唐沢寿明『24 JAPAN』ぞわっとする怒涛の展開 事件の輪郭が見えてきた明け方5時〜6時
イラスト/AYAMI

それぞれのエピソードがつながった『24 JAPAN』6話

「総理大臣になりたいか」
「もちろんよ」

【前話レビュー】丁寧に描かれる登場人物の心情 画面分割の演出で受けるスリルもMAXに

アメリカ大統領総選挙は不正があるとかないとかぐだぐだしているが、『24 JAPAN』(テレビ朝日系 毎週金よる11時15分〜)にも激戦区情勢マップを背景に、首相候補・朝倉麗(仲間由紀恵)と情報屋・上州(でんでん)が真剣トーク。朝倉サイドも、朝倉暗殺計画を阻止すべく動く獅堂サイドも、暗殺組織サイドもヒートアップ。日の出も過ぎて、第6話は明け方5時〜6時。


はじまりはまだほの暗い午前5時前半。函崎寿々(柳美稀)の容態が急変して不安な六花(木村多江)に、寿々が狙われている可能性があると告げる獅堂(唐沢寿明)。彼は目下、陳元(渋谷謙人)が始末を依頼されたらしき遺体を車のトランクから発見、これが暗殺計画に関係あるかもしれないと、CTUに戻り、水石(栗山千明)南条(池内博之)に遺体を託しているところ。それから病院に向かう、大忙しの獅堂。

やっと病院につくと、寿々の容態は持ち直したものの依然、不安なまま、麻酔で寝ていて話すことができない。父・獅堂 対 父・函崎(神尾佑)の小競り合い。

その頃、美有(桜田ひより)は、神林(高橋和也)が銃殺した剛(犬飼貴丈)の遺体を埋める研矢(上杉柊平)の手伝いをしていた。神林に、美有と寿々をつれてこいと言われていただけだったのがこんなことに……と愕然とするばかりの研矢。美有のほうが開き直って強く、研矢を叱咤する。

断崖絶壁に立たされる巨大な運命を背負った仲間由紀恵がいい

獅堂も朝倉も子供のことが心配。任務と子供が微妙に関わっている。

獅堂は、美有の深夜デートが何者かに仕組まれたものだったと踏んでいる。そして麗は、上州や夫・遥平(筒井道隆)が、彼女を首相にするために、子どもたち…日奈(森マリア)夕太(今井悠貴)の悲劇を隠蔽していることにいいしれぬ不安と憤りを覚える。


「隠蔽よりスキャンダルのほうがまし」という潔癖な麗。選挙参謀・孫さんこと、長田孫六(綾田俊樹)を呼び出し相談する。

長田は知性があり落ち着いて、頼れそうな人物。冷静にマイナスをプラスに転じさせようとする。

「有権者は真実と誠意に味方するものだ」
「君は逆に悲劇のヒロインになる」

長田「総理大臣になりたいか」
麗「もちろんよ」

仲間由紀恵がいい。日本の代表となる目前に、子供たちの事件が日本中に広がるかもしれないという断崖絶壁に立たされる巨大な運命を、感情的になり過ぎずに、堂々と演じている。決してドライでなく、情も滲ませながら。こういう人が本当にリーダーにいたらいいなあと思うが、実際政治にかかわったら、もっと薄汚れてしまうんだろう。どちらかというと、麗の雰囲気は国民に安心感を与える皇室タイプか。

唐沢寿明『24 JAPAN』ぞわっとする怒涛の展開 事件の輪郭が見えてきた明け方5時〜6時
次回7話は11月20日放送。画像は番組サイトより

とんでもない事実を知る六花…ぞわっ

一方、獅堂は、六花にそっと耳打ち。首相暗殺計画を調べている獅堂を阻止するために美有が狙われ、寿々はその巻き添えになったことを。

政治も事件も、家族ぐるみで抱えていかないとならないから、家族になったらさぞ大変であろうと他人事として楽しんでしまう。

ここまででまだ5時32分。
5時から30分で次から次へとヘヴィな出来事が積み重なっていく。水石は無残な状態の遺体の身元を調べているし、カードキーのパスワード調べている明智(朝倉あき)にまで助けを頼む。CTUの人はそれぞれの任務のエキスパートでありながらなんでもできないとならないようだ。CTUも人手不足?

明智は2時間経っても解読できないので、助っ人で第2支部局の暗号解読係・マイロ(時任勇気)が登場。彼は明智にとって目の上のたんこぶらしい。

マイロはボリボリ、ナッツを食べながら現れる。軽い感じだが、きっと有能なのだろうという雰囲気。マイロを演じる時任勇気は、『監察医 朝顔』(フジテレビ)のお父さん・時任三郎の息子。今期は父子ともに、注目作への出演となった。

無残な遺体のそばで、パソコンをカタカタやってる明智が、お気の毒。こんなシチュエーション、酷すぎる。

そして、5時41分、また殺人。
この展開は、本家『24』ですでに観ていても、うわっ、ぞわっとなる。未見の人はぜひ味わってほしい。

その頃、獅堂は神林から連絡を受け、娘を預かっていると脅され、指示に従い病院をあとにする。神林にずっと監視されていたスリル。ここでもまた、画面分割が、監視カメラ映像が入って効果的だ。ケータイを捨てさせられて、六花が電話してももう出られない。

函崎の車に乗って外に出た六花にかかってきた電話は獅堂でなく、水石から。そこで六花はとんでもないことを知る。

6時。いつの間にか、外は明るくなっている。これまで暗闇に包まれていた事件の輪郭が少しずつ見えてきた。

美有は父がきっと助けてくれると信じている。
本家だと真逆のパスワードで、娘は父の助けを信じるにしても若干ドライな雰囲気を醸している。対してJAPANの美有は劇伴も合わせてかなりウェット。彼女の気持ちは彼女のケータイのパスワードが「LOVE PAPA」であったこと(第1話)が裏付けになる。ここが本家とJAPANの大きな違いだ。
(木俣冬)

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番組情報

テレビ朝日系
『24 JAPAN』
毎週金曜よる11:15〜

番組サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/24japan/
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