◆第93回日本ダービー・G1(5月31日、東京競馬場・芝2400メートル、良)

 第93回日本ダービー・G1は31日、東京競馬場で行われ、1番人気のロブチェンがゴール前での競り合いを制して史上25頭目の皐月賞との2冠を達成した。23年に生産された7944頭のサラブレッドの頂点に立ち、松山弘平騎手(36)=栗東・フリー=は、11度目の挑戦でダービージョッキーの称号を手にした。

また、杉山晴紀調教師(44)=栗東=も初制覇となった。

 ダービーの1週前に、松山騎手にインタビューした。2冠を狙う立場として、メディアに引っ張りだこだったが、嫌な顔ひとつせず時間をつくって、1対1で話を聞く機会を設けてくれた。記者と同じ年齢の時に味わった挫折を話してくれた姿が、ひときわ印象に残った。

 「自分はもしかしたら、G1ジョッキーになれないんじゃないかと…」。ドリームバレンチノで挑んだ13年の高松宮記念、ミッキーアイルでは16年の春秋スプリントG1で2着。特にスプリンターズSは頭差で初のビッグタイトルを逃した。当時はデビュー8年目で26歳。「これで勝てないのかと思うところもありましたし、G1は本当に遠い存在だなと思いました」。小学校からジョッキーになりたいと思っていて、夢だったG1での勝利。あと一歩のところで逃すことが続き、理想と現実の間でもがき苦しみ、自信を失う時があった。

 自信を取り戻すきっかけとなったのは、アルアインで制した17年の皐月賞だった。

アルアインはダービーで5着だったが、皐月賞馬のロブチェンでリベンジを果たし、18年目でダービージョッキーの夢をかなえた。

 多忙なところ時間をつくってもらい恐縮しきりだった10歳年下の記者に、「こちらこそ、たいしたお話ができなくてすみません」とほほえんでくれた気遣いが忘れられない。謙虚で誠実な松山騎手が、前人未到の同一馬による牡牝3冠ジョッキーになる姿をこの目で見たいと強く思った。(山本 理貴)

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