いまやホワイトソックスに欠かせない戦力となっている村上(C)Getty Images

 開幕前には「成功できないかもしれない」という下馬評が囁かれ、市場評価も落ち着いていた村上宗隆。しかし、ホワイトソックスで出場機会を与えられ続ける26歳の和製大砲の調子は、レギュラーシーズン突入からすこぶる良い。

【動画】片手で持っていった…村上の圧巻アーチシーンをチェック

 ルーキーイヤーながらメジャーリーグの水には早々に慣れた。40試合に出場している村上は、142打席に立ち、打率は.232(142打数33安打)ながら、15本塁打、出塁率.364、長打率.556、OPS.921とハイアベレージを記録する。

 確かに三振はリーグトップの60個(34.5%=リーグワースト3位)を数える。ただ、その一方で長打率から打率を引き、.100以上あれば「一流」とされる純然たるパワーを表す指標『ISO』は脅威の.324をマーク。「速球は打てない」「変化球に苦戦する」などと様々に言われた村上が檜舞台でも十分に通用しているのは証明されている。

 国際市場に投資をしたホワイトソックスからしてみれば、まさしく“金脈”を当てた形だ。米球界内での下馬評を覆した村上のブレイクには、球団幹部たちも鼻高々である。

 米スポーツ専門局『FOX Sports』の取材に答えたホワイトソックスの国際スカウト部長であるデビッド・ケラー氏は、昨年8月から最優先獲得リストに村上を入れていたことを告白。ただ、当時の球団内では「契約できる可能性は1%くらい」という話し合いがされていたという。

「現実的に考えて、彼の経歴や才能、そして、我々が再建途上にあると感じていた育成システムといった要素もあいまって、彼がサウスサイド(ホワイトソックスの拠点)に来たいと望むかどうかは、すべて未知数だった」

 しかし、ホワイトソックスにおいて“追い風”となったのは、先述した村上に対する下馬評だった。NPBでの過去2シーズンにおける空振り率(36%)の高さが影響し、「確実性」を不安視したMLB複数球団のスカウトたちの評価が伸び悩み、市場の動きも停滞した。

 そうした中でもホワイトソックスは「NPBはアメリカとは違う。

彼のような選手は他にいない」と本腰を入れ、獲得に向けた話し合いを重ねた。結果、一大ブレイクを巻き起こす和製大砲との2年総額3400万ドル(約53億円)の契約は誕生した。

 時間をかけながら契約に奔走したケラー氏は、当時を次のように振り返っている。

「周りから愛される人望があって、常に身体のケアを怠らず、野球というスポーツの浮き沈みを乗り越えるだけの精神力と資質を持ち、さらに卓越した才能を兼ね備えている選手を見ると、かなりワクワクする。それがムラカミだった。

 私は日本で彼をスカウトしていた時に、クリス(・ゲッツGM)に『ここには、とてつもないパワーを持ち、良い打席を重ねながら、四球も選べる選手がいる』と自信を持って言ったよ。もちろん、三振もあるけど、リスクを冒すだけの価値はあったんだ」

 失敗を恐れず、投資をしたホワイトソックス。村上のここまでの成功を生んだのは、古豪球団の熱心なアピールがあったからに違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

編集部おすすめ