このほど開催された「第10回国際水素エネルギー・燃料電池自動車大会・展示会」で、中国科学院院士で清華大学教授の欧陽明高(オウヤン・ミンガオ)氏は、「水素エネルギー産業はすでに『デスバレー』を乗り越えた。今後5年間は発展のチャンス期となる。
近年、政策面の支援強化が水素エネルギー産業の発展に力強い弾みをつけている。「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021~35年)」は、水素エネルギーを将来の国家エネルギーシステムの重要な構成要素と明確に位置付けた。「エネルギー法」は「国は積極的かつ段階的に水素エネルギーの開発・利用を推進し、水素エネルギー産業の質の高い発展を促進する」とした。「第15次五カ年計画(2026~30年)」綱要は、水素エネルギーと核融合エネルギーを先見的に展開すべき未来産業と位置付けた。今年3月には、水素エネルギー総合利用実証事業が始動し、2030年までに水素の平均末端価格を1キログラム当たり25元(約600円)以下に引き下げることが明確に定められた。
長年の努力を経て、中国は燃料電池車保有台数と水素ステーションの数で世界1位に立っている。2025年末時点で、燃料電池車の累計普及台数は3万9000台に達し、水素ステーションは590カ所以上が整備された。燃料電池システムのコストは、初期の1キロワット(kW)当たり1万元(約24万円)から約3000元(約7万2000円)にまで下がった。
コストの低下に伴い、水素エネルギーの商業的価値が徐々に顕在化している。
未勢能源科技の張天羽(ジャン・ティエンユー)会長は、「水素の末端価格が1キログラム当たり25元まで下がれば、水素燃料電池車の利用は完全な商業クローズトループを形成する。さらに12~14元まで下がれば、化学工業や発電分野における水素エネルギーの大規模利用も本格的に始まるだろう」と語る。
技術的ブレークスルーはコスト低下の重要な要因だ。香港城市大学の呂堅講座教授は、「水素エネルギー価格が高止まりしている理由は、電力価格が高いことに加え、触媒が高価だからだ」と話す。同氏の研究チームが開発した「チューリング触媒」は、市販の白金炭素触媒と比べ、単位体積当たりの水素製造に必要な触媒コストを70%削減できる。欧陽氏は、「広い温度域に対応するプロトン交換膜や大出力スタックの量産化がブレークスルーを遂げており、2025~30年には水素の製造・貯蔵・輸送・充填のサプライチェーンの整備と発展が水素エネルギーの多分野での活用を推進し、グリーン水素エネルギーが爆発的な成長期を迎えるだろう」と予測している。
見通しは明るいものの、水素エネルギー産業は依然として多くの課題を抱えている。
祖氏によると、水素エネルギーの地域間需給ミスマッチ、水素充填インフラ整備の遅れ、地域を跨ぐ輸送・貯蔵に関する基準の不統一などが依然として規模拡大の制約要因になっている。
フォルヴィア水素エネルギー中国エリアの潘鋒(パン・フォン)社長は、「ガソリンスタンドと比べて水素ステーションは非常に数が少なく、全国で70メガパスカル対応の水素ステーションの割合が10%未満であることが、乗用車の普及を制約している。また、コンテナによる水素輸送など低コストの貯蔵・輸送方式については、国家規格の整備が急務となっている。











