『ロマンス』で「第70回岸田國士戯曲賞」(白水社主催・公益財団法人一ツ橋綜合財団後援)を受賞したダウ90000の蓮見翔が、11日に都内で行われた授賞式で“岸田賞との因縁”をユーモアたっぷりに語った。過去には選評に対してYouTubeで悪口を言ったこともあったというが、「散々悪口を言ってしまった手前、引くわけにもいかない」と覚悟を決めて新作に挑戦。
『ロマンス』は、ダウ90000の演劇公演として、2025年5月14日~18日に初演された作品。蓮見は、今回が3度目のノミネートでの受賞となった。
初めて「岸田國士戯曲賞」にノミネートされたのは、2021年に上演した『旅館じゃないんだからさ』。当時はフリーで活動しており、白水社から届いた「戯曲を送ってください」というメールが迷惑メールフォルダに入っていたことを明かし、「怪しいなと思ったんですけど、戯曲を必要としてる詐欺師も別にいないだろうということで、とりあえず送ってみたら最終選考に残らせていただいて、そこで僕はこの賞を知りました」と、会場の笑いを誘った。
選評では高く評価されながらも受賞には至らず、「テーマがない」という評価も。その後、別作品で最終選考に残れなかった経験を重ねる中で、「この辺からどんどん岸田のことが嫌いになってきて、なんで楽しく終わった演劇は落選しなきゃいけないんだという気持ちになっていきました(笑)」と吐露した。
それでも、今回の『ロマンス』に向き合うにあたり、蓮見は「取るか、出さないか決めようと思った」と覚悟を固めたという。過去の選評に対してYouTubeで悪口を言ったこともあったと振り返り、「これはもう無理かなと思いましたし、自分の芸風で取れる賞じゃないのかもなと思って諦めようと思った」としながらも、「散々悪口を言ってしまった手前、引くわけにもいかない」という心境になったそうだ。
ダウ90000として演劇とコントの両方に取り組む中で、「片っぽでそれなりの結果しか出せないんだったら、片方だけやればいいじゃないかというのもあるけど、やるとしたら両方ちゃんとやろう」とギアを入れ直し、「何か一個、自分の中で自信になるかなと思って、取りたいと思って『ロマンス』を書かせていただきました」という蓮見。
実際に受賞を果たし、「本当にうれしいですし、投げ出さなくてよかったなと思いました」と喜びを噛み締め、「岸田國士戯曲賞がなかったら『ロマンス』みたいな作品は書いていないと思うので、結局悔しいけど、お世話になってしまったなという感じがしています(笑)」と苦笑いした。
受賞による変化もあったそうで、「テレビとか出ている時に、カメラを見てしゃべれるようになりました。
授賞式では、テレビプロデューサーの佐久間宣行氏、俳優の松岡茉優が祝辞を述べ、お笑いコンビの爆笑問題がビデオメッセージを寄せた。また、ダウ90000によるコントも披露され、会場を盛り上げた。
『ロマンス』について、選考委員のタニノクロウ氏は「私たちは無数のロマンスに満ちた世界を歩いている。笑い笑われ、遊び遊ばれ、許し許される。その往復の中にロマンスは潜んでいる。本作は、それを見つけるための優しさを思い出させ、人生の中のロマンスから目を逸らせなくさせる。こんな魔法を待っていたた」と講評している。

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