2025-26シーズンのSVリーグ男子は、今シーズンもまた国内トップカテゴリーにふさわしい戦いによるフィナーレとなった。5月15日から17日にかけて横浜アリーナを舞台にチャンピオンシップのファイナルが行われ、大阪ブルテオンが前年度王者のサントリーサンバーズ大阪を下して初のリーグ優勝を果たした。
「いつもどおり」を貫いた大阪B、完成した新チーム
「優勝するためには、相手より1点でも多く得点すること。魔法も、特別にモチベーションを奮い立たせる必要はありません。しっかりと準備はできていますし、考えすぎることなく、シンプルに当たり前のことを当たり前にする、それがファイナルのコートでは大事だと思います」
ファイナルの前日に行われた記者会見で、大阪ブルテオンのトーマス・サムエルボ監督は「いつもどおり」を強調した。今季に臨むにあたってフランス代表セッターのアントワーヌ・ブリザールを補強するという例年とは異なるチームづくりに着手したわけだが、「開幕時点ではコンビが合わない場面があり、選手一人一人のコンディション次第で結果が左右した」と西田有志キャプテンは振り返る。
当然、試合を重ねるにつれてコンビは成熟していき、ファイナルへ到達した時点では「一つ一つのクオリティが高くなったと感じていますし、コンビの精度やブロックディフェンスの質など細かい部分では変化があるかもしれませんが、それは開幕時点と一概に比較になるものではないかと。どういう結果になるか、自分たちも楽しみにしています」と西田は話した。
西田有志のサーブが流れを変えた、大阪Bの逆襲
ファイナルのGAME1では、サントリーが誇る圧倒的な攻撃力にブロックディフェンスを突破され、さらにサーブでも押されて後手に回る展開となり、先勝を許した。だが、その状況になっても大阪Bのメンバーたちもやるべきことをしっかりと把握してきた。サムエルボ監督が口にした「いつもどおり」を。また、その中でも気を吐いたのが他でもない、キャプテンでエースの西田だった。
翌日のGAME2は第1セットを13-25という大差で落とした大阪Bだったが、第2セットは開始時から投入された甲斐優斗が得点を重ねて取り返す。そうして迎えた第3セット、2-2からサーブ順が回ってきた西田は相手エースの髙橋藍(結果的に今季のトップレシーバーに輝いている)からサービスエースを奪う。ここからチームとしてブレイクを重ね、5-2から西田が再現フィルムのようなサービスエースを炸裂。
大阪B・西田がブロック バレーSVリーグ男子決勝 サントリー―大阪B 第1セット、ブロックする大阪B・西田=横浜アリーナ(共同)
「素晴らしいサーブだった」サントリー髙橋藍が明かす胸の内
そして、運命のGAME3はサントリーを攻守で圧倒してストレート勝ちを収める。その最終第3セット、24-18のチャンピオンシップポイントから得点を決めたのは西田。またしても髙橋を強襲するサービスエースだった。試合後に髙橋が明かした、胸の内はこうだ。
「最後も、素晴らしいサーブでした。間違いなく、ファイナルで負けた要因の一つには西田選手のサーブが挙げられます。第2戦からの西田選手のギアの上がり方もそうですし、彼だけでなくミゲル・ロペス選手や甲斐選手のサーブに僕もストレスを感じていました。今日(GAME3)は大阪Bのサーブが走っていた分、自分たちも押されてしまった部分がありました」
西田と高橋藍 バレーSVリーグ男子決勝 試合後、大阪B・西田(手前)と抱き合うサントリー・高橋藍=横浜アリーナ(共同)
攻撃だけじゃない、西田が見せた“進化”
強烈なサーブは西田の代名詞でもある。かねてから本人は「試合の流れを一気に引き寄せられるのがサービスエース」と語っており、今回はファイナルを見守る勝利の女神のハートすら射止め、果たしてチャンピオンシップMVPに選出されている。
