人を基準とした暮らしの中には、猫が嫌がる匂いが存在します。なぜか突然、愛猫が顔をそむけたり慌てて逃げていったり。実はその時猫は「臭い!」と感じていたのかもしれません。
愛猫が家で快適に過ごせるよう、猫がどんな匂いを嫌がるのか知っておきたいですね。また、匂いの知識を応用すれば、愛猫のしつけが可能!
そればかりか、よその猫が庭へ進入するのを防ぐこともできますよ。
それでは、ここからは猫が感じる匂いの世界を分かりやすく説明していきます!
猫が嫌がる匂いはこの4つ!
犬にはやや劣るものの、人に比べると猫は抜群の嗅覚を持っています。人が気づかなくても、猫の方は辺りに漂う匂いにイヤな思いをしているのかもしれません。
猫が嫌がる代表的な匂いは、以下の4つです。
- 柑橘系の香り
- ミント系の香り
- 香辛料の匂い
- フレグランス商品
柑橘系の香り
レモンやみかん、グレープフルーツなど柑橘類のフルーツは人間には爽やかでおいしいものですが、猫はこの匂いを好みません。柑橘系の香りには、酸味が強く感じられるからです。
酸っぱい匂いは、ものが腐った時の匂いに似ています。腐ったものを知らずに食べれば、当然命の危険にさらされます。それで猫は本能的に酸味のある匂いを避けるのです。
特に柑橘類の皮にはリモネンという成分が含まれているのですが、これは実際に猫が中毒を起こす危険性のある物質なので気をつけるようにしてください。
ミント系の香り
ミントやメントールなどスース―する香りも猫は嫌がります。つんと鼻を刺激するものに、酸味と同様な危険性を感じ取るためです。
でも、これらには香りだけでなく清涼感や冷感作用があるので、人の周りにはミントやメントールが使われた商品が多くあります。すぐに思いつきそうなのがミントガムでしょうか。
また、湿布薬やかゆみどめなどの医薬品にも使われています。これらを使用すると長時間人の体に匂いが残ってしまいます。
生活になくてはならない!という人も多いでしょうが、購入の際には愛猫のために匂いの少ない商品を選ぶなどの配慮をしてあげましょう。
香辛料の匂い
料理に使う香辛料の匂いも、猫にとってはイヤなものです。
ワサビやカラシ、コショウ、唐辛子など香辛料はわずかな量で人の食事にさまざまな風味をプラスしてくれるもの。でも、それだけに鼻のきく猫にとっては刺激が強すぎるのです。
それだけでなく誤って口にすれば、胃腸炎になることも!自分の体に有害となるものに近寄らないのは当たり前かもしれませんね。
猫の手作りフードや刺身などにも香辛料が混ざらないよう注意してください。
フレグランス商品
上の動画はアロマキャンドルを嗅いだ猫。火がついていなくても匂いを感じ取っているようです。
意外なところでは、猫は芳香剤や洗剤、柔軟剤、シャンプーなどのフレグランス商品が全般的に苦手です。
これらに使われている香料は、植物由来の天然香料(アロマ)と人工的に製造された化学香料の2種。
人間でも化学物質が含まれる柔軟剤の匂いに反応し体調不良になることがある、と「香害」が問題になっていますよね。嗅覚の鋭い猫ならなおのこと強い匂いはストレスです。
それに加え、猫は天然香料もNG。肉食である猫の肝臓は植物由来の有毒物質を分解することができません。
アロマやハーブの成分によっては、蓄積して中毒症状を起こすことがあるのです。
愛猫のことを思うなら、身の回りのフレグランス商品をぜひ見直してみてくださいね。
猫が嫌がる匂いは主にしつけに有効!
猫が嫌がる匂いは、普段なら大事な愛猫から遠ざけておきたいもの。でも、匂いをうまく利用すれば、猫のしつけに効果的なんです。例えばこんなことに困っていませんか?
