突然痙攣や発作が起きる「てんかん」という病気。人がなる病気というイメージがありますが、実は犬や猫もてんかんを発症します。
いつも元気な愛猫が急に発作を起こしたら…なんて考えると、飼い主さんはとても不安ですよね。
ただ、てんかんは正しい知識があれば冷静に対処できる病気です。そこで今回は、猫のてんかんについて症状や原因、発作への対処法、日頃の予防法まで詳しくまとめてみました。
それでは見ていきましょう!
目次
【動画あり】猫のてんかんってどんな病気?
少しショッキングな映像ですが、てんかん発作を起こした猫の映像です。実際にどのようになるのか知りたい場合は上記の動画を見てください。
猫のてんかんは、人に起こるてんかんと同一のものです。脳神経の異常により突然発作が起きて、手足の硬直や痙攣、失禁などの症状が見られます。
猫では100頭に1頭以下の割合で発症すると言われています。
一般的には生後6ヶ月〜3歳くらいの間に初めて発症することが多いのですが、中には5歳を過ぎてから発症する猫もいるとか。
また、てんかんは慢性的な病気なので、一度発症すると何度も繰り返し発作を起こします。
猫のてんかん発作で見られる主な症状
では、猫がてんかん発作を起こすと具体的にどんな症状がみられるのでしょうか?こちらに主な症状をまとめてみました!
- 手足の硬直
- 痙攣(けいれん)
- 失禁
- 口から泡を吹く
- よだれが出る
- 意識を失う
てんかん発作を起こした猫は、まるで毒物でも飲んだかのように苦しそうにのたうちまわります。体をビクビクと痙攣させて、自分の意思とは無関係に暴れまわるのが特徴です。
私もこれまで何度も愛猫のてんかん発作を見てきましたが、何年経っても慣れないものですね…。
ほとんどの場合、発作は数秒〜数分で治まりますが、激しい発作が起きると意識を失ってしまう猫もいます。そうなると危険なのですぐに病院へ連れて行きましょう!
猫のてんかんに前兆はあるの?初期症状は?
てんかん発作のほとんどは前触れなく起こりますが、場合によっては「全身性の発作(大発作)」の予兆として「軽度な発作(小発作・部分発作)」が起こることがあります。
前兆として見られる症状は、次のようなものが挙げられます。
- 鼻を鳴らす
- 落ち着きがなくウロウロする
- 口をクチャクチャさせる
- 手足や顔の一部が痙攣する
- 手足をバタつかせる
なんとなくいつもと様子が違って落ち着きがなかったり、手足や顔の一部が痙攣している時は注意が必要です!
そのほか、強いストレスや高い音、気温や湿度の変化も発作の原因となることがあるので、発作が起こる前の猫の行動をノートに付けておくと良いでしょう。
猫がてんかんを発症する原因は?
年代 | 原因 |
---|---|
若年〜中年齢 | ウイルス性疾患による髄膜炎や猫虚血性脳症 |
7歳以上の高齢 | 脳腫瘍や多血症 |
てんかん発作が起こる原因は、主に脳神経の異常によるものです。ただ、なぜ脳神経に異常が起こるのかは猫によって異なります。
表のとおり、若いうちに発症した場合はウイルス性疾患による髄膜炎や猫虚血性脳症、7歳以上で発症した場合は脳腫瘍や多血症が多いと言われています。
そのほか、電解質異常、低血糖、ストレス、高音などもてんかん発作の原因となります。
生後6ヶ月以内に発症した場合は、遺伝的な要素も否定できないので一度病院で診てもらいましょう!
猫のてんかん発作が起きる頻度
種類 | 頻度 | 時間 |
---|---|---|
症候性てんかん | 毎日から年に1回など | 状態によって長引く |
特発性てんかん | 毎日から年に1回など | 5分以内 |
猫のてんかん発作が起きる頻度は猫によって異なります。その理由は、てんかんの原因がそれぞれ違うからで、月1回〜毎日と猫によって様々です。
猫に多い「症候性てんかん」は、脳腫瘍、脳炎、水頭症など脳疾患が発作を引き起こしているので、病状によってはてんかんが頻発する可能性もあります。
一方「特発性てんかん」による発作は比較的軽めですが、10分以上の長い発作や1日2回以上の発作、意識が戻る前に次の発作が起きる場合(重積発作)には注意が必要です!
てんかんは、何度も発作を繰り返すことで脳損傷が起きて、さらに発作が起こりやすくなるとも言われています。
発作が頻発して重症度が増してくると最終的には治療も難しくなるので、とにかく早めに病院に連れて行きましょう!
猫がてんかんの発作を起こしたらどうする?飼い主の正しい対処法は?
ここまで猫のてんかんについて色々見てきましたが、最も大事なのはここからです!愛猫がてんかん発作を起こしたら、どのように対処すればいいのでしょうか?
このとおり、時系列に沿ってそれぞれの対処法をまとめてみたので順番に見ていきましょう!
てんかん発作が起きた時の対処法
発作が起きた時にまずすべきことは、愛猫の安全確保です!
