「じどうに関心」「飛天御剣流書類送剣」「抜十歳」「幼児観察浪漫譚」…

これは去る11月21日、女児の児童ポルノDVDを所持していたとして書類送検された、人気漫画『るろうに剣心』の作者・和月伸宏氏をネタにした、ネット上の書き込みです。
うまいこと言う人もいたものですが、面白がってばかりもいられません。
児童ポルノ動画所持はれっきとした犯罪です。

Twitterトレンド入りしたしまぶー


この和月氏・書類送検の一件で、流れ弾を食らった意外な人物がいます。かつて週刊少年ジャンプで連載され、アニメ化・映画化もされた人気漫画『トリコ』の原作者“しまぶー”こと島袋光年先生です。

21日に事件の報が知れ渡ると、ネット上では以下のように、しまぶーに関する書き込みが見られました。

「しまぶーの足元にも及ばん」
「しまぶーは女子高生だから和月との溝は深い」
「しまぶーは抜刀したけど和月は型稽古だけだしまぁ」

このように、“しまぶーネタ”を持ち出したTwitter民が多かったために、事件同日の21日に「しまぶー」はTwitterトレンド入りを果たしてしまったというわけです。さすがに気の毒という他ありませんが、気持ちはわからないでもありません。

2002年、しまぶーが女子高生との援助交際発覚により逮捕されて、彼が手掛けていた週刊少年ジャンプの漫画『世紀末リーダー伝たけし!』が打ち切られた一件は、当時のジャンプ愛読者にとっては今も忘れられない、あまりに衝撃的な出来事だったからです。

逮捕された「しまぶー」


『世紀末リーダー伝たけし!』は、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』と入れ替わるように連載が開始された、90年代最後期のジャンプを支えた名作ギャグ漫画です。

リーダー的存在の主人公・たけしが活躍する同作において、島袋先生もキャラクター「しまぶー」として登場。たけしやゴン蔵といった主要キャラとも頻繁に絡んでいたため、読者にとってもなじみ深い存在でした。

そんな子供たちの人気者・しまぶーが御用となったのは、2002年8月7日のこと。出会い系サイトで知り合った当時16歳女子高校生に、現金8万円を渡して援助交際に及んでいたことが発覚して逮捕されたのです。
しかも、一度きりの過ちではなく、別の女子高校生2人に対しても買春行為をしていた「常習犯」だったということも後に明らかになりました。

『『世紀末リーダー伝たけし!』は連載打ち切りに


この事実を重く受け止めた週刊少年ジャンプ編集部は、同月、同誌39号の誌上に「『世紀末リーダー伝たけし!』連載終了のお知らせ」と題した謝罪文を掲載。
『たけし』の打ち切りと、発売予定だったコミックス第25巻の発売中止の旨を報告したのでした。

一連の騒動は、当然ながら漫画界に大きな波紋を呼びました。
しまぶーと同時期デビューの盟友・尾田栄一郎は、週刊少年ジャンプ2002年40号の巻末コメントで「そりゃ世間の言う通りですが、人の立場の変動により、とたんにキバをむく人間の形相が僕は一番恐い。」と述べ、『グラップラー刃牙』シリーズの作者・板垣恵介は集英社の対応を批判するなど、しまぶーに同情的見解を示していたものです。

結局、しまぶーは2002年10月29日に、懲役2年・執行猶予4年の判決を受け、しばらくは活動自粛。しかし、2004年に『スーパージャンプ』での連載によりカムバックし、2008年には『トリコ』連載開始という道を歩みました。

ジャンプスクエアで連載中だった『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚・北海道編ー』の休載が決まった和月先生ですが、果たして彼の場合、復帰にどれくらいの期間を要するのでしょうか……。
(こじへい)
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