2026年4月22日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレ(DW)の中国語版サイトは、ホルムズ海峡をめぐる中東情勢の緊迫化の裏で、米中両国が未来のエネルギー覇権をめぐり対照的な戦略で激しく火花を散らしていると報じた。

記事は、米中両国のエネルギー開発戦略には明確な違いが浮き彫りになっていると紹介。

米国では、トランプ大統領が選挙戦で掲げた「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」が単なるパフォーマンスではなく、石油・天然ガスの増産、エネルギー価格の抑制、対外依存の低減を目指す公約の実行方針になっていると解説した。

そして、トランプ政権下の米国がシェール革命を経て世界最大の天然ガス輸出国、主要な石油輸出国へと転じ、クリス・ライト米エネルギー長官提唱の「エネルギー主導」政策を推進していると指摘。コンサルティング会社ユーラシア・グループのヘニング・グロイスタイン氏が、米国は欧州や日本、タイ、インドなどに対し、低関税の条件として米国産エネルギーの長期購入契約を求めていると分析したことを紹介している。

一方で、中国は過去10年で世界最大の二酸化炭素排出国から電力を中心とした新エネルギー革命のリーダーへと変貌を遂げ、中国製の太陽光パネル、蓄電池、電気自動車(EV)が世界市場を席巻していると論じた。

そして、中国が太陽光発電のサプライチェーンの約80%を支配し、2025年の新規風力タービン市場でも約72%を占め、世界のEVの60~70%が中国で生産されていると指摘。同年にはクリーンエネルギー部門が国内総生産(GDP)成長の3分の1以上に寄与したことにも言及している。

記事はその上で、エネルギー専門家のアンドレアス・ゴールドハウ氏が、米国は化石燃料市場に依存して外交政策にその富を利用する「エネルギー主導」戦略を採るのに対し、中国のクリーン技術への注力は気候政策ではなくエネルギー輸入依存を脱却するための経済安全保障戦略であると分析したことを伝えている。

また、国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長が「21世紀のエネルギー安全保障は石油・天然ガスの可得性だけでなく、クリーン技術のサプライチェーンの多様化を意味する」と警告したことに触れ、自国のエネルギー供給を制御するだけでなく他国が必要とする技術そのものを開発している「電力国家」の中国が将来的に勝利するという専門家の見解を紹介した。(編集・翻訳/川尻)

編集部おすすめ