以前、「畳ビズの歌」を紹介したとき、畳の持つ可能性や奥深さについて再認識したのだが、そんな畳業界にまたもや気になるニュースが!

昨年から、信頼できる畳職人の証として、畳職人に「畳ドクター」という称号を与える取り組みが始まっているそうなのだが、この「畳ドクター」がついに1,000人を突破。今年は「畳ドクター匠の技全国選手権」を開催し、特に斬新な畳施工アイデアや、画期的な取り組みを行った「畳ドクター」を対象に最優秀賞などを決定、発表したのだ。


さっそく、その詳細について、全国畳産業振興会PR事務局に話をうかがった。

まず、受賞者の選定について。これは事前に、「畳ドクター」による畳替えを体験した一般客から、「感動した“畳替え事例”」を募集。応募されたメッセージの中から、全国畳産業振興会が審査し、「最優秀賞」、「優秀賞」、「ユニーク賞」を決定したのだとか。

そして今回、最優秀賞に選ばれたのは、栃木県の「畳ドクター」石川敬一さん。様々なオリジナルの“畳替え”を提案している石川さんは、自社で開発したカラフルな「モダン乱敷き(らんじき)畳」の中でのカラフルなデザインの部屋が評価されての受賞となった。

ちなみに、石川さんの会社では、通常の敷き方に属さないものを総称して「乱敷き」と呼んでいるそうで、「乱敷き」は本来、リフォーム等で変形した和室など、やむ負えない現場の状況で仕方なく行う敷き方だそう。ところが石川さんはあえて、その「乱敷き」をデザインとして取り入れ、よりオシャレでモダンな和室を演出する提案をしているのだ。

広報担当者によると、「石川ドクターが開発した『モダン乱敷き畳』は、現在、石川さん主催の「モダン乱敷き畳 施工店の輪」に加盟している全国約10件の畳店でも取り入れられており、遠くは広島・島根の畳店でも、これらの施工が注文できるのです。『モダン乱敷き畳』は、これからの畳の新市場(需要)開拓に最も繋がるものだと確信しています」とのこと。これからますます注目を浴びていきそうだ。

また他に、優秀賞に選ばれたのは、介護用としても使える「洗える畳」を提案した島根県の「畳ドクター」齋藤純一さんと、畳のヘリを特に若い女性向けのピンク色で提案する、宮城県の「畳ドクター」小平秀樹さん。
いずれも、ありそうでなかった畳の提案で、今後需要も増えそうな予感。

ちなみに、「畳ドクター」認定の条件は3つ。職歴10 年以上、1 級・2 級技能士などの有資格者、そして、人当たりが良くやる気がある(いずれか)に当てはまる職人だそう。現在、全国の畳店の数は約9,400件といわれており、全国の「畳ドクター」の数は1,162人(2010年5月10日現在のデータ)。地域別に見てみると、一番多い宮城県は120名! ところが東京は意外にも6名と極端に少ない。畳職人が都内に減っているからだろうか? するとこんな返答が。

「東京には畳店は多いのですが、確かに『畳ドクター』は少ないですね。この記事をご覧になられた方は是非、畳職人仲間の方と一緒に『畳ドクター』に申請してくださいね!」

おっしゃるとおり、東京の職人さんたちにもぜひ頑張っていただきたい! ちなみに、全国で畳ドクターのいる店舗のリストは、全国畳産業振興会のウェブサイトにて掲載中。「そろそろ畳をかえてみたい」、「今までにない畳にチャレンジしたい」などと考えている人は、ぜひ参考にしてみてほしい。
(田辺 香)
編集部おすすめ