黒田監督インタビューはコチラ(前編後編


関係性がまんまなんです

「スマイルプリキュア!」は5人チームのプリキュアだ。
おなじ5人チームの「Yes!プリキュア5」についてインタビューしたとき、一番苦労するのは、真ん中にいる子。福圓さんは中心人物であるみゆき(キュアハッピー)をどう演じていったのだろう。

福圓 最初はみんなをまとめようまとめよう、と気張りすぎていたんですけど、やめました。私はそういうの向いてないし、できないもん! って、良い意味で肩の力を抜きました。
――どうやって折り合いつけたというか。
福圓 私はみゆきとおなじことしかできない。
私が笑顔でいると、キャストもスタッフもみんな笑顔になることに気づいたんです。
――現場ではずっとスマイルで。
福圓 できる限り気を付けてます。 最初はみんな、頼りない私をどう扱っていいかわからなかったと思うんですけど、いま(井上)麻里奈ちゃんとかは、「ここ福圓さんわかってないだろうなー」って察してくれて、こうですよって教えてくれる。(田野)アサミちゃんはなんにでも一所懸命だし、(金元)寿子ちゃんはちょっと大人しいけど、芯がある。(西村)ちなみさんは天然なんですけど、しめるところはしめてくれる。

――「スマイル」のメンバーまんまですね。
福圓 そう! 関係性がまんまなんですよ。完成した「映画スマイルプリキュア!」を「スマイル」のメンバーで観ていたんですけど、みゆきたちが映画館に座っているシーンが出てくるんですよ。そうしたら、ふと誰かが「まんまだね」って。相手を信頼して素を見せるようになったら、こんなに自分が演じている役と似ていたんだ。いいキャスティングだったんだな、良いメンバーでやれているんだなと嬉しくなりました。

――キャスティングって魔法のようですね。
福圓 「スマイルプリキュア!」の不思議なところは、自分のインタビューなのに、ほかの人たちのことをしゃべりたくなるんです。「私たちこうなのー!」みたいに。


ずっと掃除しないといけない

「映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!」は、みゆきたちが、世界中の絵本が集まるイベント「世界の絵本大博覧会」に行くところからはじまる。絵本の世界を映画で体験できるアトラクションを楽しむみゆきたちのもとに、絵本の世界から、不思議な女の子ニコちゃんがやってくる。

――「この絵本の中に入りたい」と思う作品ってありますか?
福圓 うーん。
逆に、あります? リアルに考えてみてくださいよー? たとえば「シンデレラ」。
――というと?
福圓 だって何年間もいじめられるんですよ。ずっと掃除しないといけないじゃないですか。
――うっ、たしかに。「桃太郎」とかいやですよね。鬼と戦わないといけない。

福圓 でしょう。これは、大人になっちゃったってことかもしれないですね(笑)。
――リアルですね。
福圓 黒田監督は、お話に悪役は必要だけど、「敵」はいないんだ、ということを言っていました。絵本だからといって単純な物語なんてないんだ、と。たとえば敵役の牛魔王とかが味方をしてくれたりします。
なんだか嬉しいですよね。
――物語のためにキャラクターを消費していない。
福圓 そこは黒田さんのやさしさでもありますよね。女性の演出家さんということもあると思いますけど。


ようやく、「私はキュアハッピーです」って言えるように

「スマイルプリキュア!」として映画に出演するのは、3月に公開された「映画 プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち」に続いて2回目。「NewStage」では、プリキュアになりたてで先輩プリキュアに助けられてばかりだった「スマイル」メンバーは、この映画で成長した姿をどう見せてくれるのだろうか。福圓さんに取って、前回と比べて変わった点はなんだろうか。

福圓 もう、びっくりするくらい変わったんですよ。「スマイル」をまだ3話しか収録していない時点で、「NewStage」の収録でした。
――3話ということは……、キュアマーチとキュアビューティにいたってはまだ変身していない状態ですね。
福圓 そう。「あなたたちはチームですよ」と集められて、まだ日も経っていない。そんな状況で「NewStage」は「スマイル」がメインに座っていなければいけない。収録のときは、「フレッシュプリキュア!」「ハートキャッチプリキュア!」「スイートプリキュア♪」のメンバーもいて、チームワークも抜群だったんです。当たり前ですけど、合体技のセリフも一発で決まるし。
――でも、「NewStage」は、プリキュアの先輩たちを前にして、キュアハッピーが引っ張らないといけない。
福圓 あのころはまだ自分がキュアハッピーということも、私が引っ張っていかないといけないという自覚もなかったんです。人に任せるというか、ゆずっちゃったり……ガタガタでした。……こんな私を真ん中にして、みんなガッカリしていると思い込んで、家に帰って泣いちゃったくらいです。
――「映画スマイルプリキュア!」では、先輩たちもいない、「スマイル」だけで物語を支えないといけないわけですよね。
福圓 はい。あのときよりもがんばらなくちゃ! と思っていました。
――映画の収録を終えて、どうでした?
福圓 ぜんぜん状況が違いました。チームワークが雲泥の差! 前回は緊張のほうが勝っていたけど、今回は、お互い全員のことがわかっているんだなあと実感しました。
――最初は技のセリフも合わなかったけど。
福圓 最近ようやく、「私はキュアハッピーです」って言えるようになりました。みんなが助けてくれる、信頼してついてきてくれる。そう思ったときに、「私はキュアハッピーです!」って、ハッキリ言えました。技もバッチリ合いますよ!
(加藤レイズナ)

福圓美里さんインタビュー後編

黒田成美監督インタビュー前編
黒田成美監督インタビュー後編