中国国営メディアのチャイナ・デイリーがこのほど、南シナ海問題に関連してフィリピン人を「猿」として描いた動画を公開したことで、フィリピン側では強い非難と激怒の声が沸きあがった。問題の動画はオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が2016年に示した判決に関連するもので、常設仲裁裁判所は中国の南シナ海に関連する権利の主張を「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」と判断した。
常設仲裁裁判所の判決は、南シナ海についての中国の主張を全面的に退けるものだった。中国はこの判決を「紙くず」などと評して、受け入れない姿勢を貫いている。判決の言い渡しが7月12日だったために、中国と中国以外の間で、最近はこの判決を巡る批判と非難が飛び交う状態だった。
フィリピン有力メディアのABS-CBNによると、フィリピン国防省のテオドロ長官は、この動画投稿は「中国の共産党機関がフィリピン国民をどう考えているか」を明らかにするものと指摘し、「中国のプロパガンダ機関の道徳面と知性の破綻を露呈した」「この最近の非人間的な行為は、彼らが安心感と自信に満ちた当事者でも、信頼できる隣国でもないことをさらに明らかにした」などと批判した。
フィリピン沿岸警備隊の西フィリピン海担当報道官のジェイ・タリエラ准将は、自分自身の経験を踏まえて、「私が彼らの指導者を侮辱したとして、(中国は)外交での抗議までした。しかしここでは1分以上あるこの動画で、侮辱され見下されているのは、私たちのフィリピン人としてのアイデンティティーそのものだ」と強く非難した。
「私が彼らの指導者を侮辱」とは、タリエラ准将が1月に行ったSNSへの動画投稿に、中国の習近平国家主席を風刺する絵が映っていたことを指す。中国側は「一線を越えた」などと猛抗議した。
フィリピン外務省は16日、「フィリピンは、この不快なコンテンツの削除を要求し、そのような無責任なコンテンツの即時停止を求める。中国に対し、公の議論における尊厳、敬意、真実を支持するよう強く促す」「国営のチャイナ・デイリーがフィリピン人に対する、品位を露骨に傷つけ、非人間的で人種差別的な描写を用いたことは、政治での議論の域を超えている」「このような画像と誤情報は、フィリピンと中国の間の不信感を広げる役割を果たすだけだ」などと非難した。
中国外交部の林剣報道官は17日の定例記者会見で、問題の動画についての中国政府の考え方を記者から問われると、「ネット上の関連動画は公式の行為ではなく、コメントしないと」と回答した上で、「私が強調したいことは、南シナ海仲裁案の問題に対する中国の立場は明確で一貫したものだということだ。南シナ海仲裁案は法の偽装をまとった政治的茶番劇で、いわゆる裁決は不法かつ無効で、拘束力を持たない」と、中国のこれまでの主張を繰り返した。(翻訳・編集/如月隼人)











