それにしても、「ひよっこ」の劇中、肝心のオリンピックはテレビのモノクロの画面の向こう側で、あっけなく終わってしまった。それがかえって「田舎」と「東京」の遠さを表していたようにも思う。
これまでの朝ドラでも、東京オリンピックはたびたびとりあげられてきた。戦後日本におけるビッグイベントだけに、女の一代記の多い朝ドラに登場するのは当然といえる。ただ、それは50年以上にわたる朝ドラの歴史のなかでも、じつはごく最近の傾向かもしれない。朝ドラで東京オリンピックが重要な題材に扱われ、その前後の時代が舞台となったのはおそらく、早くとも1989~90年放送の「和っこの金メダル」(重森孝子脚本)がその先駆けではないだろうか(ただし、細かく調べたわけではないので、もしそれ以前に東京オリンピックをとりあげた作品があるなら、ご存知の方にぜひご指摘いただきたい)。
この記事では、「和っこの金メダル」以降、歴代の朝ドラにおいて東京オリンピックがどんなふうにとりあげられてきたかを振り返ってみたい。