連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第9週「なつよ、夢をあきらめるな」53話(5月31日・金 放送 演出・田中正)視聴記録


仲直り!
兄・咲太郎を怒ったなつだったが、咲太郎の描いた家族の絵を見て、謝りに行く。
お父さんの描いた絵を模写して心の支えに生きてきた兄の言葉にしない気持ちを思う、広瀬すずの表情が深い。
まるで出汁を丁寧にとったお味噌汁を朝、ゆっくり頂いているようだ。


訪ねて来たなつに「この部屋臭くないか」と気を使う咲太郎。でもけっこうどころか全然片付いている。むしろ、いまの時代だったらおしゃれな趣味のお部屋という感じだろう。絵とかポスターとかたくさん飾ってあって演劇の本も置いてあって。がさつなようだが、繊細で真面目であることが感じられるよう。まあ、もうちょっと雑然としていても面白かった気もするが。朝ドラファンの姑、小姑に清潔感をアピールしたほうがいいだろう。

兄にひどいことを言ったことを素直に謝るなつ。9月の試験をもう一度受けて「見返す」と言う。

咲太郎「自分のために生きてないやつは人のことも助けられない いまの俺じゃ誰の力にもなれない」
なつ「お兄ちゃんはそこにいるだけで私の力だよ」

このやりとりは、自分のために生きるのか誰かのために生きるのか問題の解答でもある気がする。そこにいるだけでいい。生きてるだけでいい。
しっかりした朝ごはんもいいが、パンをかじるだけでもいいのだ。なんのこっちゃ。ともかく仲直りした咲太郎は元気にサンドイッチマンをやり、なつはそんな咲太郎の絵を描く。朝からじーんとなった。この兄妹、しょっちゅう喧嘩してすぐ謝って仲直りしている。それだけ複雑な感情があるのだろう。恋愛ものでなく兄妹ものでこういう好き過ぎて怒ってしまう関係性を描くのはエモい。

合格!
なつが珍しく色を塗っていると思ったら、仕上げの入社試験を受けるためか、彩色の勉強をしているようで、試験ではセル画を塗っていた。
そして、見事、合格。「やったやったやった」と足をバタバタさせる広瀬すず、かわいい。
十勝の柴田家もなつの席に木彫りの熊を置いてお祝いする。
札幌の北大に行っている夕見子も電話をしてきて「負けたらつまらんぞ」とじいちゃんみたいなことを言って応援する。

皆に祝福されて、なつはアニメーターとして(まずは仕上げから)のスタートを切る。

なつの住まいは川村屋の社員寮から風車へ。訪ねてきたなつに亜矢美が「おばんおばんおばん……」と迎えるのが面白い。最初の頃は「おばんです」と北海道ことばで言っていた(お客さんの故郷の言葉を使うのは「ひよっこ」の月時計みたい)のが「おばんおばんおばん」に変化して、亜矢美のエンターテナーっぷりが感じられる。ショーもお店も客商売だもの。こういうところ山口智子、さすが。

今日は北海道の母・松嶋菜々子、新宿の母・山口智子が出てきたが、前にも書いたが、なつの本当のお母さん、アニメや絵で描かれているだけでどんな人かいっさい言及されてなくて、気になる。

第10週 「なつよ、絵に命を与えよ」(6月3日・月〜 演出: )あらすじ


なつ(広瀬すず)はついに東洋動画に入社。仕上課でセル画に色を塗る仕事を与えられる。先輩の桃代(伊原六花)から手ほどきを受け作業を覚えていくが、緊張のあまりに手が震えてしまう。そんなある日、なつは仲(井浦新)から誘われ、憧れの作画課の部屋を訪れる。下山(川島明)たちとの再会を喜ぶ中、後輩を厳しく指導する女性アニメーターの麻子(貫地谷しほり)を目にし、なつは衝撃を受ける。数日後、なつのもとを背景担当の陽平(犬飼貴丈)が訪ねてきて、十勝にいる弟・天陽(吉沢亮)の近況について語り始めた。

「なつぞら」53話。広瀬すずがやったやったやったと足バタバタさせるのかわいい。いよいよアニメーターに

「なつぞら」53話。広瀬すずがやったやったやったと足バタバタさせるのかわいい。いよいよアニメーターに

第55回(6月3日・月 放送)あらすじ


ついに、なつ(広瀬すず)は、念願の東洋動画に入社。早速、即戦力として仕上課でセル画を仕上げることに。なつが席に着くと、隣で作業していた先輩の桃代(伊原六花)から、挨拶もそこそこに手ほどきを受ける。初めてのことだらけで要領を得ず、いざセル画に向かうも緊張のあまりに手が震えてしまうなつ。昼休みになり、夢中になって絵コンテに見入るなつの元へ、仲(井浦新)と陽平(犬飼貴丈)がやってきて…。
「なつぞら」53話。広瀬すずがやったやったやったと足バタバタさせるのかわいい。いよいよアニメーターに

「なつぞら」53話。広瀬すずがやったやったやったと足バタバタさせるのかわいい。いよいよアニメーターに

「なつぞら」53話。広瀬すずがやったやったやったと足バタバタさせるのかわいい。いよいよアニメーターに

(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順


奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。

佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。
同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。
親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武
編集部おすすめ