「燃えないごみ」と「燃やさないごみ」の謎
コチラがやっぱり主流。“プラスチックは燃えるじゃないか!”とつっこまれる運命か……
ゴミ、ちゃんと分別していますか? 私はちゃんとやっているつもりなのだが、いざ捨てるときになって、迷うこともしばしば。自治体によって方法も違うし、100%自信満々で分別できている人は少ないんじゃないかと思う。
10月からは、一部地域でプラスチックやゴム、皮革製品までもが「可燃」として扱われるようになったのも記憶に新しい。なんだか複雑なゴミ分別。みなさんはどうだろう。

先日近所の大型ショッピングセンターで買い物をしていたときのこと。飲んでいたジュースのプラスチック容器を捨てようとゴミ箱を探した。並んでいたのは2つのゴミ箱。ひとつは「燃えるごみ」、もうひとつは「燃やさないごみ」。反射的に「燃やさないごみ」に投げ入れたが、何かちょっと違和感が……。それは、「燃やさない」という表現。「燃える」と対になる表現は、当然「燃えない」だと思っていた。「燃やさない」という表現には、何か意思を感じる気がする。「燃やしません!」と宣言しているような響きがある。

「燃えない」と「燃やさない」の表現の違いは何か理由があるのだろうか。そういえば、この記事にも可燃のほうが掲載されていたし、気になっている人も多いはず! 試しに「不燃」を辞書で調べてみると、『燃えないこと。燃えにくいこと。』とのこと。やはり、「不燃ごみ」=「燃えないごみ」なのだ。うーむ、真相は?

東京23区で唯一「燃やすごみ・燃やさないごみ」の表示をしている台東区の清掃リサイクル課廃棄物担当の小林さんにお話を伺った。「燃やさない」という表示の理由は?

「通常『不燃ごみ』と表示するところを、わかりにくいため、『燃えない』と表示します。台東区では、『燃えない』に対し、“プラスチックは燃えるじゃないか!”という指摘があったことを受け、『燃やさない』と表示することにしました。台東区の規則として、“燃やさないと決めている”ごみという意味です」

なるほど。確かにプラスチックなどは燃やそうと思えば燃えるので、厳密には「燃やさない」という表示のほうが正しいのだ!

「ただ、サーマルリサイクルが実現されたら、今度こそ『燃えない』が本来の意味になるため、表示を変更することも検討しています」

えー、なくなっちゃうのですか。なんだか意思が感じられて気持ちのいいこの表示、好きだったのに残念。
「サーマルリサイクル」とは新しいプラスチックの処理方法で、これが実施されると、冒頭でも触れたように、プラスチックなどを可燃ごみとして扱うようになる。
こうなると、本当に「燃えない」ものだけが「不燃ごみ」となるのだから、「燃えないごみ」の表示が正しくなる。いつか「燃やさない」は消えてしまうのかもしれない。

この新しい分別方法、東京都では平成20年度から本格実施することが決まっている。プラスチックを燃やすなんて温室効果ガスが増えることが懸念されるが、最終処分場から発生するガスが削減されるため、結局は排出量が少なくなるという。でも、プラスチックを「燃えるごみ」に出すのはなんとなく抵抗があるなぁ。それこそ、「燃やしてもいいごみ」とか、ちょっと許してもらえそうな表示にしてくれたらいいのに。自治体のみなさん、いかがですか?
(さくら)
編集部おすすめ