2026年5月4日、韓国・マネートゥデイは「コスパ」を前面に押し出した中国製電気自動車(EV)が韓国市場を狙い撃ちしていると伝えた。米国など主要国の関税障壁が高くなる中、相対的にハードルの低い韓国が中国完成車メーカーの海外拡大拠点として浮上しているという。

自動車業界によると、韓国のEV市場に定着したBYDに続き、吉利汽車(ジーリー)も韓国法人を設立済みで、プレミアムブランド「Zeekr(ジーカー)」のショールーム開設を控えている。小鵬汽車(シャオペン)、奇瑞汽車(チェリー)、小米(シャオミ)も韓国進出の時期を調整中だという。

中国メーカーが韓国市場に力を入れる背景には複合的な要因がある。まず、中国国内市場の飽和だ。在庫処理のため、低価格戦略を武器にグローバル市場へと目を向けている。次に、中国に対して米国市場が事実上、閉ざされていることも大きい。米国は中国製EVに100%を超える高関税を課している。トランプ政権発足後はEVへのシフトも鈍化している。そして、日本はEVエコシステムの整備が遅れているため販売拡大は見込みにくい。一方、韓国はEV販売が伸びている上、関税率も約8%と、中国企業にとって魅力的な市場となっている。

韓国市場の「特殊性」も一因だと記事は指摘する。韓国の消費者はIT機器や自動車を見る目が厳しく、グローバル企業の「テストベッド」となっているという。

韓国で品質と商品性が認められれば、北米や欧州など他の先進市場で成功する可能性が高いとされる。

EV購入時の補助金も、中国製の場合は国産の3分の1程度の額だが、それでも価格競争力は維持されており、中国メーカーが大きく不利になるわけではない。

さらに、中国メーカーは韓国市場への「間接浸透」戦略も強化している。完成車ブランドを前面に出すのではなく、出資や技術協力、部品供給を通じて影響力を広げる方法だ。表面的には韓国ブランドの車でも、基幹技術は中国製というケースが増えている。

代表例がルノーコリアの中型SUV「グランコレオス」で、吉利の技術が用いられており、同社はルノーコリア株の34%を保有している。外観やブランドはルノーだが、技術面では中国企業と結びついた構造となっている。

こうした「迂回(うかい)進出」は直接進出に比べてリスクが低く、ブランドイメージ改善の効果もある。韓国メーカーを介して自然な形で市場に浸透すれば、中国車に対する消費者の抵抗感を和らげ、将来的な直接進出の障壁も低くなるとみられる。

韓国メーカーにとっても、中国メーカーは無視できない。電動化へのシフトにコスト負担が増す中、価格競争力の高い中国製の部品は現実的な代替案となっている。一部の中国ブランドは政府の支援を受け、原価を下回る価格で部品を供給しているという。

こうした流れは単なる価格競争を超え、品質競争へと広がっている。近年、中国製の部品は品質面でも急速に韓国との差を縮めており、特にEVの一部分野では中国が技術的に先行しているとの評価も少なくない。

価格競争力と品質を兼ね備えた中国メーカーの台頭は韓国の完成車・部品エコシステムの競争力低下に直結しかねない。専門家は「一部の分野ではすでに中国ブランドが韓国企業の技術力を上回っており、絶対的な技術で中国を圧倒することは困難になっている」と指摘し、関税によるけん制や現地化戦略などで競争に備える必要があると提言している。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「ソウルの市内バスは中国製のEVだよね。韓国メーカーを苦しめる中国メーカーのバスが韓国の首都を走り回っているのか」「いくらいい車でも買わない。自分の金が中国に行くのが嫌だ」「まずは産業スパイの処罰強化からやろうか」など、中国に対する否定的なコメントが多数寄せられている。

一方で、「中国は韓国以上の資金と人口と技術者で韓国と日本の技術を盗み、今の技術力を築いた。韓国の現代自動車は2000年代までトヨタの技術を盗んで、今の地位まで上り詰めた。中国も韓国と同じだよ」「中国に行ったことのある人は分かるだろう。中国製EVはものすごくいい。EVタクシーにも乗って驚いたよ。

中国のことは好きではないが、内燃機関車の技術では劣るからとEVに絞った中国は懸命な選択をしたと思う」「中国の悪口ばかり言ってないで、われわれも備えをしよう。韓国も10年ほど前まで欧州で冷遇されてたんだから」といった声も見られた。(翻訳・編集/麻江)

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