◆JERAセ・リーグ 巨人5―1中日(22日・前橋)

 ボールの勢いそのままに、巨人のドラフト1位・竹丸和幸投手(24)の体がくるりと舞った。4回無死から連打を浴びて迎えた2死一、三塁のピンチ。

代打・辻本をアウトコースいっぱいの149キロ直球で見逃し三振に仕留め、ゆっくりとマウンドを降りた。「しっかり腕を振って、ピンチを脱することができたので良かった」。投げた勢いでずれた帽子を、丁寧にかぶり直した。

 緩急で翻弄(ほんろう)し、三振の山を積み上げた。2回まで、奪ったアウトは全て三振。「チェンジアップも良かったですし、真っすぐが良かったのでより生きた」。中11日と万全の状態でマウンドに上がり5回1失点、プロ最多を更新する10奪三振。球団の新人左腕では伊藤芳明以来、67年ぶり2人目となる2ケタKで、阿部監督も「チェンジアップが効果的に効いていた」と大絶賛した。2回1死二塁の打席では中前にうれしいプロ初安打で好機を広げ、一挙4得点にも貢献。すべてがうまくかみ合った。

 不慣れなマウンドを苦にしなかった。今季3登板は全て東京Dで、同球場は自身初。

それでも「社会人のときはそんなところ(でやる試合)ばっかだったので、あまり気にしたことがない」。社会人時代は関東に限らず数々の地方球場を経験。多くの球場で投げてきた実績は自信となって積み重なった。この日は傾斜の緩さを感じつつも、回を重ねるごとに順応。「徐々にあってきて、最終的にはいい感じで投げられた」と納得の表情を浮かべた。

 24歳、まだまだ進化の途中。球団初の新人開幕勝利を飾った開幕戦の2日前、実はジャンプ測定でキャンプから過去最高の数値をたたき出していた。ブルペン、ランニングも好感触で体の仕上がりは最高潮。勢いそのままにマウンドに上がり、6回1失点で巨人の歴史を変えた。

 一般的に、登板翌日は疲労などが原因でパフォーマンスは下がるもの。しかし2勝目を挙げた10日のヤクルト戦(東京D)の次の日に計測すると、なんと登板2日前の数値を超えていた。神田トレーナーも左腕の底力に「自分の体を動かせる能力はピカイチ。

だからこそもっと伸びしろを感じる」と期待を寄せるほど。どこまで成長するのか、天井は計り知れない。

 これでチームトップの3勝目。「次も勝てるように頑張ります!」。ナイターの明かりに照らされ、自信あふれる瞳がキラキラと輝いた。(北村 優衣)

【記録メモ】

 ▼…新人の竹丸(巨)が10奪三振。巨人のルーキーで1試合10三振以上は(★は左投手)

36秋 沢村栄治(2度)

59年★伊藤芳明(1度)

79年 江川 卓(2度)

86年 桑田真澄(1度)

95年 河原純一(1度)

99年 上原浩治(3度)

03年 木佐貫洋(6度)

 〃  久保裕也(2度)

11年 沢村拓一(1度)

13年 菅野智之(4度)

17年 畠 世周(2度)

26年★竹丸和幸(1度)

 チーム全員が新人だった36年の沢村栄治を含め、17年8月27日阪神戦で11三振を奪った畠以来12人目。左腕では59年9月2日大洋戦で11Kの伊藤=写真=に次いで2人目だ。

 ▼…竹丸は3勝目。巨人の新人で4月までに3勝以上は、15年4月までに4勝を挙げた高木勇人以来。左腕になると、07年4月までに3勝の金刃憲人以来になる。

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