秘書やキャビンアテンダント、女優など様々な職業の人物になりすまし、巨悪を騙す「信用詐欺師=コンフィデンスマン」役を演じ、そのぶっ飛んだコメディエンヌっぷりで女優としての新境地を切り開いた長澤まさみ主演の月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』が、スクリーンで蘇る。

同TVシリーズはもちろん、ドラマ『リーガルハイ』や映画『ミックス。
』など数々の傑作を生み出した吉沢良太が脚本を担当し、fox capture planが音楽を手がける『コンフィデンスマンJP』。長澤扮する主人公・ダー子が狙う、次なるターゲットは香港マフィアの女帝「ラン・リウ」。彼女が持つと言われている伝説のダイヤをめぐり、騙し騙されの予測不能な展開が再び始まる。

ボクちゃん(東出昌大)やリチャード(小日向文世)らお馴染みのキャストに加え、映画ではダー子の弟子として奔走するニューキャラクター、モナコが登場。彼女を演じる織田梨沙のフレッシュな演技も魅力の一つだ。

その力強い眼差しとミステリアスな雰囲気で、モデルとしても注目を集めている織田。撮影中のエピソードはもちろん、「古い洋楽が好き」という彼女のリスナー遍歴にも迫った。

─まずは、人気ドラマの映画版、『コンフィデンスJP』のニューキャラクター、モナコ役に抜擢された心境からお聞かせください。

「うれしい」の一言しかないですね。まさか自分がこんなチャンスを頂けるとは思わなかったです。

─プレッシャーみたいなものはありました?

プレッシャーよりは、「こんな素敵な人たちと一緒に、あの世界観を作り上げることが出来るんだ!」というワクワク感のほうが大きかったです。

─TV版と同様、今回の劇場版も「まさか!?」と思うようなドンデン返しの連続でしたが、脚本を読んでどう思いました?

「えぇ?」って(笑)。
あまり詳しく話すとネタバレになっちゃうので難しいんですけど、ニューキャラクターにしてはモナコの出番って結構多いじゃないですか。そういう意味での驚きもありましたね。こんなに自分が出ずっぱりの作品も初めてだったので。

─主人公ダー子のアシスタントというか、妹分のようなモナコという役柄を演じてみて、何か共感するところなどありました?

自分で言うのもなんですけど、「頑張り屋」というか……「負けず嫌い」とも言えますが、そういうところは似ているかもしれないです(笑)。ダー子という大先輩に、粘り強く張りついていくところにも好感が持てました。それに、「詐欺師の弟子」という設定だったので、ギャルだったり占い師だったり、いろんな人物に扮装したので、なんていうか一つの映画の中で、たくさんの役柄を演じさせてもらえましたね。難しくもあったけど、楽しかったです。

─ストーリー的にもキャラクター的にも、コメディ的な要素が強いところが多かったと思うんですけど、それは大変じゃなかったですか?

この映画は「笑わせよう」とするのではなく、とにかく全力で演じきって、結果「笑える」みたいなシーンが多いんですよね。先輩方もみんな、バカバカしいギャグを真剣に演じていて(笑)。その背中を見て学んだところが多かったです。

─そんな長澤まさみさんや竹内結子さん、東出昌大さんら共演者の方たちの印象は?

長澤さんは、すごく有名な方ですから、会う前は「どんな人なんだろう……」って少し不安な気持ちもあったのですが、実際にお会いしたら本当に優しくて。「心の広い方だなあ」と思いました。
モナコじゃなくても女性として憧れる存在ですね(笑)。「こんな素敵な人になりたいなあ」って。竹内さんはもう……見惚れちゃいますね(笑)。

─最近、ますます美しさに磨きがかかっている感じですよね。

そうなんですよ。あまりプライベートなど存じ上げないからなのか、ちょっとミステリアスなところもあって。それがより美しさを引き立てているなあと思いました。あと、東出さんは興味深い人ですね。いろんな知識を持っているし、好奇心も旺盛でいらっしゃいますし。先日もニュースになっていましたけど、猟銃免許を取得されていたじゃないですか。

─フットワークも軽い方なんでしょうね。今回、香港でのロケが多かったと思うんですけど、それはどうでしたか?

楽しかったです! 二階建てバスの上で、みんなでブルース・リーごっこしたのはいい思い出です(笑)。
ただ、撮影に集中していたので、プライベートで香港を満喫したという感じではなかったかも知れないです。

─ここ数年、アクセスも便利になったのか「香港ブーム」が続いてますよね。

あ、そうなんですか? あんまり日本人の観光客には会わなかったですけど。でも、滞在するホテルについた撮影初日、「屋上にプールがあるみたいだよ、行ってみよう!」ってなって。そこで夜景を眺めたときは「香港っぽいなあ!」と思いました。同じ夜景なのに、こんなにも東京と違うのは何故なんだろう?って。不思議でしたね。その日はちょっと雲がかかっていたので、それがまた光の反射などに影響していたのかも知れない。

─今後も作品がシリーズ化して、モナコもレギュラー・メンバーになるといいですよね?

それ、いろんなところでぜひ言ってください!(笑)

─(笑)。もともとはモデルだった織田さんが、演技に興味を持つようになったのはどんなキッカケだったのですか?

モデルの仕事でお世話になったスタッフの方や、事務所の社長とかに「女優の仕事、向いてるんじゃない?」みたいなことを以前から言われていて。もちろん、その頃から自分自身も映画とか観るのが大好きだったし、その世界への興味もないわけではなかったんですけど、だからと言って自分に向いているとか、女優さんになれるとは思ってなかったんですよね。

─どんな映画が好きだったんですか?

