「クルマの消臭力」(エステー)の新発売を記念し、スタートした自動車プレゼント企画。「人生で一番“クサかった”クルマのニオイ」のエピソードを投稿すると、人気車種「ハスラー」(スズキ)が当たる。
当選車には同商品のパッケージを模したデザインが施されている。さらに、3台のうち、1台は完全オリジナルカラーだという。“世界に一台しかないクルマ”を作るのはどれぐらい大変なのか。スズキ自販東京・執行役員の臼木康之さんに聞いた(前編はこちら

手作業でコツコツ仕上げる匠の世界



──オリジナルカラーのクルマを作るのはやっぱり大変なんですか? 
臼木 そりゃあ、もう! なんといっても、今回はエステーさんのヒヨコマークにも使われている、あの黄色を再現するわけですから。門外不出の色番号を教えてもらい、色を調合したんですが、色番号で同じでも紙に塗るのと鉄板やプラスチックに塗るのとでは大違い。こりゃあ、慎重に色合わせをしないと大変なことになる、と緊張しました。まあ、実際に調合するのは現場の職人さんですけど。

──実際の塗装の工程はどういう流れなんでしょう。
臼木 まず、白のハスラーを用意し、ドアの取っ手やフロントのバンパー上部など外せるパーツはいったん外します。色を塗り重ねられるよう、ボディ全体に特殊な加工を施すのと同時に、塗装しない部分は塗料が付着しないよう、マスキングします。塗装が一通り終わったら、ライトを当て指定の色になったかどうか目視で確認。必要があれば、再度塗り直します。
「黄色いクルマは当分の間、作らないと思います」自動車プレゼントの裏側インタビュー2
余計な色がつかないよう、しっかりマスキング

「黄色いクルマは当分の間、作らないと思います」自動車プレゼントの裏側インタビュー2
手作業で慎重に塗装していく

「黄色いクルマは当分の間、作らないと思います」自動車プレゼントの裏側インタビュー2
理想の黄色を目指し、繰り返し塗り重ねる

「黄色いクルマは当分の間、作らないと思います」自動車プレゼントの裏側インタビュー2
ライトを当てて色味をチェック

──た、大変そうです。
全部手作業じゃないですか!
臼木 完全に“匠の世界”ですよ。私なんかがのこのこ出て行って「この色味はもうちょっと明るくならない?」なんて口を出したら、「帰ってくれ」と怒られちゃう。塗装を終えた後、しっかり色が定着するまで待ち、その上でデザインシートを貼るという作業にかかります。納期に間に合うか心配でしたが、なんとか無事、完成にこぎつけることができました。

──ちなみに、オリジナル塗装を自分でオーダーしたら、費用はどれぐらい?
臼木 車種にもよりますが、きちんと塗装しようと思ったらやはり、何十万円もかかってしまうでしょうね。つい先日、お客さんから「ボンネットに2本太いラインを引いて、屋根とミラーを黒く塗り替えたい」というご依頼をいただいたんです。それだけでもたしか、40万円ぐらいかかったはずです。

──高っ! でも、数十万円で世界で一台のクルマが手に入ると思えば……。
臼木 今回はプレゼントですしね(笑)。エステーさんから「黄色も欲しい」と言われたときは正直、オレンジでいいじゃないかと思ったんです。そのほうがコストも手間もかからないし、納期に遅れる心配もないからお互いいいだろうと。でも、こうしでできあがってみると、やっぱりシトラスイエローも作ってよかった。
職人さんたちが頑張ってくれたおかげで、いい色に仕上がったと思います。


"黄色のハスラー"が今後、登場する可能性は「まったくありません」



──今後、ハスラーのラインナップに「シトラスイエロー」が加わる可能性は?
臼木 まったくありません。うちのクルマでいうと、「スイフトスポーツ」という車種のイメージカラーが「チャンピオンイエロー」なんです。なので、黄色いクルマは当分の間、作らないと思います。

──当選したら、“幻の1台”に乗れるわけですね。
臼木 ぜひ、いろいろな場所に出かけていただきたいです。ハスラーはジャンルを超えて遊べるクルマだと思います。ドアを開けておりてきたとき、テニスラケットを持っていてもいいし、釣り竿も似合う。尖ったファッションを身につけていても絵になります。なので、くれぐれも転売はしないよう、お願いしたいです(笑)

──今回のキャンペーンでは「人生で一番”クサかった”クルマのニオイ」のエピソードを募集しています。ちなみに、臼木さんのクサかった思い出は?
臼木 クルマで灯油を運んでいるときに、車内にこぼしてしまったことがあるんです。どうもフタがきちんとしまってなかったらしく、チャッポンチャッポンと揺れるたびにこぼれ、足元に灯油がしみこんでしまったんです。
ニオイをとるのが本当に大変でした。マットをはがして拭き掃除をしても、消臭スプレーをかけても全然ダメ。完全にニオイが消えるまで数ヶ月近くかかったんじゃないかな。

──どうやってニオイを消したんですか。
臼木 ひたすら換気です。じつはこぼした直後に、乾かしたら何とかなるだろうと暖房をガンガンかけたのもまずかったらしく。クルマに詳しい部下に相談したら「暖房なんてかけたら車内にニオイが充満しちゃいますよ」と。家族には文句を言われるし、部下には笑われるし……ひどい目にあいました(笑)
「黄色いクルマは当分の間、作らないと思います」自動車プレゼントの裏側インタビュー2
オリジナルデザインを施す前の「ハスラー」(アクアブルー)と臼木執行役(撮影:落合星文)

今回のキャンペーンで全国から寄せられた「人生で一番”クサかった”クルマのニオイ」エピソードは約3万1700通を突破した(2015年5月20日時点)。応募締切は2015年5月31日でWEBや郵送のほか、Twitterでも応募できる。
(島影真奈美)
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