オープニングゲスト、元おニャン子クラブの新田恵利さんと泉麻人さん
平成が間もなく終わろうとするこの夏、東京・日本橋三越で8月13日まで「熱く、元気なあの時代 1980年代展」が開催中です。
日本橋三越(画像提供:三越)
日本橋三越 新館7階「1980年代展」入口
イベントの見どころや込められた想いについて、企画した方に聞きました。
なぜ「1980年代」というテーマだったのか
お話を聞いたのはプランナーのユウイチさん。そして『アイドルコレクション80's』という著作もある、日本有数のコレクターであるアーカイヴァーの鈴木啓之さん。今回の展覧会では鈴木さんの資料から400点以上が展示されています。
展覧会を企画したユウイチさん
アーカイヴァーの鈴木啓之さん
『アイドルコレクション80's』(税抜1200円)
まず驚きだったのが、実はこの企画は2年以上前から進められていたとのこと。その間に、バブリーダンスのブームや、平成の終了の発表があり、まさに「機が熟した」感じになったそうです。
テーマである「80年代」をテーマにした意味は、ユウイチさんの話では大きくふたつ。ひとつめは今の時代、普通にあるものの原点があること。携帯電話などの生活用品から、東京ディズニーランドや無印良品といったお店まで、今では日常に溶け込みあることが当たり前。そして暮らしを豊かに楽しくしているモノやコトが生まれた時代でした。
ふたつめは、熱くパワフルな時代であること。「時代をあらわす」と言われるファッションだけでも、JJガールやポパイ少年、DCブランド、ニューウェーブ、渋カジ、ボディコンなど、多様化やサイクルの加速が生まれ、活気がみなぎっていました。
閉塞感があふれている現代の日本人に、当時の活気にふれ元気になってほしいとの思いから、企画が進んだそうです。(時代を象徴するファッションたちも、すべてパネルと共に展示されています!)
JJガールとポパイ少年のファッション(画像提供:学校法人文化学園 ファッションリソースセンター)
DCブランドのファッション(画像提供:学校法人文化学園 ファッションリソースセンター)
渋カジのファッション(画像提供:学校法人文化学園 ファッションリソースセンター)
渋カジファッションの展示
懐かしさも、新しさもある「1980年代」の見どころ
一番元気になってほしい40~60代の人にとっては懐かしさがありますが、逆に10~20代の人にも新鮮味を感じる興味深い展示が多数です。例えば暮らしに関するエリアでは、今とはまったく違うオーディオ製品やパソコンがズラリ。
(おみやげ売り場には、今となっては逆に最新なレコードプレーヤーも販売されていました)
こちらは最新のレコードプレーヤー
特別なものを紹介しているだけでなく、当時普段使いしていたものが展示物になっているという面白さがあります。ただ1つ2つは家から発掘できても、それが体系づけられズラリと並んでいる姿は圧巻です。
当時小学生だった筆者に刺さったのは、ゲームやマンガのエリア。ファミコンやキン消しなど。今もリバイバルブームになっているものもあれば、「うちのタマ知りませんか?」「ゾイド」など当時を思い出してグッとくるものも並びます。
そして「青春カルチャー」のゾーン。スポーツ分野からは、今回の展示の目玉のひとつでもあるプロレスアイテム。チャンピオンベルトや、本物の初代タイガーマスクのマスク(!!)など、藤波辰爾さんからのご提供です。
なお期間中の8月12日(日)には、藤波辰爾さんと蝶野正洋さんによるトークショーも開かれます。1980年代はプロレスが平日のゴールデンタイムで放映され、視聴率が高かった時代でした。今のプロレス女子などのブーム再熱も、パワフルを求める歴史が繰り返しているのかもしれません。
また芸能・音楽分野も負けていません。
まず鈴木さんのアーカイヴの中から、レコードが150枚! 松田聖子さんやおニャン子クラブなどはもちろん、YMOなどのテクノポップ、大瀧詠一さんや山下達郎さんらのシティポップのジャケットもズラリ。
特に大瀧詠一さんのジャケットを描いたことで知られる永井博さんのイラストは、当時を知らない若者や海外からも高く評価され、今また熱い注目を集めています。今回のイベントでは、永井博さんの原画の展示・販売がされています。
永井博さんの展示
永井博さんの原画など
そしてここからもすごい。台本、映画のポスターなどのお宝グッズのほか、テレフォンカード、チラシの数々が並びます。今回のイベントの総合監修をした、コラムニスト・泉麻人さんのコレクションからは、マドンナやマイケル・ジャクソン、さらにはマイク・タイソンのボクシング試合まで! 「よくぞ残っていた!」と思うものが多数。友達と行った際には、これを見ながらいくらでも会話ができそうです。
車のカタログなども展示され、当時憧れていたオトナのデートを見ることができました。さらに出口近くの特設のお立ち台では、バブリー気分で記念撮影もできちゃいます!(あの扇子も自由に持てちゃいます)
お立ち台と黒服
お立ち台といえば、あの扇子!
「1980年代」の魅力を語ろう!
イベント初日には、おニャン子クラブの新田恵利さんと、泉麻人さんがオープニングゲストで登場。「携帯電話やパソコンが、大きく無骨だった」といった懐古話から、「一家にテレビが一台の時代だったので、アイドルファンは同年代の若者だけでなく、家族ぐるみで応援してくれることも多かった」など芸能界ならではの考察まで語っていました。
携帯電話を振り返る新田恵利さんと泉麻人さん
アイドルの話で盛り上がる新田恵利さんと泉麻人さん
おみやげコーナーでは、その泉麻人さんの著書『80年代しりとりコラム』(税抜1200円)を販売。「ドラクエ」「エリマキトカゲ」「激辛」「ランバダ」と目次を見ただけで、こみ上げてくるものがあります。
泉麻人さんの著書『80年代しりとりコラム』
また、アーカイヴァーの鈴木さんのお店・ミュージックガーデンからは中古レコードが約800枚も販売。DJブームなどから再び脚光を集めているドーナツ盤。今回は500~1000円代のものがメインに販売されているので、この機会に1枚持つのもいいかも。
レコードの数々
他にも、アイドルのプロマイド、復刻版の当時のパッケージの食べ物、ファンシーグッズなどが販売されています。
アイドルのプロマイド
当時のパッケージの食べ物
ファンシーグッズ
ファンシーグッズ
以上、「1980年代展」レポートでした。懐かしいなあと思うものも多かった(アラフォーの筆者は特に)ですが、それだけではありません。今から30年以上前で、設備や情報など今より乏しかった時代であったにも関わらず、パワフルな人・モノ・文化に満ちあふれているものを感じました。日々の暑さに疲れている方もいるかもしれません。平成最後の夏、ぜひパワーを注入しに出かけてみませんか?
【熱く、元気なあの時代 1980年代展】
<会場>
日本橋三越本店 新館7階催物会場
<会期>
2018年8月1日(水)~8月13日(月)
午前10時~午後6時30分(午後7時閉場。最終日は午後5時30分まで)
<入場料>
一般・大学生800円、高校・中学生600円、小学生以下無料
<特設サイト>
http://www.mitsukoshiguide.jp/80s/
(高柳優/イベニア)
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