≪バス暴走事故≫“白バス運行”示す請求書をテニス部顧問は「見逃していました」「信じていたのでレンタカーとは思わなかった」会見で露呈した杜撰すぎる管理体制と食い違う主張
≪バス暴走事故≫“白バス運行”示す請求書をテニス部顧問は「見逃していました」「信じていたのでレンタカーとは思わなかった」会見で露呈した杜撰すぎる管理体制と食い違う主張

福島県郡⼭市の磐越道で21人が死傷したマイクロバス事故。バスを手配した蒲原鉄道は、レンタカー契約と外部運転手の紹介を求められたと言い、発注した私立北越高校(新潟市)が否定する図式が続いている。

そんな中、2025年度だけで3件、蒲原鉄道が主張するやり方で取引があったことを示す請求書が高校に渡されていたことがわかった。ところが高校は「内容を見逃し、蒲原鉄道を信用していたから外部運転手が来るとは思わなかった」と主張を変えていない。

「レンタカー手配はソフトテニス部だけでなく他の部でも昔から行われていた」

6日朝の事故はマイクロバスが道路脇に突っ込み、車体を貫通したガードレールが直撃し車外に放り出された北越高校男子ソフトテニス部の3年生・稲垣尋⽃(ひろと)さん(17)が死亡する悲惨なものだった。

福島県警が過失運転致死傷容疑で逮捕した運転者の無職・若⼭哲夫容疑者(68)=新潟県胎内市=は蒲原鉄道の営業担当者・金子賢二氏が知人から紹介を受け、初めて会った日に運転席に座らせた人物だ。バスも金子氏が自分の免許で借り出したレンタカーだった。

信じがたい状況に対し蒲原鉄道の茂野一弘社長は、高校から貸切バスでなくレンタカーを使い、ドライバーも紹介してほしいとの依頼を受け、業務ではない“サービス”として行なったと説明。金子氏も「部活の顧問」から「安いもの」で済ませるよう求められたと主張した。

これに対して高校側は7日に灰野校長が会見し、「こうした発言はしていないと(顧問から)確認している」と蒲原鉄道の言い分を否定した。

この対立の中、蒲原鉄道にかつて勤務したA氏は、

「蒲原鉄道が北越高校の仕事を受けるようになって20年以上が経ちますが、今回のようなレンタカー手配は今回乗っていたソフトテニス部だけでなく他の部でも昔から行われていた」

と証言した(#3)。

国土交通省もレンタカー手配が行なわれていたことを確認したなど、蒲原鉄道が主張する状況があったことをうかがわせる報道が続出している。

顧問は「運転してきたバスのナンバープレートを確認しなかった」

そうした状況で高校は10日夜、男子ソフトテニス部顧問の寺尾宏治氏も加わって2回目の会見を開いた。そこで明らかになったのは、部の対外活動時にレンタカーと外部運転手を手配したことをうかがわせる領収証を蒲原鉄道が以前から高校に発行していた事実だ。

寺尾氏は冒頭でこう説明した。

「過去の蒲原鉄道からの請求書を確認したところ、2パターンの請求書がありました。

ひとつは項目に『貸切バス』と書かれた請求書。もうひとつは『レンタカー代、人件費』と書かれた請求書です」

後者の請求書はレンタカー代と人件費の額が分けて記されており、昨年度12回蒲原鉄道を利用したうち3回がこの形式だという。

そして寺尾氏は、

「(貸切バスと書かれた請求書よりも)レンタカープラス人件費となってる方が少しお安くなっておりました」

とも発言した。

通常のバスより安くするためレンタカーと外部運転手を手配したという蒲原鉄道の主張通り、道路運送法違反の「白バス」(白ナンバーバス)営業が疑われる取引があり、その「記録」が高校にも渡っていたことがうかがえる。

ところが寺尾氏はこの取引記録の存在を前にしても、

「私は請求書は総額を確認するだけで、項目は確認をせずに支払いの担当者に請求書を渡していましたので、2パターン存在することについては認識していませんでした」

と主張した。

集英社オンラインは念のため商用でない白ナンバーの車の運転手に報酬を支払うということが違法と認識しているか寺尾氏に確認し、これに寺尾氏は「はい、知っておりました」と即答した。

それでも「レンタカープラス(外部)運転手」を使っていたことにこれまで気づかず、今回の事故当日も若山容疑者が運転してきたバスのナンバープレートを確認しなかった、というのが寺尾氏の説明だ。

「若山様、手当、高速はカードにて、ガソリン」

さらに寺尾氏が「見逃した」という領収証の内容は、当然学校の経理部門もみている。だが部活動を管理する学校の態勢について灰野校長は「安全に関する部分は部活動に任せている部分、部活動の採用に委ねる部分が多かった」と言い出した。

結局、蒲原鉄道はレンタカーと外部運転手を手配したことを経理書類で高校に知らせていたのに、部の顧問は“内容を見逃し、営業担当者を信頼していたのでそんなことはないと思っていた”と主張し、学校トップは“部に任せていた”という状態で蒲原鉄道の主張を否定していたことになる。

いっぽう事故現場にあった若山容疑者のものとみられるカバンの中から「若山様、手当、高速はカードにて、ガソリン」と表書きされた封筒が見つかり、中に現金3万3000円が入っていたと灰野校長は明らかにした。

この現金のうちのいくばくかが、蒲原鉄道から若山容疑者に先払いされた手当であった可能性があるが、蒲原鉄道の金子氏は事故のあった6日夜、

「(容疑者への報酬は)まだ支払ってません。後(あと)に支払いますので。

それに時間によって、拘束時間によって料金違いますので」

と話していた。

金子氏は当時、若山容疑者が実際には所持していない二種免許を持っているとも説明しており、同氏の説明も徹底的な検証が求められる状況だ。

バスは死傷事故を起こす前にも車体を接触させる事故を起こしていた

寺尾氏によれば、6日の事故の前、若山容疑者が運転したバスは死傷事故を起こす前にも車体を接触させる事故を起こし、そのまま走り続けていたと、バスに乗っていた生徒らが保護者に話しているという。

さらに若山容疑者は事故の約1週間前にも運転していた軽乗用車を大破させる自損事故を起こしていた。(#2)

そんな若山容疑者と面識もなかった金子氏は、高校生を乗せて長距離を移動するバスの運転席に座らせた。そんな金子氏を「信頼していた」という部顧問の寺尾氏は、自分はバスに乗らずにマイカーで出発し、事故が起きた時、バスのはるか先を走っていて事故発生も把握できなかった。

あまりに無責任な態勢で生徒が亡くなり、刑事責任の究明も始まったばかりなのに、高校は早くも男子ソフトテニス部の対外試合参加の復帰の検討を始めているという。生徒の安全を守る体制は整えられるのだろうか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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