◆日本生命セ・パ交流戦 2026 巨人8―2ロッテ(5日・東京ドーム)

 巨人がロッテに快勝し、今季2度目の4連勝を飾った。先発・井上温大投手(25)が最終9回にソトに2ランを許したが、7安打7奪三振2失点でプロ初完投。

5勝目(4敗)を挙げた。打っては4試合ぶりにスタメンに名を連ねた中山礼都外野手(24)が先制犠飛に走者一掃の適時二塁打など自身最多5打点の大暴れ。貯金を今季最多タイの6とし、交流戦はセ・リーグで唯一勝ち越しの7勝3敗で、首位と1ゲーム差の単独3位に浮上した。

 気持ちは切れなかった。最後の打者を仕留めた井上が、少しだけ悔しそうに表情を緩めた。8―0の9回2死一塁。あと1球の場面でプロ初の完封が消えても、必死に前を向いた。最後はカットボールで空振り三振。「初回からいろんなことを考えながら9回までたどり着いて、1試合を完結させられた。すごく自分の自信になった」。111球を投げ7安打、無四球でプロ初完投勝利。大歓声を浴びながら、感慨に浸った。

 味方のミスをカバーして勢いに乗った。初回1死から泉口の悪送球で出塁を許したが、すかさず一塁けん制で走者の逆を突きタッチアウト。以降は「ストライク先行ができた」と、5回まで一人の走者も出さなかった。初安打を許して迎えた1点リードの6回1死二、三塁では「粘り強く低めに集められた」と後続を三ゴロ、二飛に仕留め本塁を踏ませなかった。

 8回終了時点で90球。「9回、ゼロで抑えるぞ」。球場全体から響く「温大コール」に背中を押され、プロ7年目で初となる9回のマウンドへ。2死一塁、追い込んでからソトに投じた150キロの直球が左中間席への2ランになっても後悔はなかった。「悔しいまま次の打者を迎えてしまったけど、冷静にならなきゃなと」。最後はこの日7つ目の三振。5月31日の日本ハム戦(エスコン、0●3)の同学年・竹丸以来、チーム2人目の完投で試合を締めた。

 昨年まで抱えていた「打たれることへの恐怖心」を克服した。

きっかけはオフから始めた熱心な“取材”だった。「先輩、後輩関係なく、いろんな人に話を聞いて。一つも打たれない投手なんていないし、ストライクゾーンに投げない限り試合は進まない。割り切って投げるしかない、とみんなから助言をもらって」。数え切れないほど多くの選手、コーチに話を聞いて回った。アプローチは違えど、皆言うことは同じ。そこで気づいた。「こんなこと思ってもしょうがないな」。考え方を変えると、迷いは不思議と消え、マウンド上では余裕も生まれた。6回以降、毎回走者を背負ったが「相手打線のデータ、映像を結構見ていた。今までよりも明確に、相手の得意、苦手を頭に浮かべながら投げられた」。打たれることはもう怖くなかった。

 プロ7年目で手にした初の完投勝利。お立ち台で「気持ちいいです!」と笑顔を浮かべた左腕は早速、次の目標を掲げた。「最後の最後まで気を抜かずに、あそこをゼロで抑えられる投手になっていきたいと思います!」。向上心を持ち続ける背番号97は、まだまだ強くなる。(北村 優衣)

 ◆高橋由伸Point 井上はいつも通り、直球、変化球とキレは素晴らしかったし、丁寧に投げていた。打線がいいタイミングで効果的に点を取ってくれたが、それもリズム良く投げていたからだと思う。プロ初完封は今後の課題として、今まで完投すらなかったことに驚いた。でも、長いイニングを投げられる投手だし、こういう投球を続けていけば貯金を作れるピッチャーになると思う。以前は序盤に失点するとリズムを戻せない時もあったけど、自分を見つめ直してしっかり成長している。このままエースへの階段を上っていってもらいたいね。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)

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