結構、実験っぽい映画だったりサスペンスだったり。
ドラマだったら『THE BLACKLIST/ブラックリスト』や『グッドワイフ』みたいな、スリルがあって頭も使うような作品をよく観ていましたね。

─実際に女優としての仕事をやってみて、最初はどう思いました。

うーん、第一線で活躍されている方たちは、本当にいろんなところに気を配りながら、神経を尖らせながら現場に向かっているんだろうなと痛感しましたね。(映画を)観ているのと、実際に演じるのとでは、当たり前だけど全然違うんだなと。

─僕は、織田さんのことをまだ認識する前、シンガー・ソングライター柴田聡子をフィーチャーした実験的な映画『ほったまるびより』(2014年/監督:吉開菜央/第19回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門新人賞を受賞)を観ていて「この人はなんて目力の強い、ミステリアスな女性なのだろう」って思ったんですよね。

あ、本当ですか(笑)。確かに「目力が強い」はよく言われるし、もちろんいい意味でおっしゃってもらっているんでしょうけど、裏を返せば「目つきが悪い」ってことじゃないですか(笑)。なので小学生の頃とかは「どうなんだろう?」って思ってましたね。

ミステリアスかどうかは自分じゃよく分からないんですけど、割と人見知りで限られた親しい人にしか素顔を見せないところがあるので(笑)、それが「ミステリアス」っていうポジティヴなイメージに変換されているのかもしれないです。

─モデルと女優、二つの仕事を行き来することは、それぞれの活動にどんな影響を与えていますか?

どうだろう……気分転換にはなりますよね。この映画はコメディタッチで楽しかったですけど、以前出演させていただいた映画は割と暗めだったので(笑)、モデルの仕事でリフレッシュ出来たりはしましたね。

─Base Ball Bearの「不思議な夜」(2015年)や大橋トリオの「SHE」(2017年)など、ミュージック・ビデオにも出演されていますけど、ご自身は音楽を聴くことは好きですか?

普段は結構、古い洋楽を聴いていますね。
エルヴィス・プレスリーとか。小さい頃はずっと『フルハウス』(NHK教育で長年放映されていたシチュエーション・コメディ番組)を観ていたので、そこで流れていた洋楽に興味を持って。

─ああ、なるほど。プレスリーの「Cant Help Falling In Love」や「Love Me Tender」、ショッキング・ブルーの「Venus」、シュープリームスの「Baby Love」など、いわゆるオールディーズがたくさん流れていましたよね。

そうなんです。エルヴィスとか、私の世代が聴いてもかっこいいなって思いますね(笑)。あとは、シンディ・ローパーも大好きですし、最近は『ボヘミアン・ラプソディ』を観て「自分で作った曲を、自分の”ソウル”で歌うことの素晴らしさ」に感動しました。そんな感じで、洋楽を聴くことが多くて、あまり日本の音楽は詳しくないんです。

─いつも音楽は、どんなところから情報収集しているんですか?

やっぱりYouTubeですかね。お気に入りの音楽から、関連でどんどん掘っていく感じ。それで出会った音楽を、移動時間や家で何か作業をしている時、お風呂でリラックスしたい時などに聴いていますね。

─休日などんなことをして過ごしています?

友達と遊びに行ったり、趣味でやっているクラシックバレエをやったり……。
今、興味あるのはレコード・ショップですね。私、レコードプレーヤーを持っているんですよ。それでエルヴィスやアンドリューズ・シスターズなどを聴いているんですけど、やっぱりCDとかネットで聴くのとは雰囲気が違いますよね。きっと「アナログ・レコードで聴いている」っていう行為そのものに心地よさを感じている部分もあると思うんですけど(笑)。

─それも大事な要素ですよね(笑)。

そうなんです。クラシックバレエの影響でクラシック音楽も好きだし、フランスのシャンソンやブラジルのボサノヴァなんかも好きなので、そういうのもレコードで聴いてみたい。なので、機会があればぜひレコード・ショップへ行きたいですね。

─目指している人はいます?

目指すというか、憧れている人はたくさんいますね。たとえばオードリー・ヘップバーンもマリリン・モンローも大好きなんですけど、全く違うタイプの女優さんじゃないですか。それぞれのいいところを、自分なりに取り入れながら「自分らしさ」を見つけていけたらいいなと思っていますね。あと、作品を観ていると「頭が良くて、強い女性」に惹かれることが多いので、いつかそういう役もやってみたいです。

織田梨沙
1995年11月12日生まれ。2012年、モデルとして雑誌、広告などで活動を開始。2015年より、フライングボックスで俳優としての新たなスタートをきる。2016年公開映画『秘密 THE TOP SECRET』にてヒロインに大抜擢されスクリーンデビューを飾り、2017年公開映画『STARSAND-星砂物語-』では初主演を務める。2019年5月17日公開の映画『コンフィデンスマンJP』では新キャスト・モナコ役で出演を飾る。

<INFORMATION>

プレスリーをアナログ盤で聴く女優・織田梨沙、ミステリアスな雰囲気に隠された素顔

©2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会

『コンフィデンスマンJP』
5月17日(金)全国東宝系にてロードショー
監督:田中亮 脚本:古沢良太
製作:フジテレビ・東宝・FNS27社 
音楽:fox capture plan
出演:長澤まさみ、東出昌大、小手伸也、小日向文世
織田梨沙、瀧川英次、Michael Keida、前田敦子、佐津川愛美、岡田義徳、桜井ユキ
生瀬勝久、山口紗弥加、小池徹平、佐藤隆太、吉瀬美智子、石黒 賢
竹内結子、三浦春馬、江口洋介
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