久しぶりに地理関連のトリビアを書きたくなったので、鹿児島で見つけたコネタを。

南九州で熊本市に次いで人口が2番目に多い鹿児島市。
名実共に鹿児島県の中心であるこの都市は、中心部に市役所、繁華街、桜島や離島行きのフェリーで賑わう鹿児島港、史跡や文化施設などが位置する美しい都市だ。

筆者がフェリー乗り場のすぐ近くを散策しているとき、鹿児島市内にも関わらず、「村役場」を2カ所も見つけた。「十島村役場」と「三島村役場」(地図)。どちらも支所とかではなく本庁舎!
市町村の役所や役場の本庁舎は、多くはその中心部、少なくともその市町村内にあるのが当然のはず。例えば大阪市役所本庁舎が大阪市外にあるなんて考えられない(大阪市の拠点は東京やパリにもあるが、それはあくまでも事務所)。
しかし、その“考えられない”ことが、鹿児島では現実なのだ。


鹿児島県鹿児島郡に属する十島村と三島村は、どちらも複数の離島から成り立つ村。島々は、鹿児島市から直線距離でも約90~350kmの位置に分布している。昨年の皆既日食で有名になった悪石島が属するトカラ列島は十島村だ。
この2つの村の中枢機能を担う村役場が、村内の島ではなく、鹿児島市に置かれている。

三島村役場に問い合わせたところ、村役場に村長が居て、議会も行われる。役場職員も鹿児島市民とのこと。

どちらの村も、村の主要交通手段であるフェリーのターミナルが、鹿児島市の鹿児島港にあるということもあり、村役場が鹿児島市にあるのが便利で効率的、というのが理由のようである。県庁と村役場が近いほうが良いという理由も。

なお、行政区域の外に役場の本庁舎がある他の例は、同じく離島で構成される沖縄県竹富町のみ。
竹富町役場は、町外の石垣市(石垣島)に置かれているが、石垣島は竹富町(竹富島、西表島、波照間島など)と同じ八重山列島だし、竹富島と石垣島は6km弱ほどの距離の近所で、さほど違和感はない。

鹿児島県における県都・鹿児島市の強大さと離島の複雑な事情が、とても新鮮だった。
(もがみ)