温厚な猫でも、突然怖い顔で「シャー」と威嚇してくることがありますよね。威嚇は猫の生まれ持った本能であり、自分の身を守るための手段です。
しかし、猫好きとしては威嚇せずに向こうから寄ってくるぐらいの関係を築きたいもの。そこで今回は、猫が威嚇する理由とそれに対してどう対処したらいいのかを紹介していきます!
猫が「シャー」という鳴き声や独特のポーズをしたら威嚇のサイン!
猫は相手をおどして怯ませるために威嚇します。鋭い目で睨みつけたり、毛を逆立たせて体を大きく見せたり、全身を使って「自分の方が強い」とアピールするんですね。
そして時には、鋭い歯をむき出しにして「シャー」という声を出しながら威嚇することもあります。
ちなみに、猫が「シャー」と威嚇するのは、昔砂漠に住んでいた猫の祖先リビアヤマネコが、毒蛇から身を守るために敵の真似をしていた習性の名残だと言われています。
また声を発しなくても、耳を後ろに倒す、しっぽを左右に激しく振るなどの行為は不快に思っているサインです。
猫が威嚇する5つの理由や対処法は!
猫が「シャー」と威嚇してくるのは、次のような理由からだと言われています。
- 恐怖を感じたとき
- 縄張りに入られたとき
- 弱みを抱えているとき
- 嫌なことをされたとき
- 拗ねているとき
猫が威嚇する理由①:恐怖を感じたとき
猫は自分の身が危険だと感じたら、威嚇して相手を遠ざけようとします。恐怖を感じている時は、自分からは攻撃できないので「あっちに行け」と態度で伝えているんですね。
また、初対面の人間や動物に対しても、警戒心から威嚇することがあります。元々野良猫だった場合は、そもそも人間に慣れていないので尚更です。
徐々に打ち解けていけば威嚇は収まりますが、猫の嫌がることをすると「危険な人だ」というイメージが着いてしまうので、むやみに近づいたり触ったりしないようにしましょう。
- 目を合わせない
- 猫の嫌がることをしない
- 手のにおいを嗅がせる
猫が威嚇する理由②:縄張りに入られたとき
猫は縄張り意識の強い動物なので、自分のテリトリーが侵されると本能的に威嚇します。
多頭飼いで先住猫が新入り猫に威嚇するのは、見知らぬ猫が自分の縄張りに入ってきたからなんですね。
また、人間の場合でも初めて家に遊びに来た人には「勝手に縄張りに入るな!」と怒りの気持ちから威嚇してきます。
新しい家族に対して威嚇することもありますが、猫のお世話をするなど同じ空間で生活する時間を増やしていけば、威嚇することはなくなりますよ!
- 徐々に一緒にいる時間を増やしていく
- 新入り猫や新しい家族のにおいが付いた物を猫のいる空間に置く
猫が威嚇する理由③:弱みを抱えているとき
病気やケガなど弱みを抱えている時は、いつもは大好きな飼い主さんに対しても威嚇することがあります。
また、妊娠や出産でデリケートになっている時も子猫を守るために威嚇します。
ある日突然威嚇されるようになった場合は、体調不良の可能性もあるので一度動物病院で診てもらうのがおすすめです。
妊娠中や出産後の母猫には、むやみに近づいたり触れようとしたりせずに、向こうから近寄ってくるまでそっと見守ってあげましょう。
- 動物病院へ連れていく
- デリケートな時期は猫に近づかない
猫が威嚇する理由④:嫌なことをされたとき
嫌がっているのに構い続けたり、爪切りやブラッシングなど苦手なことをされたりすると「何するんだやめろ!」と、咄嗟に威嚇することがあります。
この場合は、特定の猫や人間に対してというより、嫌な行為をやめて欲しいという気持ちから威嚇するんですね。特に、次のような行為は猫に嫌がられるので注意しましょう!
- 大きな音を出すなど騒がしくする
- しつこく構う
- 抱っこをする
- エリザベスカラーを装着する
- 耳やしっぽを触る
- 香水がきつい
やむを得ない場合は仕方ないのですが、威嚇されないためには猫が嫌がることを極力控えるのが正しい接し方です。
また、小さな子供など予測不能な動きをするものに対して、猫は警戒心を抱きやすい傾向にあります。
触ってほしくない場所を触られると、例え子ども相手でも容赦なく威嚇するので、特に小さなお子さんがいる家庭は気を付けてくださいね!
