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京アニ『聲の形』山田尚子監督「気を使ったり同情したり、何なら可哀想だと思ったりするのは大間違いだ」

大きな話題を集めた2度の読み切り掲載を経て、2013年8月〜2014年11月まで『週刊少年マガジン』で連載された大今良時『聲の形』を映画化。京都アニメーションの山田尚子監督にとって3本目の劇場作品となった

(c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

きょう7月31日21時より、日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』で映画『聲の形』が放送される。エキレビ!では、2016年9月の映画公開時に本作品の監督を務めた京都アニメーション山田尚子氏にインタビューを実施、前後編に渡ってお届けした。今夜の金ロー放送前に読んでいただきたい前編、そしてネタバレありの後編(放送終了後に掲載します)を再掲する。

『聲の形』監督は『映画けいおん!』『たまこラブストーリー』でも高い評価を得た京アニ山田尚子

小学生の時、クラスのガキ大将だった石田将也は、転校生の西宮硝子が聴覚障害者だったことに興味を惹かれて、からかい始める。しかし、それがエスカレートしたことが問題となり、ある出来事をきっかけに、今度は将也がクラスの中で孤立してしまう。その後、心も耳も閉ざして日々を過ごしていた将也だったが、転校した硝子を探して、5年ぶりに会うことを決意する……。

監督を務めるのは、『映画けいおん!』『たまこラブストーリー』でも高い評価を集めた京都アニメーションの山田尚子。インタビュー前編では、将也と硝子への思いなどを聞いていく。

キャラクターたちの根っこをきちんとすくっていきたい

──最初に原作の『聲の形』を読んだ時の印象を教えてください。

山田 初めて読んだのは、監督のお話をいただいた時です。6巻くらいまで出ている状態だったのですが、ものすごく愛の深い作品だというのが第一印象でした。だから、監督という形で、この作品に携われることを率直に嬉しく思いました。

──原作は全7巻ですが、この内容を約2時間の映画1本にまとめる際、最初にどのようなプランなどを考えたのでしょうか?

山田 とにかく、人の真心の部分をフィーチャーして、そこに集中して描いていこうと思いました。それができていて、作品のコアな部分としてちゃんと機能すれば、1本の映画にできるんじゃないかなって、ふわっと考えていましたね。まだ、7巻分の原作を1本にまとめるのが大変かどうかすらわかっていない状態でしたが、脚本は経験豊富な吉田玲子さんですし、きっと何か突破口を見つけてくださるだろうと思っていました。

全体の大まかなプロットは、吉田さんたちと話しながら最初に作ったものからほとんど変わっていません。ただ、そこから先の作業は本当に大変で、死ぬかと思いました(笑)。

──小学生の時の将也はいじめっ子ですし、描き方によっては、観る人に嫌われる主人公になる危険もあったと思います。描き方には、気を使ったのでは?

山田 『聲の形』という作品について語られる時、聴覚障害を持った子へのいじめなどのシリアスな部分を取り上げられることが多い印象もありました。でも、私はあまりそういう作品だとは思わなかったというか、そこはこの作品の本質ではないと思ったんです。だから、将也が硝子をいじめるというか、興味を持っていろいろとやっちゃうところも、ちゃんと将也の行動の理由がわかるように描きたいと思いました。

他にも衝撃的なシーンはあるのですが、そういうところも面白がって描くことはしたくなかったです。(目立ってしまう)悪い面ではなく、キャラクターたちの根っこの部分をきちんと、すくっていきたいなと思いました。

京アニ『聲の形』山田尚子監督「気を使ったり同情したり、何なら可哀想だと思ったりするのは大間違いだ」
退屈だった小学生の将也にとって、耳が聴こえない硝子は出会った時から強く興味を惹かれる存在。最初は「もっと上手くやらないと、ウザがられちゃうんじゃねえの」と心配もしていたが……

(c)大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

──私には、将也と同じようなことをした経験はないですが、単なる好奇心がおかしな方向へと転がっていってしまう感情の流れは、理解もできてしまうというか。「自分がそうなる可能性はゼロだ」と言い切ることもできないなと感じました。

山田 私もそうですね。将也にとっては、硝子との出会いがとてもセンセーショナルだったのだと思います。将也のやったことは「すごく悪いことで汚いことだ」とだけ描いてしまうと希望も何もなくなってしまう。将也の感じた気持ちは多かれ少なかれ、誰にでもある感情のはずなので、それをすべて完全に否定したくはないなと思いました。

──でも、高校生になった将也は、過去の自分を完全否定しています。

山田 そうなんですよ。本人があそこまで自分の過去を否定しているのだから、他人がさらに追い込む必要はないのかなとも思いました。

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