◆JERAセ・リーグ 阪神3―4巨人(16日・甲子園

 巨人・田中将大投手(37)が甲子園の阪神戦では16年ぶりの白星となる今季2勝目を挙げた。移籍後初のスライド登板で6回7安打3失点の粘投。

初回のボビー・ダルベック内野手(30)の47打席ぶりの一発となる先制3ラン、3回のキャベッジの適時打による4点を守り、移籍後初登板となった伝統の一戦で野茂英雄(近鉄、ドジャースなど)を抜いて日米通算勝利数を202に伸ばした。チームは甲子園で2戦2勝。17日からは敵地・神宮で首位ヤクルトとの3連戦に臨む。

 じっくりと観察し、仕留めにかかった。1点差に迫られた直後の5回2死一、二塁。田中将は狙い通りの外角低めスプリットで、森下に手を出させた。最大の危機を三振で脱出。右手を掲げてスイングをアピールした。今季3登板目で初の無四球、6回3失点の粘投。阪神相手に甲子園で16年ぶりに白星を挙げ「いや~。本当久しぶりに勝つことができたのでうれしいですね」と感慨に浸った。

 移籍2年目で初の伝統の一戦。

初回、佐藤に2ランを浴びるも2、3回を3者凡退とすぐ切り替えた。「丁寧に仕事をする。何とか連勝したい気持ちで」と、7安打を許しながら82球で2戦連続のクオリティースタート(6回以上自責3以内)につなげた。これで野茂英雄を抜き単独3位の日米202勝。阿部監督も「スライド(登板)は精神的にキツかったと思うけど要所を締めてよく粘ってくれた」と、たたえた。

 駒大苫小牧では全国制覇と準V。聖地でその名をとどろかせた。「甲子園の思い出? たくさん」と一つに絞れないのもレジェンドならでは。宝塚ボーイズ時代は熱心に甲子園に通った。「高校野球を見ていた。自分の勉強のため」。スタンドに座って球児のプレーを目に焼きつける。

何か吸収できるものはないかと研究した。野球への真摯(しんし)な姿は37歳の今も変わらない。シーズンでは4年ぶりに、黒土のマウンドへ帰ってきた。

 名球会投手の原点を培ったのも地元・兵庫。小中学校時代は捕手で、打者を徹底的に観察し配球に生かす癖がついた。「僕のピッチャー人生はずっとそう。キャッチャーを長いことやってきたから、それを自分の武器やと思ってる。他の投手より配球を自分で考えて投げているのが強みやと。中学、高校、プロ入ってからもそう。ずっと思ってきた」。勝負どころは決して間違えない。この日もツーシームなど6種の変化球で多彩に猛虎打線をかわした。

 雨天中止の15日からスライドでの出番。「全然難しいと思っていないので別に何とも」と頼もしい気概で2連勝に導いた。楽天時代から、試合中止の翌日に先発した試合では計5戦3勝無敗。開幕からチーム最年長がフル回転で貢献している。「捕手と意思疎通して、いい配球で抑えられた。今日は喜んで、次に向けて調整していきたい」。ヒーローインタビューで浴びた無数のフラッシュ。甲子園の主役はやはりこの男だった。(堀内 啓太)

 ◆掛布雅之Point 田中将の投球からは、ピンチで絶対にコントロールミスしない意思が伝わってきた。初回に佐藤に2ランを浴びたインハイのストレートも失投ではなく、コースにきっちり投げ切っていた。かつての剛球は投げられなくなっても、丁寧に低めに集め、多彩な変化球で球速差をつけていた。肉体的にも精神的にも疲れる我慢の投球は素晴らしかった。

(スポーツ報知評論家)

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