2021年9月、成田空港のA滑走路を這っていたカメが、旅客機の滑走を止めるという珍事が発生。止められた旅客機は、「ウミガメ」の特別塗装が施されたANA(全日空)の超大型旅客機、A380「フライングホヌ」だったこともあり、「カメがカメを止めた」と大きな話題となりました。
それから数年、同様の事象が話題にのぼることはありません。成田空港を管理するNAA(成田国際空港)はどのような対策を取ってきたのでしょうか。NAAに聞きました。
冒頭のアクシデントは、いわゆる「ほのぼのしたニュース」に聞こえます。しかし、NAAと航空会社にとっては、ヒヤリとする出来事といえるでしょう。
もし、旅客機が気づかずにカメを轢いてしまい固い甲羅の破片が散らばり、それが次に離着陸する機体のエンジンに吸い込まれてしまったら……。よく鳥と旅客機の衝突である「バードストライク」は危険と聞きますが、甲羅の破片もこれとまったく同じで、吸い込んだエンジンが壊れたり離陸失敗の事故につながったりしてしまいます。
NAAによると、2013年度から2021年度までにかけ、滑走路やその周辺でカメやカメの死骸を確認したのは実は12回あったとのこと。カメが生息する池も大量の雨水をそのまま空港外に出さない調整池としての役目があり、埋めるわけにいきません。つまり、対策を行わなければ、いつ航空機の発着が危険にさらされてもおかしくなかったと言えるのです。
このため、NAAはカメの滑走路への侵入を防ぐために調査と捕獲を定期的に行うようになりました。NAAに作業の詳細を質問したところ、2022年から2025年にかけては、気温が上がりカメの活動が高まる4月から10月頃にかけて、ひと月に1~4回程度の防除作業を継続的に行ったということです。
それではこれまでの防除作業で、いったい何匹のカメが捕獲されたのでしょう。カメと発着機の遭遇は話題になった2021年9月以降は起きていませんが、NAAによると、最も捕獲されたのは外来種のミシシッピアカミミガメ(アカミミガメ)で、2022から2025年までに合計267匹が確認されました。しかし、2023年以降はA 滑走路北側周辺の池での捕獲数は減り、さらに2025年は捕獲ゼロを記録したとのことです。次に多かったのが、やはり外来種のクサガメで、2022年から2025年にかけて合計26 匹が捕まりました。
このように2025年は、ミシシッピアカミミガメは池で捕まらなかったものの、空港の外へつながる放水路では17匹が捕獲されたとのこと。また気は抜けない状況といえるでしょう。
NAAは、既に2023年5月に侵入経路と想定されるエリアにU字側溝も設置し滑走路への侵入防止へ“多重防護”を図っています。合わせて滑走路や誘導路、駐機場に異常がないか毎日点検する中、カメを見ないかにも気を配っています。
このようにNAAは引き続き、侵入リスクがある箇所へ重点的に防除を行うとしています。こうした取り組みが運航の安全確保につながることを願うばかりです。

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