【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
テレビでやたらと賀来賢人を見かける。「ぐるナイ」「突然ですが占ってもいいですか?」「しゃべくり007」「日曜日の初耳学」「櫻井・有吉THE夜会」他……。
しかも、これまであまり語られなかった叔母・賀来千香子や妻・榮倉奈々の話など家族とのエピソードまで持ち出すサービス精神。案の定、ネットには賀来の話題があふれている。
あまりに出過ぎて本人もわけがわからなくなっているのか、「しゃべくり007」と「初耳学」では福田雄一監督とのエピソードトークがほぼ同じで、デジャビュかと思ったほど。おそらく自身が主演する作品であってもこれほど宣伝に力を注いだことはなかったのではないか。
それも当然か。今回は「製作委員会方式」ではなく、2024年に自身が主演と原案を務めたNetflix「忍びの家 House of Ninjas」の監督だったデイヴ・ボイルと共同設立した映像制作会社「SIGNAL181」が資金を出しているとか。失敗すれば責任は自ら負わなくてはならない。必死なわけだ。
もっとも、視聴者としては「今日から俺は!!」のようなコメディーを全力でやりきる賀来も見たいが、今は俳優業以上にプロデュース業に夢中のように見える。
■山田孝之、斎藤工、大沢たかお、岡田准一、そして真田広之
そうした動きは賀来だけではない。
もちろん、俳優の中には監督や脚本家の描く世界を演じることに徹する人もいる。その一方で面白いと思う企画を自ら立ち上げ、世界へ届けたいと考える俳優が増えているわけだ。
かつて日本の俳優は事務所や製作側から与えられた役を演じた。いわば受け身。しかし、配信プラットフォームの普及で海外のクリエーターが作品作りを主導する姿を目の当たりにし、世界基準の現場に触れたことで意識は変わってきたのかもしれない。
かつては三船敏郎の三船プロ、勝新太郎の勝プロ、石原裕次郎の石原プロなどスターが映画づくりに情熱を注いだ。しかし、その多くは創作への情熱と引き換えに巨額の負債を抱えることにもなった。もっとも、今の俳優プロデューサーは先人より財務諸表にも強そうだ。
情熱だけで突っ走った昭和の映画人が懐かしくも思えるが。
(桧山珠美/コラムニスト)

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