BTCは昨年10月のピークから5割以上下落し、「冬の時代」を迎えたが、2月のボトムから3割反発している。もう「最悪期」は過ぎたのか、この先まだ「2番底」があるのか、5月の相場を楽天ウォレット・シニアアナリスト:松田康生、通称MATT(マット)が、今後の方向性を分析する。
4月のビットコイン相場
イラン情勢
4月のビットコイン相場は底堅い展開となった。
ホルムズ海峡封鎖は長期化、米イランの和平協議も迷走。市場は原油価格の乱高下に翻弄(ほんろう)されたが、終わってみれば米株は連日の史上最高値、日経平均株価は6万円乗せ、BTCは8万ドルに迫っている。これは何が起こっているのだろうか。
まず2月末に始まったイラン問題だが、4月に入って事態は好転している。
トランプ米大統領はイランのインフラを攻撃する期限とした7日の直前に2週間の停戦を宣言し、21日に無期限で延長した。停戦と言いながらも、イランは実質的なホルムズ海峡の封鎖を継続し、米国はイランに入出港する船を海上封鎖した。
元々、米イラン間には圧倒的な兵力差があり、イランから直接米軍ないし米国本土への攻撃はほとんど見られなかった中、「停戦」とは言っても米国が空爆を控えているというのが実態だ。その結果、この1カ月間はほとんど戦闘は見られていない。
次に海峡封鎖が2カ月近く続いているが、開戦当初などにささやかれていたほどの混乱は生じていないことも挙げられる。
開戦当初、英フィナンシャル・タイムズ紙はカタールの原油価格が150ドルに達すると予想していると報じ、3月末にブルームバーグは、「この状況が6~8週間続けば200ドルに達する」との予想を紹介したが、それから4週間経過してもそうした状況には至っていない。
一部の国でジェット燃料不足などが発生しているもようだが、ナフサ不足で医療器具が枯渇するといった状況には至っていない。メディアと対照的に市場は冷静だ。
これは多分に米国が原油価格の上昇に気を遣っていることも影響しているのかもしれない。トランプ米大統領は高い球を投げて相手を交渉のテーブルに着かせる交渉スタイルを続けてきたが、一方で市場の影響が大きくなると態度を緩める場面がいくつか見られた。
メディアはTACO(Trump Always Chickens Out:トランプ大統領は常に腰が引ける)とやゆするが、市場参加者は「トランプ・プット:市場が下がれば助け舟を出してくれる」とリスクオン方向にベットしているのかもしれない。
また、この交渉は、売り手がとんでもない価格を提示し、買い手が立ち去るところから交渉が始まるスーク(市場)の買い物に似ていて、当初バンス米副大統領が「決裂」と言ってパキスタンから帰国した際には市場は驚いたが、だんだんとこの交渉に慣れてきたことも指摘される。
さらに、米国の逆封鎖が思いのほか効いているという見方もある。原油の採掘は一度止めると再開するのが大変で、イラン国内の貯蔵施設は満杯近くに達しており、切羽詰まってきているとAXIOSは報じている。また5月14、15日の訪中前に米国は一定の成果を挙げたいと考えているとの指摘もある。
この問題の核心であるイランの核開発放棄についての立場に隔たりが大きい中、どのような決着があるのか予断を許さないが、両陣営とも落としどころを探る段階に入ってきた印象もある。
イラン情勢以外のポイント
ETFフローの回復
需給面では上場投資信託(ETF)フローが9営業日連続でプラスとなり、いよいよ底打ち感が増してきた。前回指摘したように、このフローの復活は多分に昨年後半の「金ETF買い」「BTCETF売り」フローの巻き戻しの側面がある。
また、4年サイクルでまだ底打ちは早いとの見方が根強い一方で、従来より想定外の最悪の事態が底打ちのきっかけとなってきた。
2015年1月のBitstampのハッキング、2018年12月のハッシュウォー、2022年11月のFTXの破綻は記憶に新しい。今回のホルムズ海峡封鎖とドバイ空港などへの攻撃はそのブラックスワンに該当する可能性があるとして、底値を拾う動きが出始めている。
4年サイクルのボトムアウト時のBTC相場
また、今回の市況の回復は法定通貨の減価という側面も強い。こういうと昨年10月以降の下落でBTCのインフレヘッジ的な性質は否定されたという見方をする声も耳にするが、それはやや近視眼的だと考える。
こういったマクロな動きはもう少し長い目で見るべきで、例えば金融引き締めや財政緊縮、すなわちコロナ下での緊急対策からの「正常化」が先進各国で否定された選挙イヤーの2024年1月をスタート地点とすると、金は132%、S&P500種指数は47%、BTCは96%上昇している。
BTCは先に走りすぎた分、深い調整をした格好で、足元では先行した金が調整気味で、出遅れていた米株が猛追している格好だ。これを2023年からスタートするとBTCの上昇率はさらに大きくなる。
2024年対比騰落率 BTC(赤)SP500(青)金(緑)
金融政策に関してはイラン情勢、言い換えると原油価格次第だが、ここに来て動きが見られた。米当局が米連邦準備制度理事会(FRB)本部建て替えに関するパウエルFRB議長の捜査を打ち切った。実は、現段階では、この捜査が後任候補のウォーシュ氏の上院承認に関する障害になっており、まだ承認されたわけではないが米金利は急低下した(4月29日時点で米上院銀行委員会がウォーシュ氏のFRB議長指名を承認し本会議採決へ進んだ)。
また、上院銀行委員会は本件をClarity法案審議に優先させており、順調に手続きが進めば、いよいよ同法の審議・採決が進む可能性がある。
昨年7月に下院を通過している同法だが、ステーブルコインの付利を巡って銀行ロビーの強硬な反対に遭い頓挫しているが、5月中に上院委員会を通過しなければ中間選挙前の成立が難しくなるとされている。予断を許さないが、半歩前進した印象だ。
