■【就活企業研究シリーズ】企業業績、従業員数、給与と最近の株価
3月に入り、2020年卒業の大学生による就職活動についての話題を耳にするようになってきました。業界研究や企業研究に時間をかけているという学生も多いのではないでしょうか。
シリーズでお伝えしている「就活企業研究シリーズ」。今回はその中でも一橋大学商学部の卒業生が就職する就職先人数が上位企業の一部について、有価証券報告書をもとに過去5年間の業績動向、従業員数、年間平均給与や最近の株価動向について見ていきましょう。
■一橋大学商学部の卒業生が就職する上位企業ランキング
ここでは、一橋大学商学部が開示している2017年度卒業生(2018年3月卒業)について、就職人数が2人以上の就職先について見ていきます。
- みずほフィナンシャルグループ:7人
- 三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行):7人
- 伊藤忠商事:5人
- 監査法人トーマツ:5人
- 三井住友銀行:4人
- 日本生命保険:4人
- 双日:4人
- 丸紅:4人
- サントリーホールディングス:4人
- アクセンチュア:4人
- ベイカレント・コンサルティング:4人
- 三井不動産:4人
- 農林中央金庫:3人
- 商工組合中央金庫:3人
- アメリカンファミリー生命保険:3人
- 野村證券:3人
- みずほ証券:3人
- 楽天:3人
- 三菱商事:3人
- トヨタ自動車:3人
- 富士通:3人
- 東レ:3人
- 新日本有限責任監査法人:3人
- 日本政策投資銀行:2人
- 三井住友信託銀行:2人
- 住友商事:2人
- 旭硝子:2人
- クボタ:2人
- ソニー:2人
- 日産自動車:2人
- 日本アイ・ビー・エム:2人
- 富士フィルム:2人
- PwCあらた有限責任監査法人:2人
- シンプレックス:2人
- ヤフー:2人
- 新日鉄住金ソリューションズ:2人
- JXTGエネルギー:2人
- オーシャントランス:2人
■就職先企業の業績、従業員数、給与と最近の株価
さて、上位就職先企業について、特徴的な企業の業績動向や従業員数、給与とともに最近の株価を見ていきましょう。
大学に入学する際には自分が勉強したいことがさらにできる大学、また自分の学力や偏差値にあった学校を選ぶというのは熱心に誰もがしてきたかと思います。
一方で、高校生の段階で「大学卒業後にどの企業に就職しているのか」というところまでは気が回らないと思います。ただ、大学を卒業して就職する企業を事前に知っておくというのはよいのではないでしょうか。
伊藤忠商事
同社の過去5年の業績動向を見ていきましょう。
税引前利益は3000から5000億円台での推移となっています。2016年3月期には一時的に落ち込みましたが、その後は増加傾向となり、2018年3月期は5378億円となっています。
また、投資家が注目する当期純利益(同社株主に帰属する)は2000から4000億円台を推移しています。
では、同社の従業員数や給料はどうなっているのでしょうか。
連結での従業員数は10万2086人となっています。また、単体では4285人となっており、単体の平均年間給与は1460万円。単体の平均年齢は41.6歳となっています。
最後に同社の過去1年の株価動向について見てみましょう。
同社の過去1年の株価推移を一言でいえば、レンジ内での推移となっています。下値は1800円割れ、また上値は2200円を超えたレンジでの推移となっています。1年前の株価は2000円程度でしたので、現在の株価水準は1年前と比べてほぼ変わらずといったところです。
双日(そうじつ)
同社の過去5年の業績動向を見ていきましょう。
税引前利益は400から800億円台で推移しています。もっとも2018年3月期は大きく利益を伸ばし、803億円となっています。
また、当期純利益(親会社の所有者に帰属)では、200から500億円台で推移しています。税引前利益と同様に2018年3月期は利益水準を大きく伸ばし、568億円を計上しています。
では、同社の従業員数や給料はどうなっているのでしょうか。
連結の従業員数は1万7917人。また、単体の従業員数は1880人。単体の平均年間給与は1103万円で、平均年齢は41.9歳となっています。
最後に同社の過去1年の株価動向について見てみましょう。
同社の株価は1年前には350円を割れる水準でしたが、その後に値を上げ5月以降には400円台に突入。その後はレンジ内でもみ合って推移しているものの、400円を挟んだ展開が続いています。現在は400円台を維持しています。
■まとめにかえて
ここでお示ししたランキングや企業が必ずしも学生の人気ランキング順というわけではありません。
積極的に採用する企業が結果として上位就職先企業となっている側面もあります。ただ、学生が就職を希望しないことには最終的には就職先にはなりません。その観点からも、採用側の企業と大学生の需要と供給が一致した結果といえるでしょう。
また、注意すべきは連結従業員数と単体従業員数の違いです。たとえば、連結子会社が多い企業は一見すると従業員数が多く見えます。自分がどの会社に応募をしようとしているのかは改めて注意するのが良いでしょう。連結での従業員数が多く見えても、自分が応募している企業の従業員数が少ないこともあります。
最後に、企業研究をする際には、今回参考したような有価証券報告書や決算説明会資料なども参考にするとよいでしょう。決算説明会資料はどの投資家にもわかるように説明がされていることも多く、学生にとっても有益な資料といえます。決算説明会資料はアニュアルレポートほど堅苦しくなく、事業ごとの業績が分かりやすい資料といえます。
【参考文献】
一橋大学商学部「データから見る実際の進路」( http://www.cm.hit-u.ac.jp/career/achievement/ )