熊本県の天草空港を拠点とするローカル航空会社「天草エアライン」は、他の航空会社にない非常にユニークなお土産を販売しています。その名も「天草空気」。
商品は手のひらサイズの長方形ビニールパックで、中には天草空港で“採取”した空気が封入されています。価格も440円(税込)と非常に手頃で、天草空港内にある同エアラインの公式グッズ販売店「みぞかショップ」で購入できるほか、同店の通販サイトでも取り扱っています。
さらに面白いのがパッケージ裏面に記載された“成分表”です。
そこには「空気(天草産)」と「塩分」の他に「NOX(窒素酸化物)」の文字が記載されています。じつは、この空気は天草エアラインが保有するATR42-600「みぞか号」がエンジンを回している風下で採取されたものだそうです。
そのため、“天草空港の空気”に加え、「みぞか号」の排気も若干含まれている――という遊び心ある設定になっています。これも「みぞか号の残り香入り」と考えれば、グッズ的には遊び心あるポイントだといえます。
この商品は、遊び心から生まれたジョークグッズです。考案したのは「みぞかショップ」仲次達也店長で、「天草の空気感が好き」という観光客の声をヒントに、「ならば実際に空気を持ち帰ってもらおう」と発想したといいます。
販売当初は「本当に売れるのか分からなかった」と心配もあったそうですが、その後はSNSなどでも拡散されて話題となり、現在では天草エアラインを代表するネタ商品になっています。
もっとも、これまでの販売総数は分からないそうで、「100個以上売れてからは安心して、そこからはちゃんとした数量は数えていません」とのことです。
「天草空気」が誕生した背景には、地方空港ならではの悩みもありました。
天草エアラインによると、当初は一般的な航空会社のように、飛行機や空港名入りグッズといった“真面目な航空会社グッズ”を販売していたそうです。しかし、それらは思うように売れず、一方で、同社が運航するATR42-600「みぞか号」をモチーフにしたキャラクターグッズは人気を集めていました。
「みぞか」とは天草地方の方言で「かわいい」という意味。その名の通り、丸みを帯びた愛らしいデザインの機体は、地元だけでなく大阪・伊丹空港周辺にも熱心なファンがいることで知られています。
実際、天草エアラインのYouTubeチャンネルの統計によると、同チャンネルの視聴者の半分以上は女性であり、航空ファン系コンテンツとしては非常に珍しい特徴だといえます。また、「みぞか」グッズでは、同じシリーズを全種類まとめて“コンプリート”購入するファンや、知人向けのお土産や“推し活”目的で複数購入するケースも多いそうです。
空港の空気を“商品化”するという大胆なアイデアは、地方航空会社ならではの距離感と、「みぞか号」を愛する独自のファン文化から生まれたものだといえるでしょう。

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