2006年7月15日の公開初日はわずか6館のみでの上映という小規模なスタートだったが、人気は口コミで広がり、最終的には40週におよぶロングラン興行に。
アニメファンの間では気鋭の作家として知られていた細田がファン層を大きく広げ、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』という大ヒット作を生みだしていく出発点となった。
公開10周年を迎えた2016年7月から、東京国立博物館での野外シネマや期間限定の「時をかける少女カフェ」のオープンなど、さまざまな記念企画が開催。「時をかける少女 10th Anniversary Blu-ray BOX」も発売された。
そこで10年前から作品に深く関わってきた、KADOKAWA代表取締役専務執行役員の井上伸一郎、スタジオ地図代表取締役の齋藤優一郎プロデューサー、KADOKAWAの千葉淳プロデューサーの3名に、当時の思い出や10周年記念プロジェクトについて語り合ってもらった。

「細田君が作りたい物を作らせてやってくれ」と言われた
井上 最初は自己紹介ですかね。『時をかける少女』では、「企画」という立場でクレジットされています。実際に何をしたのかと言いますと、公開のさらに2年前、当時は角川書店のアニメ・コミック事業部長だったのですが、(アニメスタジオの)マッドハウスの丸山正雄さんから、細田守監督が独立されるので一緒に映画を作りませんかというお話を頂きまして。しかも、『時をかける少女』をやりたいというお話だったので非常に嬉しくて。「じゃあ、やりましょう!」と企画を進めさせて頂きました。