2026年8月10日、中国メディアの捜狐財経は、中国の新型重イオン加速器「HIAF」がわずか半月で日本の理化学研究所が数十年かけて到達した領域に追いついたと誇張する記事を掲載した。

記事は、7月21日に受け入れ検査を通過したばかりのHIAFが、わずか15日後の8月5日にハフニウム153の同定に成功したと紹介。

理化学研究所が20年近く装置を運用してようやく発見したものを、HIAFはわずか半月の「試運転」で追いついてしまったと主張している。

そして、一般的な同種の装置が稼働後に最初の物理的成果を得るまでに半年から1年の調整期間を要するのが常識である中、HIAFは全長2キロメートルの地下ビームラインの全線にわずか16時間でビームを通すことに成功し、世界の記録を大幅に塗り替えたとアピールした。

また、この驚異的なスピードを支えるのは圧倒的な性能スペックであり、コア指標である「ビーム強度」(単位時間あたりに照射できる微視的な砲弾の量)が極めて高いと解説。酸素イオンビームの強度は従来の世界記録の3倍、ビスマスイオンビームの強度は同7倍半に達しているとした。

さらに、希少な原子核の探索を「黄河から砂金を探す作業」に例え、他国の装置が1日かける作業を、HIAFであれば3時間強で完了できるという生産性の高さを指摘。今後の性能向上に伴い、将来的には検出能力がさらに大きく向上する見込みであるとも伝えた。

記事は、HIAFが先行技術の追従ではなく、基本設計そのものを根底から変えた世界初のアーキテクチャを採用しているとも紹介。超伝導線形加速器、シンクロトロン、蓄積リングを一体化させた組み合わせ構造であり、コアとなるプラットフォーム技術は中国が完全に自主開発してコントロールしていると主張した。

なお、この記事は事実の紹介ではなく、研究の成果を用いて中国の技術的優位性を誇張するという色彩が強い。

まず、「日本にわずか半月で追いついた」とする対立的な表現は中国メディア独自の誇張であり、中国科学院は公式発表の中で、理化学研究所の成果とは互いに発見を裏付け合う「相互検証」の関係にあるとしている。

また、「日本が20年かけた成果に中国が15日で追いついた」という表現についても注意が必要だ。理研の「20年」は200種以上の新核種を発見してきた施設全体の歴史であり、ハフニウム153を20年間探し続けていたわけではない。

HIAF自体の建設や技術開発には2018年の着工から約7年の歳月がかかっていたことにも記事は触れていない。

このほか、「16時間」「半年から1年」といった比較をはじめとするデータも別の概念を並べて比較するなど強引な引用となっており、日本との対立構造化を必要以上に煽り立てようとした意図が見て取れる。

記事が伝えた中で客観的な事実と言えるのは、日本と中国がそれぞれの手法でほぼ同時期に新核種のハフニウム153を発見し、正確性を相互証明したことに過ぎない。(編集・翻訳/川尻)

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