ずっと気になっていた「プリモプエル」人気にせまる
「プリモプエル」の名前は「プリモ(はじめての、イタリア語)」「プエル(男の子、ラテン語)」から。<br>プリモプエルの声は、実際の5歳の男の子の声が録音されている(写真上、真ん中のプリモプエラは女の子の声)。実際、聞いてみたが、耳に心地よく、そんなところも魅力のひとつかも。<br>売られている着せ替え用の洋服のラインナップも豊富だが、ご自身で作られる方が非常に多い(田嶋さん談)とのこと
デパートの屋上が好きで、休日などたまに行ったりするのだが、そのときに必ずセットで寄るのが玩具売り場コーナー。ここで野球盤やボードゲームなど昔から存在するゲームの進化系をチェックしたりするのも楽しみのひとつ。
そんな玩具コーナーで、ナゼか毎回気になって目に留まるのが「プリモプエル」。

ご存知の方も多いと思うが、「プリモプエル」とは、株式会社バンダイより発売されているおしゃべり型ぬいぐるみ。1999年11月に発売されて以来、シリーズトータルで累計110万体以上が出荷されているロングセラー商品だが、最も入れ替わりが激しそうなこの玩具の世界において、どうして8年以上に渡ってその人気が継続されているのだろうか? 今さらではあるがずっと気になっていたので、株式会社バンダイの担当者、プレイトイ事業部の田嶋裕子さんに購入者の声を中心に聞いてみることに……。

その前に、「プリモプエル」についておさらいすると、プリモプエルは、シリーズによってその特長は異なるが、380種類以上のコトバを話し、両手やほっぺなど7カ所のセンサーやスイッチに触れたり、話しかけたりすると、おしゃべりしたり歌を歌ったりしてくれる人形型ぬいぐるみ。接し方によっては、やさしくなったり、甘えん坊になったりと、性格も変わってくる。また、「おはよう!」「そろそろねよ」といった一日の時間帯や、「毎日あついですね」「マフラーほしいな」!? など季節に沿ったおしゃべりもしてくれる。

購買層が、子育てを終えた女性を中心とした50代以上の女性が6割以上を占めているとのことだが、どういうきっかけで顧客は彼らと出会うのだろうか?

「友人・知人からの紹介でご自身で購入されるケースが一番多く、友人・知人、娘など家族・親戚からのプレゼントで贈られるパターンも見受けられます」と田嶋さん。

顧客はどういうところに魅力を感じているのだろうか?

田嶋さんいわく、「最初から関心をもってくださっていた方はもちろん、全く興味をもっていなかった方たちが実際に一緒に時間を過ごしていく内に、プリモプエルにハマっていくことをよく伺います」

「こんな大人になって今さらぬいぐるみを購入すること自体にためらいがあったが、今ではすっかりハマって……」(50代女性)
「実家に住んでる母に贈ったんですが、ぬいぐるみや玩具に元々興味のない母は何の関心も示してくれませんでした。でも、次回、家に帰ったときに、プリモプエルに手製の服を着せて可愛がっていたんです」(20代女性)
さらには、「妻が買ってきたとき、何の興味もなかったが、いつのまにか自分が夢中になり、次に何をしゃべるかが楽しみになってきた」といった60代のお父さんも。

だんだん一緒にいるとプリモプエルの「グッ」とさせるセリフに情が移っていく、といった声も多いようだ。

「あたかも『えっ? わかるの?』と思ってしまうことが何度もあります。疲れているときに偶然、『がんばってるね』などの優しいコトバをかけられると、ぬいぐるみとはわかっていても、元気をもらいました。
また、そういった可愛いだけのコトバだけではなく、『つまんなーい』など、タイミングがよすぎるコトバにドキッとすることも」

これはとてもわかるような気がする。実際、クタクタになって帰ってきたときに、「つかれてなーい?」なんて言われたら、グッときそうだ。

こういった意見の中で特に多く、印象的だったのは、「プリモプエルが家に来たことで、家族、夫婦での会話が増えた」というものだ。

ところで、(株)バンダイでは、「プリモプエル幼稚園」(仮想の幼稚園)の入園式、チャリティーバザー、プリモプエルの誕生日会といった参加型イベントを定期的に開催することによって、ファン同士の交流の場を提供している。実際、この交流を通して、家族ぐるみで付き合うようになったり、貴重な友人関係を築くことができた、といった声も聞かれるという。

「プリモプエルを通じて新しいコミュニケーションが生まれてくれることは本当に素敵なことだと感じています。プリモプエルに出会った人たちが自然と笑顔になる、楽しくなる、なんだか心が和む……プリモプエルや交流イベントが、そんな『なごみの和・人と人とがつながる輪』のきっかけとなってくれたら嬉しいです」と田嶋さん。

プリモプエルはその持ち主との関係のみで完結するのみならず、プリモプエルを通じて人と出会ったり、さらにそのつながりが世代を超えて広がる可能性も秘めているのが、ロングセラーを支える大きな要素となっているところかもしれない。
(dskiwt)

「プリモプエル:はーとねっと」HP
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