平手友梨奈が6月3日、ソロアルバム『無表情な表情』を発売した。2020年に欅坂46を離れてから6年。
今年2月に俳優・神尾楓珠との結婚を発表し、公私ともに新たなステージに立った彼女が放つ、渾身の初CD作品となっている。

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ソロ転向後、『ドラゴン桜』(TBS系)、『六本木クラス』(テレビ朝日系)などで鮮烈なインパクトを残してきた平手だが、2023年の『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)以降、音楽に専念し俳優業では約3年ほどブランクがある。

しかし、今作の全貌を紐解けば、彼女が表現者としていかに研ぎ澄まされ、いつでも女優として最前線に戻れる状態にあるかが証明されている。

2024年の事務所クラウドナイン移籍以降、平手は流行に迎合することなく、独自の音楽性を切り拓いてきた。今作には、移籍後のデジタルシングルに、新曲を含む全10曲が収められている。特筆すべきは、全曲で全く異なる声色と物語を体現している点だ。

強気で大胆なダンス・アンセム『イニミニマイニモ』、幻想的なエレクトロポップ『Shooting Star』、 孤独や絶望を吐き出す『I’m human』、恋人への未練を綴るロックテイストの『俺らの未来』、アニメ『マリッジトキシン』(カンテレ・フジテレビ系)主題歌の『Kill or Kiss』、ピアノとストリングスで悲しみを奏でる『あざ』。

平手特有の低音からキュートな高音、ファルセットまで自在に操るその歌唱は、まさに「十人十色」。10編の短編映画を観るような没入感があり、音楽活動そのものが彼女の演じ分けの幅を広げる場となっていることが伺える。

その幅は、視覚的にも示されている。アルバム特典映像には、MVおよびそのメイキングを収録。『ALL I WANT』ではマフィアとしてラブシーンを、『I’m human』では金髪の若者として人間関係の残酷さを炙り出すシーンを、それぞれ共演者と共に、台詞入りでドラマ仕立てに演じている。


さらに『Kill or Kiss』では、無慈悲な悪役であるヴィランとして初の本格アクションにも挑んだ。同MVには平手が出演した大ヒット映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』のアクション監督も参加し、「凶暴なアクションと、華麗な銃撃戦」を演じた彼女について「センスあるね!」と太鼓判を押している。

もとより平手の身体能力は異次元レベルだ。『ドラゴン桜』(TBS系)では、バドミントン選手として「ジャンプスマッシュ」「股抜きショット」を華麗にこなし、『風の向こうへ駆け抜けろ』(NHK総合)では、騎手として鞍に腰を下ろさず前傾姿勢を保つモンキースタイルで騎乗。いずれも女性には難易度が高いもので、一流指導者を驚かせてきた。

それは単なる器用さではなく、ダンスで培った体幹と、短期間で技術を習得するアスリート並みのストイックさの賜物。そんな彼女にアクション適正があることは、至極当然のことだろう。

また、漫画原作の映画『響-HIBIKI-』で主人公を完全再現し、数々の新人俳優賞を受賞した経歴も持つ平手。MVでは、青髪やピンク髪など奇抜なファッションやヘアカラーも難なく乗りこなし、漫画やアニメから飛び出してきたようなビジュアルは進化し続けている。この数年女優業から遠ざかっても、様々な人気漫画の実写化に際しては「このキャラは平手友梨奈に演じて欲しかった」と切望する原作ファンの声も根強い。

そして、アルバム封入フォトブックは、さながら写真集のような出来栄えだ。欅坂46時代のボーイッシュな面影を残しつつも、磨き上げた肉体美と共に、24歳の女性としてのセクシーさや妖艶さが最大限に引き出されている。
今の彼女なら、これまでにない「大人の女性」らしさ全開の魅惑的な役も演じられるはずだ。

どんな物語にでも舞い降りる没入力、抜群の身体能力、実写化向きのビジュアル、女性らしくも男性らしくもなれる性別を超越した佇まい、そして結婚を機に増したであろう愛情表現。平手を起用したい映像制作陣が多く存在することは、想像に難しくない。

Adoらが所属するクラウドナインは今年に入り、俳優部を新設。平手の肩書も「シンガー 俳優 モデル」のままだ。音楽に専念したこの期間は、意図せずとも結果的に、彼女がいつでも女優業を再開できるような多才さを示す最高の「ショーケース」となった。

まずは、今回のアルバムを引っさげて行われるソロ初の日本武道館ライブ『アナタタチノカルテ』が8月20日に控えている。これまで平手が心血を注いできた音楽業の集大成が見られるはずだ。

引き続きアーティストとして進むのか、俳優業も復活させるのか。「平手友梨奈が2人いれば」と願わずにはいられないが、我々の想像の斜め上を行くその歩みこそが、彼女を唯一無二の存在たらしめている。人生の節目を経て、より深く、より鋭く覚醒した平手友梨奈が放つ次の一手は、表現者としての新章を刻むものとなるだろう。

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