猫が威嚇する理由⑤:拗ねているとき
猫はいわゆる「ツンデレ」と言われる性格で、しつこく構うと嫌がるのに、放っておくと甘えてくるというあまのじゃくな一面があります。
仕事が忙しくなかなか構ってあげられない時や、旅行や出張で1~2日家を空けた時に、不満やストレスが溜まって「私のことなんてどうでもいいんでしょ!」と愚痴を吐くように威嚇してきます。
また、猫カフェに行くなどして他の猫のにおいが付いた状態で帰宅すると、嫉妬や警戒心から威嚇することもあります。
- 猫に嫌がられない程度に普段より沢山構ってあげる
- 可能であれば多頭飼いにする
それでも猫が威嚇するのをやめない時は?
いつまで経っても威嚇をやめてくれない時は、無意識のうちに猫が嫌がる行動を取っているのかもしれません。良かれと思っていたことが、実は猫にとって迷惑なんてことも…。
獣医師によると、猫はこんな人が苦手なんだそうです。
- 大きな声を出す人
- しつこく構う人
- うるさい子ども
- 香水や体臭がきつい人
- 体格の大きい人
どうやら猫は、物静かで放っておいてくれる無臭の人が好きみたいですね(笑)
また、猫はネズミや子猫のように高い音が聞き取りやすいので、どちらかというと男性より女性の方が好かれる傾向にあります。
ただ、体格の大きい男性でも、猫に近づく時は座るなどして威圧感を与えないように工夫すれば問題ありません。実際、男性でも猫に好かれる人は沢山いますからね!
それでも一向に威嚇をやめてくれない時は、体調不良など猫自身が問題を抱えている可能性もあるので、病院で一度検査してもらいましょう。
猫同士の威嚇をやめさせる対処法
多頭飼いの場合、猫同士が威嚇し合って今にも喧嘩に発展しそうな時がありますよね。飼い主さんとしては、愛猫がケガをしないかハラハラするかと思います。
そんな時、飼い主さんができることは以下の方法で威嚇をやめさせることです!
- 大きな音を立てる
- 猫同士の距離を徐々に縮めていく
猫同士の威嚇をやめさせる対処法①:大きな音を立てる
先ほど、猫は大きな音を立てる人を嫌がるとお伝えしましたが、この場合は意図的に大きな音を出すことで猫の集中力を切らすことが目的です。
猫同士が威嚇し合っている時は、互いに睨み合い相手の出方をうかがっています。
ここで飼い主さんが、手を「パンッ」と叩くなどして大きな音を出すと、音のする方へ意識が向かいますよね。つまり、猫の気持ちを上手く惑わせて休戦させることができるのです。
ただ、威嚇していない時に大きな音を出すと猫が懐かなくなってしまうので、ここぞという時だけにしておきましょう!
猫同士の威嚇をやめさせる対処法②:猫同士の距離を徐々に縮めていく
猫同士の威嚇でも特に多いのが、多頭飼いの場で先住猫が新入り猫に対して威嚇をやめないという問題です。
この場合は、飼い主さんが上手く両者の距離感を縮めてあげることが大切です!
- 新入り猫をゲージに入れた状態で別室に隔離する
- 新入り猫のにおいがついたものを先住猫の居住空間に置く
- 1日5分、10分、30分とゲージ越しに対面する機会を増やす
- ゲージ無しで1日1時間、2時間と徐々に同じ空間に慣れさせていく
- 同じ空間で食事・排泄をさせる
猫は距離感を大切にする動物です。ここから先は近づいて欲しくないという、人間で言うところのパーソナルスペースのような距離があるんですね。
ですから、新入り猫をいきなり先住猫に近づけるのは好ましくありません。
お互いに慣れさせるコツは、徐々に距離を縮めていくこと。猫は嗅覚が良いので、たとえ別室であろうと他の猫の存在に気づいて威嚇するでしょう。
2~3日様子を見て威嚇が収まったら、次のステップに行くという方法で進めて行くと、お互いに慣れていくので威嚇することはなくなります。
また、新入り猫ばかり構うと先住猫が「飼い主さんを盗られた」と嫉妬して攻撃する恐れがあるので、何事にも先住猫を優先させる方が丸く収まります。
猫はとても警戒心の強い動物ですから、気に入らないことがあれば飼い主であろうと威嚇してくることがあります。
しかし、猫が威嚇するのには必ず何か理由があるので、まずはその原因を探ることから始めましょう!
また、多頭飼いの場合も飼い主さんが上手く距離を縮めてあげれば、先住猫と新入り猫が喧嘩をすることなく仲良く暮らせるようになりますよ。