「クールジャパン」という言葉があるが、具体的にどんな事例があるのでしょう。例えば日本のアニメを愛好し、ドラゴンボールやエヴァにハマる外国人。よく、聞きますよね。映画でも、そんな例はあるみたい。深作欣二の作品に突き動かされたタランティーノや北野武にインスパイアされたケン・ローチなど。

では、音楽界に目を向けてみましょうか。かつては坂本九やYMOが、最近ではPerfumeやビジュアル系バンドらが海外での評価を獲得している。きゃりーぱみゅぱみゅにも、海外に熱狂的ファンは多いと聞いてます。

そして新たに、彼女らが加わったか!? 8月21日に発売されたAKB48の新曲『恋するフォーチュンクッキー』が、不思議な盛り上がりを見せているのです。

ちなみに、この動画の存在はご存じですか? なぜかAKB48グループのスタッフたちがメンバーに代わって踊ってみせた「恋するフォーチュンクッキー STAFF ver.」なるミュージック・ビデオを。センターは指原莉乃でも大島優子でもなく、AKB劇場の戸賀崎支配人が務めております……。そして、これがなぜか大反響。Youtubeにて、瞬く間に300万回再生を突破したそうなのです。

この動きに触発されたのは、なぜかアメリカ人。テキサス在住のデヴィッド・リャオ・ジュニア氏(31歳)は、日本、アメリカ、アイルランド、イギリス、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、スウェーデン、スペイン、中国、フィリピン、フランス、ベルギー、マレーシアと14カ国のファンに呼びかけ、『恋するフォーチュンクッキー』の“ファンバージョン”を作成し、ネットにアップしてみせているのです。

ちなみにデヴィッド氏がAKBファンになったのは、2007年。『軽蔑していた愛情』PVを観て衝撃を受けたのが、全ての始まりだったとか。
「『恋するフォーチュンクッキー』スタッフバージョンのMVを観た時、『これはたくさんの人が覚えて楽しむのに良い振りつけなんだ!』と気づき、冗談半分でネット上のコミュニティーに『いつファンバージョンを作る?』と呼びかけました」(デヴィッド氏)
そこからデヴィッド氏は、各地のファンから映像の取り寄せを始める。ガイドとなったのは、前述のスタッフバージョン動画である。
「完成には3週間程かかりました。ファンの人たちがそれぞれのビデオ撮影に時間をかけたことが、大きな理由です。友達と一緒にグループショットを撮ったり、面白い場所に行って撮影をする人たちもいました」(デヴィッド氏)

では、その動画を実際に観てみましょうか。どうぞ!


……どうですか。もう、そのバリエーションの広さったら! 自宅内やアーケード、剣道場や階段の踊り場、飲食店のカウンター内と、そのシチュエーションが雑多過ぎる。中にはエッフェル塔の前で踊るフランス人や、福岡ヤフオク! ドームの前で踊るアメリカ人まで!!

もちろん、カメラに映るダンサーの幅の広さも尋常ではない。老若男女どころか、肌の色も髪の色も瞳の色だって違う。私服姿の人もいれば、扮装してるファンだっている。人数だって、雑多です。一人で踊るファンもいれば、大勢で息を合わせてダンスするファンだって負けてない。そして、気付いたことが一つだけあるんです。皆、一様に踊りのレベルが高いんだよな……。確かにデヴィッド氏の言う通り、「たくさんの人が覚えて楽しむのに良い振りつけ」なのかもしれない。

では、本家の感想を聞いてみましょうか。同曲のセンターを務めるこの人が、動画への感想をコメントしてくれてます。
「最初聞いた時は、とてもビックリしました。オリジナルのTシャツやパーカーやポスターなど貼ってあって『世界中のたくさんの方に応援してもらえてるんだ』と、改めて思いました。可愛いダンスをこれからもたくさんの方々に知ってもらって、恋するフォーチュンクッキーが好きになってもらえればと思います」(指原莉乃)

ちなみにこの動画は8月16日午前4時より公開されており、同日の18時現在で23万回再生を早くも突破! 日本国内以外のファンも目にしている動画なのかもしれないです。
「AKB48のファンは世界中にいるので、アメリカ以外の様々な国からビデオが届いたこと、それからたくさんの女性ファンがビデオを送ってくれたことも、とても嬉しかったです。それは、AKB48が影響を与えているのは男性ファンに留まらないからです。AKB48を目標にしてがんばれる若い人たちは、たくさんいると思います」(デヴィッド氏)

世界中のファンの協力によって完成したこの作品が、海外におけるAKB熱の高さを伝えてくれるじゃないですか!
(寺西ジャジューカ)
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