発作を起こした猫は自分の意思で体をコントロールすることができないので、猫が事故に巻き込まれないよう危険なものを遠ざけます。
発作中に体をあちこちにぶつけてしまわないよう、周りにクッションや毛布を置いてあげるのもいいでしょう。
その際、意図せず噛んでしまったり、声に驚いて発作が激しくなる可能性があるため、猫の体には触れずに近くでそっと見守ります。
次に、猫が発作を起こした時の様子を記録しましょう。記録する内容は次のとおりです。
- 発作が起こる前の様子
- どの部分から発作が始まったか
- 発作の継続時間
- 発作中の意識の有無
- 舌の色
- 発作後の様子
メモやスマホの動画などなんでも構いません。とにかく発作が起きた時の状況を詳しく記録することで、てんかんの原因特定に役立ちますよ!
てんかん発作がおさまった後の対処法
たいていの発作は数秒〜数分でおさまりますが、すぐに元の状態に戻るとは限りません。
決して取り乱したりせずに、静かな場所でゆっくり休ませてあげましょう。愛猫自身もショックを受けていますから、優しく見守ってあげることが大切です。
ただし、次のような場合はすぐに病院に連れていく必要があります!
- 10分以上の長い発作
- 意識が戻らないうちに次の発作が始まる
- 呼吸するのが苦しそう
- 舌の色が青白い
- 初めての発作
- 意識が戻らない
もし上記に当てはまる場合は、命に関わる危険もあるので病院で受診しましょう。原因を特定するためにも早めの治療が大切です。
猫のてんかんは薬で治る?治療法・費用・副作用まとめ!
愛猫がてんかんになってしまった場合、どうにか治してあげたいですよね。結論から言うと、てんかんの原因によっては治る可能性があります。
そこで、てんかんの治療法やそれに関わる費用、薬の副作用について詳しくまとめてみました。一体どのようにてんかんと付き合っていけばよいのかを見ていきましょう。
猫のてんかんは投薬治療がメイン!
てんかんの種類 | 治療法 |
---|---|
症候性てんかん | 発作を引き起こす原因となる脳疾患の治療・抗てんかん薬の服用 |
特発性てんかん | 抗てんかん薬の服用 |
猫のてんかんは、原因が特定できているもの以外は防ぐのが難しいと言われています。
ですので、基本的には発作の回数を減らしたり、発作の継続時間を短くしたりする抗てんかん薬で発作を抑える治療を行っていきます。
投薬により発作が全くなくなる猫もいますが、あくまでも症状を抑えるだけの薬なので、てんかんそのものを完治させるものではありません。
症候性てんかんのように病巣を治療すれば発作をなくすこともできますが、基本的には生涯に渡って投薬が必要になると思っておきましょう。
猫の抗てんかん薬の副作用
抗てんかん薬の副作用は、食欲不振や鳴き声を発しなくなるなどの症状です。まれに体が麻痺することもあります。
ただ、薬をやめれば副作用はなくなるので、そこまで心配する必要はありません。
なお、急な薬断ちや飲み忘れはてんかんを激化させる可能性があるので注意しましょう!自己判断せずに獣医さんに相談してくださいね。
猫のてんかんの治療費
項目 | 予想費用 |
---|---|
初診料 | 500円~1,500円程度 |
血液検査 | 3,000円~10,000円 |
レントゲン | 3,000円~8,000円 |
ウイルス検査 | 5,000円~10,000円 |
MRI検査 | 50,000円~80,000円 |
脳脊髄液検査 | 20,000円~35,000円 |
電気生理学的検査 | 30,000円~40,000円 |
注射 | 1,000円~3,000円 |
薬代 | 月額1,000円~3,000円 |
生涯てんかんと付き合っていくとなれば、治療費がどれくらいかかるのか気になりますよね。そこで、てんかんの治療には一体どれくらいのお金がかかるのかまとめてみました。
初めて病院にかかる時は、原因を特定するために検査が必要なので最低でも15,000円程度はかかるでしょう。
てんかんであることがはっきりした場合は、抗てんかん薬に月々1,000円〜3,000円程度かかります。
ただ、てんかんの原因が脳腫瘍などの病気だった場合は、そちらの治療に別途費用がかかることもあるでしょう。
ペット保険を契約していれば3割〜5割負担で済みますが、契約していなければ実費負担となるので注意してくださいね!
猫はてんかんが原因で死亡することはある?寿命への影響は?
もし愛猫がてんかんを発症したら、将来のことが気にかかりますよね。命に関わる病気なのか?寿命はどれくらいなのか?など、不安になるかと思います。
結論から言うと、猫がてんかんの発作で死亡するケースはないとは言い切れません。でも、ほとんどの猫は投薬治療をしながら普通の猫と変わらない生活を送っています。
また、死因の多くは発作中の突発的な行動による事故死です。高い場所からの転落や異物を喉に詰まらせることによる窒息で命を落としてしまいます。
ただし!てんかんでも「重積発作」と言って、5分以上続く長い発作は脳にダメージを与えることがあり、頻発すると最終的には薬が効かなくなって安楽死を選ばざるをえないケースもあります。
このように、てんかんの猫は他の猫に比べて死に直面するリスクは高くなることは事実です。
しかし、必ずしも短命とは限りません!実際に長生きしている猫も沢山いるので、獣医さんと相談しながら最適な治療を受けさせてあげましょう。
てんかんといっても色々な種類があります。でも正しい対処法さえ知っていれば、それほど怖い病気ではありません。
しかし、放っておいても治る病気とは言えないので、病気という事実を受け入れて気長に付き合っていきましょう。