ただ、西田が光らせたのは自慢のアタックやサーブだけでない。今季から就任したキャプテンとしてチームをまとめる姿や、昨夏から取り組んでいるトレーナーとの二人三脚による肉体改造もそう。さらに特筆すべきは、レシーブだった。
特にGAME2が象徴的で、サントリーの大砲ドミトリー・ムセルスキーがサーブを打つ際にはサーブレシーブに参加していた。
西田がポジションに就くオポジットは、いわゆる「攻撃特化型」であり、アタックに専念するためにサーブレシーブから外れるケースがもっぱらだ。だがアウトサイドヒッター2人とリベロと並ぶかたちでサーブレシーブに参加し、実際にボールを返球する姿も。さらには後衛でムセルスキーが放つ強烈なスパイクを拾い上げるシーンが見られた。こちらは「守備専門」のリベロ、大阪Bの山本智大はこのように評価する。
「SVリーグはレベルの高いジャンプサーブを打つ選手が多いので、できるかぎりサービスエースを無くす、とにかくボールを上げられるように、という狙いで4人がレシーブに入っています。西田選手はオポジットとしてはレシーブが上手ですから。腕の面がきれいなので、非常にいいと感じています」
もっとも西田本人からすれば、それは当たり前のことを当たり前にやったに過ぎない。
「この競技において飛んできたボールは上げなければいけない。そこは自分がオポジットだから、などは関係ありません。すべてのプレーをうまくやる必要はないかもしれませんが、ボールを拾うことに対する姿勢を感じさせることがやがて結果につながる。僕は(レシーブも含めて)『うまくなりたい』という感情が根本にありますし、それをかたちにすることこそが『努力』だと思うので。
世界基準へ進化するSVリーグ、その現在地
日本代表のエース石川祐希が所属するイタリア・セリエAのペルージャや、強豪国の一角であるアメリカ代表など男子バレーボールでも、オポジットを含めた4人でサーブレシーブを敷くスタイルはれっきとした戦術の一つとなっており、今季のSVリーグでも大阪Bだけでなく、ウルフドッグス名古屋ではオポジットの宮浦健人が実践するシーンも見受けられた。バレーボール界の第一線に立つ者だからこそ、西田もまた最先端に身を投じ、習得し、自らの成長につなげている。そんな姿勢がうかがえたファイナルだった。
そうして大阪Bの初優勝で幕を閉じた2025-26シーズン。「世界最高峰のバレーボールリーグを目指す」ことを掲げて2024年にスタートした大同生命SVリーグは2シーズン目を迎え、大阪Bのブリザールのほか、ジェイテクトSTINGS愛知には東京五輪金メダルのフランス代表オポジットであるステファン・ボワイエ、またWD名古屋のノルベルト・フベル(ポーランド)や東京グレートベアーズのヤン・コザメルニク(スロベニア)ら世界で指折りのミドルブロッカーが来日し、ハイレベルなパフォーマンスを披露した。と同時にWD名古屋の水町泰杜がトップサーバー(サーブ効果率リーグ1位)に、大阪Bの山本智大はトップリベロに選出されるなど日本人選手もそれぞれの持ち味を発揮してリーグを彩った。
一方で、サントリーに直近4度のリーグ優勝をもたらしたムセルスキーや日本バレーボール界を牽引してきた大阪Bの清水邦広が今季かぎりで現役を引退。サントリーの髙橋やリベロの小川智大ら日本代表にも名前を連ねる面々がチームを退団し、新天地へと身を移す。
大阪B・清水が胴上げ バレーSVリーグ男子決勝 優勝を決め、胴上げされる大阪B・清水=横浜アリーナ(共同)
シーズンを振り返っているうちに、次のシーズンがやってくる--。
とは海外のスポーツシーンなどで聞かれることわざだが、それは大同生命SVリーグにも言えたこと。2026-27シーズンはまた違う顔ぶれが各チームに並び、そこでは見るものを魅了するような白熱した戦いを繰り広げるに違いない。
取材・文=坂口功将

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