3月5日に都内で共同記者会見を開き、トライアルHDは亀田晃一社長、西友は野村優執行役員最高財務責任者らが出席した。2社は単純合算で売上高1兆2014億円(前期=トライアルHD7179億円、西友・本州事業のみ4835億円)、営業利益426億円(前期=トライアルHD191億円、西友・同235億円)に拡大し、営業利益率は3・6%となる。会見の説明資料によると、売上規模は国内の小売業で6番手に浮上する見通し。
トライアルHDは、発祥の地である九州を地盤に本州・北海道へと店舗網を広げ、祖業であるITを活用した施策も推進、24期連続で増収を達成している。ディスカウント主体の「スーパーセンター」「メガセンター」「smart」「小型店」と複数のフォーマットによる出店拡大に加え、M&Aも行ってきたが、今回の西友取得で大きな飛躍を遂げることになる。特に西友は人口集積地の関東を中心に242店舗を展開。すでにドミナント化され一定の収益性を有しており、その事業基盤とノウハウを吸収できるメリットは大きい。
加えてメーカーとの関係強化によるコスト低減、「みなさまのお墨付き」「食の幸」などプライベートブランド(PB)の拡充も視野に入れる。両社合計のセントラルキッチンは11施設、プロセスセンターは10施設、物流センターは50施設。
当面の出店戦略には関東エリアの地盤強化を掲げ、西友の大型店周辺に小型店舗「TRIAL GO」を積極的に配置、エリアシェアを高める。
会見では「米国ウォルマート流の経営で明暗が分かれた2社をどう融合させるのか」との指摘が出たが、トライアルHDの石橋亮太取締役(トライアルカンパニー社長)は「われわれはウォルマートの手法を研究しデータやITを積極的に活用してきたが、あくまで日本流に置き換えて地域のお客様のニーズにフィットさせることを目指してきた。今後は西友と一緒になることでITによる流通改革をさらに加速させていける」と展望した。
中長期の目標について、同社の永田洋幸取締役(Retail AI代表取締役CEO)は「まずは西友の優れた人材や企業文化との融合を最大限に図っていく。その上で将来的な目標を組み立てていきたい」とコメント。西友の野村執行役員は「当社の業績や人材を評価していただいた。今後のビジョンや価値観も共通しており、お客様に喜ばれる店づくりや商品開発でシナジーを発揮していきたい」とした。
都合で会見を欠席した西友の大久保恒夫社長は「両社は食品が強みのスーパーや大規模店を展開し、総菜やPBも強化するなど多くの共通点がある。相互補完しながらさらに発展していける」とのコメントを寄せた。