パンク/ニューウェイブとの”早過ぎた”関係
近年のブライアン・セッツァーしか知らない世代の人たちに「ストレイ・キャッツはパンク/ニューウェイブの流れから登場したバンド」と言っても、ピンと来にくいかもしれない。初期ストレイ・キャッツの音源を網羅したアナログ4枚組ボックス・セット『Runaway Boys』が発売された今、時代の最先端にいた当時の彼らの歩みを、改めて振り返りたいと思う。
ファンにはよく知られていることだが、ストレイ・キャッツ結成以前の70年代後半、ブライアン・セッツァーはブラッドレス・ファラオスというニューウェイブ・バンドに在籍していた。ニューヨークのマクシズ・カンザス・シティなどに出演し、ブロンディの鍵盤奏者、ジミー・デストリがプロデュースしたコンピレーション・アルバム『Marty Thau Presents 2×5』にも2曲提供している。当時の方向性はオールディーズ・テイストをまぶしたニューウェイブという感じ。モダン・ポップ志向のメンバーと、ルーツ・ミュージックに造詣が深かったセッツァーとの間で、次第に溝が生まれていったようだ。