競走馬の名前はどうやって決まる?
日本国内の競走馬の馬名はカタカナ2文字〜9文字で登録
ダイナミックな走りと美しい姿で、多くの競馬ファンを湧かせる競走馬。
そういえば最近、競馬を始めた友達が「マツリダゴッホっていう面白い名前の馬がいたよ〜」と教えてくれたのだが、ああいうディープインパクトな珍馬名は一体どういう風に決まるのだろう。
そもそも競走馬の名前に登録コードってあるんだろうか。

日本軽種馬登録協会によれば、日本国内の競走馬はカタカナで2文字〜9文字の馬名を付けるよう定められているとのこと。登録時にはカタカナ名だけでなく、国際協約にのっとった18文字以内のアルファベットも併せて登録しなければならないということがわかった。
今まで文字制限があることすら知らなかった競馬素人の私。思いつきで浮かんだ名前をチャラッと申請しても、簡単に許可が下りるわけじゃないんですね。

命名にあたって使ってはいけない単語などはあるんですか?
「この単語はダメ! という明確な用語集があるわけではありませんが、『馬名登録実施基準』という規定に沿って審査していきます。
この『馬名登録実施基準』には、馬名登録原簿にすでに登録されている名前はもちろん、著名人や営利目的で商品名を冠したものなどは登録できない、などの細かい規定が設けられています。それから、ディープインパクトやサンデーサイレンスなどのような重賞の勝ち馬や国際保護馬名も、同じ名前を使うことができないんですよ」
後にも先にも唯一無二の名前を持つサラブレッドって、野球の永久欠番みたいでカッコイイなぁ。

馬名登録で最大の難関は、馬主がハングルやロシア語、ギリシャ語などで馬名を考えた時に、それを適切なアルファベット表記に直す作業だそうだ。
「馬主さんの意志を尊重するためにも、その言葉が持つ本来の意味を損ねることなく、アルファベット表記に置き換えなければならないので、そういう名前が申請された時は各国大使館などに確認・相談しながら表記を決めていますね」
いや〜、聞けば聞くほど馬名登録って奥深い。

ところで馬名をカタカナで登録するのには何かワケがあるのだろうか。JRAに確認してみたが、昔の資料が残っておらずハッキリとした理由はわからなかった。
ただ、1937年(昭和12年)の第1回天皇賞の頃からすでに競走馬の名前はカタカナで登録されていたとのこと。当時から漢字やひらがなの馬名はなかったことが判明した。
残念ながら確証には至らなかったが、この謎については今後も調査の必要がありそうだ。

厳しい審査基準を通過して決まる競走馬の名前。そう考えると、マツリダゴッホのような珍馬名も、選ばれし勇者のような響きを持って聞こえてくるから不思議だ。
今度テレビやラジオで競馬放送があったら、ぜひ彼らの名前に注目してください。
もしかしたら「この名前、誰かに教えたい!」と思えるようなステキな馬名が見つかるかも。
(藤井春香)