- テーブルに上がってほしくない
- コードを噛んでほしくない
- カーテンにスプレーおしっこをしてほしくない
- 家具で爪とぎをしてほしくない
お互いの快適な生活のために、ストレスなく上手にしつけしていきたいですね。
猫には犬のようなしつけが通用しない
猫のしつけのポイントは、「悪いことをする→嫌なことが起こる」と関連付けて覚えてもらうこと。
野性で群れの行動を取らない猫には、人の子や犬のようなしつけ方が通用しません。ほめても叱っても無駄!に終わることが多いのです。
それどころか、あまり叱り過ぎると猫自身の行動とは無関係に、人への信頼だけが損なわれることになってしまいます。
そこで、猫の嫌がる匂い=嫌なことと感じさせ、猫の行動をコントロールするのです。
猫のしつけには匂いスプレーを利用する
具体的なしつけ方法では、猫がキライな匂いがする液体をスプレー状にして用います。
匂いスプレー作りに用意するもの
用意するものは以下の3つです。
- レモン:1/2個
- 水:500ml
- スプレー容器
レモンを絞り、果汁と水を混ぜるだけで簡単に作れます。あるいは、調理用のレモン果汁でも代用できますよ。それも面倒であれば、同様の商品が市販されているので購入して使いましょう。
匂いスプレーによる具体的なしつけ方法
してほしくない行動を愛猫が取った時には、すかさずその場にスプレーの液体を散布します。
大抵の猫は水が嫌いです。イヤな匂いと水が直前の行動や場所に結びついて記憶されると、猫はその行動を避けるようになります。
また、ずっと猫の行動についていられない場合は、事前にその場所に振りかけておく方法でもかまいません。
薬剤のようなものと違って体やインテリアに害がないので安心ですね。しかも、人間にとってはむしろ爽やかでいい匂い!
このスプレー液の優れている点は、消臭にも効果的であることです。
猫がマーキングした部分に使えば、1.以前にした場所がわからなくなる 2.かつ嫌な匂いがするのダブル効果で次なるマーキングを防止できるでしょう。
【番外編】野良猫やよそ猫のいたずら防止に、猫が嫌がる匂いは効くの?
中には庭に訪れる野良猫やよその猫に困っている人もいるかと思います。
育てている植物を荒らしたりウンチを残したり侵入猫のいたずら行為は迷惑ですが、なんとか穏便に防ぎたいものですね。そんな場合にも猫が嫌がる匂いは効果を発揮します。
匂いで猫の侵入を防止する方法は2つ
匂いを使って猫の侵入を防ぐ方法は、大きく分けて2つあります。
- 嫌がる匂いの植物を植えること
- 嫌がる匂いのものを撒いておくこと
植物を植えるには庭の広さや手間が必要なので、それぞれの都合に合った方法を選ぶとよいでしょう。
猫が嫌がる匂いの植物を植える方法
猫が嫌がる匂いを発する植物には次のようなものがあります。
これらの植物を猫の通りそうな位置に配置して植えておきます。ただ、種類によっては大きく成長するものもあるので、事前に詳細を確認してから植えるようにしてくださいね。
猫が嫌がる匂いのものを撒く方法
猫が嫌がる匂いのものを撒くといっても、庭全体にレモン水を使うのは現実的ではありませんよね。
レモン水に代わるものとして屋外に有効なのが、木酢液や竹酢液です。これを4~8倍程度に水で薄めてスプレーで散布します。
木酢液、竹酢液は園芸用として土壌改良にも使われるくらいなので、庭木や花に害はありません。
成功率は100%ではない
ただし、どちらも成功率100%とは言えないんです。
せっかく行った対策がうまくいかないケースでは、猫が嫌いな匂いにも慣れてしまったことが理由の1つ。
慣れたのか好みなのか、みかんがへっちゃらな猫やレモングラスにすりよる猫もいるようです。
うちの愛猫のソラの場合だと、夕食用に庭のローズマリーを取ってくるとなぜか?大喜びです。
そして、もう1つの理由は、撒いたものの匂いが時間の経過や雨で薄れてしまうため。
ですから、木酢液、竹酢液を使う場合は、長期間に渡って繰り返し根気よく撒いていくことがポイントです。
猫が嫌がる匂いでは、柑橘類やミント系、香辛料、フレグランス商品の4種類が代表格。人の身の回りには、このような匂いのするもので溢れています。
人間が思うよりずっと、猫は複雑な匂い環境に身を置いているのかもしれませんね。できれば猫が好まない匂い要素を減らし、ストレスなく暮らしてもらいたいものです。
その上で、匂いの適量使用でしつけに成功すれば、万々歳。匂いのコントロールで、愛猫も飼い主さんももっと快適に生活していけそうですね。