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著者の窪田真之が解説しています。

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「 日経平均4万円超え。早ければ2年後と予想する理由 」


日経平均はバブル時高値3万8,915円を超えられるか?

 今日は日経平均株価の短期的な見通しではなく、長期的見通しについて書きます。私は早ければ2年後、遅くとも4年後までに、日経平均はバブル時の高値を超え、4万円まで上昇すると予想しています。


 日経平均が3万円台まで上昇してきたことを見て「バブルだ、もと来た道だ」と言う人がいます。私は平成の構造改革で価値を高めた日本株は、3万円台に乗せてもなお、「割安」と考えています。日本株がバブル相場だった1989年と今では、日本企業の財務内容・収益力・ビジネスモデル・ガバナンスがまったく異なります。


 以下のグラフをご覧ください。これは、日経平均の過去50年の動きと、東京証券取引所の平均PER(株価収益率)を示しています。


日経平均と東京証券取引所の予想PER:1973年1月~2023年8月(18日)


日経平均4万円超え、早ければ2年後と予想する理由
出所:QUICK、東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成

 日本株は1989年にバブルを、その後バブル崩壊を経験しました。世界の株価指数は、古今東西、だいたい1株当たり利益の10~20倍(PER10~20倍)で買われています。1973年の日本株は、利益の13倍(PER13倍)の評価で割安でした。


 ところが、その後、利益はたいして増えないのに、夢だけで株がどんどん上がるバブルがあって、1989年には利益の70倍まで買われるバブルになりました。

このころは、株価も割高でしたが、株価だけでなく、日本の土地も物価も賃金も、国際比較ですごく高くなっていました。


 その後、バブル崩壊で暴落し、平成の構造改革で復活した日本株が今、また上昇トレンドに入ってきています。今は、利益の15倍くらいの評価で、日本株は割安と考えています。株価だけでなく、土地も物価も賃金も、国際比較で日本は割安になったと思います。


 今後、1株当たり利益の増加にともなって、日経平均は上昇し、早ければ2年後に4万円をつけると予想しています。


外国人の買いが日経平均の上昇をけん引

 次に、以下のチャートを見てください。さきほどと同じ日経平均50年のチャートに、外国人投資家が日本株を猛烈に買ってきた三つの局面を書き込みました。

バブル崩壊後、日本株を上昇させてきたのは、いつも外国人投資家の買いです。外国人が日本の構造変化に注目して、日本株を猛烈に買ってきた局面が、バブル崩壊後、3回ありました。


日経平均推移:1973年1月~2023年8月(18日)


日経平均4万円超え、早ければ2年後と予想する理由
出所:QUICK、東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成

 最初は、2005年。小泉純一郎元首相による郵政民営化を争点に、解散総選挙を行って大勝した年です。不良債権処理を終えて、合併・リストラ・構造改革ブームの日本株を外国人が大量に買ってきました。


 次は、2013年アベノミクスが始まったときです。

アベノミクスによる構造改革への期待に加え、異次元金融緩和が始まって、円高に苦しんでいた日本が、急激な円安で競争力を回復したことが評価されました。


 そして、3回目が今年です。日本にインフレが復活して、名目GDP(国内総生産)の伸びが高くなってきたことが外国人投資家に評価されています。万年デフレに苦しんでいた日本に、インフレが復活したことが追い風です。


日本の名目・実質GDPの四半期別成長率推移(季調済・前期比年率):2022年1-3月期~2023年4-6月期(速報値)


日経平均4万円超え、早ければ2年後と予想する理由
出所:内閣府「GDP統計」より楽天証券経済研究所が作成

今後4年間、東証上場企業の1株当たり利益は、年率平均5.8%伸びると予想

 今後4年間、日本株の1株当たり利益がどれくらい増えていくか、こちらが、楽天証券の予想です。


今後4年間、東証1株当たり利益の増加要因(年率平均)


日経平均4万円超え、早ければ2年後と予想する理由
出所:楽天証券経済研究所の予想

 今後4年間、東京証券取引所の1株当たり利益は、年率平均約6%成長すると、予想しています。


 日本企業はこれからも海外でビジネスをどんどん拡大していくので、年率2.2%利益が増えると予想しています。インフレで年率2.3%、さらに自社株買いの効果で1.3%、一株当たり利益が増えていくと思います。合わせて、年率5.8%の成長を予想しています。


 利益増加にともなって、日経平均は上昇し、早ければ2年で4万円に達すると予想しています。


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(窪田 真之)