りかかった男の頭を直撃。男は命に別条はなかったものの記憶喪失になってしまう。奈津は事故の責任を感じ、記憶が戻るまで男を牧田家で面倒を見ることを提案する。

「俺は何かの達人だった気がする…」男の言葉をヒントに、記憶を戻すための作戦!?が始まった!

一体男は何の達人だったのか。そして男の全ての記憶が戻った時、静子や奈津をも巻き込むある計画が動き始める。

【予告】


【基本情報】
出演:大橋彰(アキラ100%)
安倍萌生/宮本真希
榊英雄/山口森広/織田あいか/中山祐太/秋山勇次
森下能幸/井浦新
※榊英雄の「榊」は木へんに神が正式表記

監督・原案:横尾初喜
脚本:森ハヤシ / 横尾初喜

https://tatsujin-the-master.com/