量子脅威
3月のGoogleの論文を機に量子脅威が話題となっている。まだ市場への影響は限定的だが、BTCでもBIP-361として耐量子暗号(PQC)実装だけでなく、サトシ時代の脆弱(ぜいじゃく)なBTCを一時凍結する提案も出てきた。
また、対策に消極的とされた開発の中心人物アダム・バック氏も凍結には反対するものの、今のうちに対策を始めることには前向きとなったもようだ。
実際のところ、現時点で富士通と理化学研究所が製造した世界最高峰の量子チップが256量子ビット、GoogleがBTCの秘密鍵解読に必要とする50万量子ビットには遠く及ばず、3年でその水準に到達すると考える技術者もまれなもようだ。
ただし、天才が現れて実現すると困るから早いうちに対応を進めようという声も多く、Googleも社内の対応めどとして2029年を掲げているに過ぎない。
一方で、15ビットの楕円曲線暗号が量子コンピューターに解読されたとしてBTCの秘密鍵解読が近いといった声も聞かれた。しかし15ビットと256ビットとの暗号解読に必要な計算量は2の241乗、3.5×10の72乗という天文学的な差が存在する。
要はこの問題は基礎知識を仕入れて正しく恐れる必要がある。主なポイントを別稿にまとめたので参考にしてほしい。
▼あわせて見たい
ビットコインは量子コンピュータで消滅するのか?「2029年デッドライン説」の正体とは?
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5月の見通し:BTCはようやく底打ちしたのか?
テクニカル
BTC/USD(日足)
BTCは昨年11月の安値8万ドルでの底固めに失敗し、1月に下降フラッグを下抜けると2月に6万ドルで切り返した。そこから上昇チャネルを形成し、再び下降フラッグの形になるか懸念された。
足元では1月の下落の半値戻し、昨年11月の安値、上昇チャネルの上限が重なる7.9万~8万ドルのレジスタンスゾーンに突入した。ちょうど一目均衡表の雲を上抜け、3役好転の買いサインが点灯しており、うまくこの水準を抜ければ、下降フラッグが否定され、底打ちが鮮明となる。
少し気が早いが、ここを抜けると次の目途は200日移動平均線の8.4万ドル、そして史上最高値からの半値戻し9.3万ドルを抜ければ全値戻しが見えてくる。
アノマリー
BTC/USD 月別騰落率
執筆時点で4月は陽線引けの見通し。これで5カ月陰線が続いた後、2カ月連続の陽線となった。
過去10年のGW中のBTC相場(4月30日対比騰落率)
5月見通し
5月のBTC市場は底堅い展開を予想する。
引き続きイラン情勢次第で、不確定要素が大きいが、フローの回復に加え、新FRB議長選出、Clarity法案の進展と先行きポジティブ材料が散見される。最悪期は脱したという見方が急速に広がっている。
テクニカル的に重要なゾーンに差し掛かっている。ポジティブなアノマリーの助けを受け、うまくこのゾーンを抜ければ、底打ちが鮮明となり、「落ちてくるナイフはつかむな」と買い控えていた投資家のフローが期待される。
4月はモルガン・スタンレーから、独自のビットコイン現物ETF「MSBT」がローンチした。5月は早ければ、米国のチャールズ・シュワブからも、BTC・ETH現物サービスが開始される。
2024年1月のETFローンチ時を見ても分かるように、こうした伝統的な金融機関のチャネルでの販売が始まったからといって、すぐに買いが入るわけではないが、ひとたび風向きが変われば、その爆発力は大きいと考える。
そのきっかけは利下げ再開が有力だが、まずはイラン情勢が落ち着かないと前には進めない。
劇場版「名探偵コナン」の最新作を観てきました!
小学生探偵コナンが難事件を解決していく人気推理アニメですが、過去5年連続で国内映画興行収入トップ5に入る大ヒットシリーズです。
2024年の「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」は第1位、昨年の「隻眼の残像(フラッシュバック)」も「鬼滅の刃」「国宝」に次ぐ第3位でした。我が家では毎年、公開週に観に行くのが恒例になっています。聖地巡礼で野辺山や八丈島を訪れたこともあります。
ただ、好きなのは子どもたちで、ポップコーンを食べ終わるとウトウトし始め、気がついたら事件が解決している…というのがお父さんの定番パターン。
なんだかもったいない気もしますが、大丈夫です。コナンは作品のサイクルが早く、公開から半年もすればDVDが出て、1年後には地上波放送されます。子どもたちはそれを何度も繰り返し見るので、最初に見逃すくらいがちょうどいいんですよね。
お父さんからすると、「なぜ犯人が分かっているのに何度も見られるんだろう」と不思議になります。大ヒットの裏側には、そうしたリピーターの存在があるといわれています。
複雑なストーリーなのに分かりやすい、アクションの迫力、キャラの魅力…いろいろ理由はありますが、「大枠のパターンが変わらない安心感」が、不安心理の強い日本人にはぴったり合っているという指摘もあります。
このコナン最大の謎は、ぜひ名探偵に解明してもらいたいところです。BTCで話題の量子コンピューターの脅威に対しても、コナンくんなら解決策を見つけられるかもしれません。その頃にはコナンくんも少し大きくなっているかもしれませんが。
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(松田 康生)

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