◆京滋大学リーグ 花園大3―2大谷大(8日・京都府太陽が丘)

 花園大の最速155キロ右腕・藤原聡大投手(4年)が8日、京滋大学リーグで大谷大を相手に5回無安打無失点10奪三振の快投を披露した。バックネット裏に巨人、阪神など9球団のスカウトが集結する中、最速154キロをマーク。

巨人・水野編成本部長代理スカウト担当は「上位候補でしょう」と、高評価。同大学初のNPB選手誕生へ、ドラフト会議に向けて最高のアピールを見せた。

 マウンドの背番号18がスタンドの視線をくぎづけにした。花園大・藤原は初回から3者連続三振とエンジン全開。3回も初回と同じわずか13球で打者3人を三振に斬って取った。2回に四球、5回に失策で走者は許したが、二塁も踏ませず、4、5回にも2三振ずつを加えて計10奪三振。「四球を出してしまったところに、まだまだ自分の甘さはある」。圧巻の奪三振ショーを披露しながら、まず反省の弁が口を突いて出た。

 今季初戦となった1日の明治国際医療大戦も、7回2安打6奪三振で、無失点の好投。それでも満足しないのが、プロの高みを見据える右腕だ。レベルの差を実証するため、この日は打者との「3球勝負」を自身に課した。最速154キロの直球と得意のスライダーを駆使し、3球三振も3つ。

「早いカウントで勝負したことが球数が減ったことにつながっている」と、5回を61球で片付けた。

 4日にプロ志望届を出してから初めての登板。「緊張する。いつもと違う感覚」と漏らしながら、マウンドではおくびにも出さなかった。巨人はスカウト4人態勢で視察。水野編成本部長代理スカウト担当が「真っすぐも速いし、変化球も言うことない。上位候補でしょう」と、高評価すれば、ヤクルト・小川GMも「投球フォームやボールの質、すばらしいという言葉しか出てこない」と絶賛の嵐だった。

 花園大は1993年のリーグ加盟後、春に2度の優勝があるが、秋はまだない。「初の秋優勝と秋の神宮出場を達成できるように頑張っていきたい」と語るエースの夢は「支配下選手でのプロ入り」。チームの栄冠とともに、同大初のプロ入りを実現させる。(藤田 芽生)

 ◆藤原 聡大(ふじわら・そうた)2003年11月20日、三重・伊賀市生まれ。21歳。

玉滝小1年時に「阿山ブルーファイヤーズ」で野球を始める。阿山中では甲賀リトルシニアに所属し遊撃手。水口(滋賀)では1年秋からベンチ入りし、3年春に投手に転向。花園大では1年春からベンチ入りし、2年春に全日本大学選手権出場。昨秋の明治国際医療大戦で、リーグタイ記録となる1試合18奪三振をマーク。177センチ、75キロ。右投右打。憧れの選手は西武の今井達也

 ◆花園大(京滋大学野球連盟) 1950年に創立された京滋大学野球連盟は56年から現リーグ名となり、現在12大学が1、2部に分かれて春秋のリーグ戦を行う。1部には花園大、佛教大、京都先端科学大、びわこ成蹊スポーツ大、明治国際医療大、大谷大が所属。佛教大が最多の優勝63度を誇る。花園大(京都市)は1872年、臨済宗妙心寺派によって設立され、1949年に大学化。

野球部は93年に連盟に加盟し、優勝は16年春、23年春の2度。20年3月から、京都成章を98年夏の甲子園で準優勝に導いた奥本保昭監督が率いる。主なOBはお笑い芸人のクロちゃん(安田大サーカス)、徳井義実(チュートリアル)。

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