長いトンネルの中で、何をもがいていたのか―。ドジャース大谷翔平投手(31)が6日(日本時間7日)のアストロズ戦で、26打席ぶりの安打を放ち、自己ワーストを更新していた連続打席無安打を脱出した。

A・ベイツ打撃コーチ(42)が7日(日本時間8日)までに取材に応じ、スランプの要因、修正に時間がかかった理由などを分析した。8日(日本時間9日)からは本拠地・ブレーブス3連戦を手始めに13連戦がスタート。昨年絶好調だった5月の本拠地初戦で、弾みを付ける8戦ぶり7号に期待がかかる。(取材・村山 みち)

 出口の光が差し込んだ。大谷は6日(日本時間7日)のアストロズ戦の第2打席で、自己ワーストを更新していた連続打席無安打を25で止めた。一気に2安打し、再び歯車がかみ合う予感を漂わせた。4度のMVPを誇る男でさえもなかなか抜け出せなかった長いトンネル。そこでは何があったのか。ベイツ打撃コーチが口を開いた。

 「打撃のズレは急ではなく、時間の経過とともに少しずつ積み重なる。試合ごと、スイングごとに。非常に小さく、わずかな変化なので気づかない。

例えば左腕との対戦が数回続いて、少し(自身の両つま先を結んだ線と、投手と本塁を結んだラインとが平行になるように)スクエアに構えたとする。その後に右腕と対戦しても、感覚が体に残っているから、おかしな感じになる。構えのズレは、一晩で起きるような劇的で大きな変化ではない」

 大谷は修正点を「一番は構え」と強調していた。チームもテクノロジーでサポートしていた。

 「『ズレ』を計測すること。我々には測定数値やデータがあるが、追跡できるものはすべてある。打撃担当チームがあり、皆がそれぞれの立場で関わっている。たいてい彼は自分から『何かがおかしい』と言ってくるので、我々はデータや情報、ビデオや写真を提供してそれを示す。翔平に限らず、どんな打者でも、調子が悪い時は視覚的にそれを示されないと分からない」

 だが可視化され、ポイントは理解できても、すぐに不振から脱出できるわけではない。本来の形に戻ってから、さらに時間を要する作業が始まる。

 「正しく修正した直後は違和感というか、ひどい感覚に陥るもの。なぜなら、自分の頭の中にあるイメージとは似ても似つかないように感じる。

翔平は非常に探究心が強く、常に学ぼうとする姿勢があって、同時に非常に大きな負担を抱えている。だから我々の間では、(修正するための)こういう会話は自然に発生する」

 その中で、大谷のある能力を絶賛する。英語力だ。メジャー9年目に入り、円滑なコミュニケーションも可能になっている。

 「彼は愛想が良くて常に素晴らしい。言葉の壁に関しても、24年と比べて今の彼の英語力は信じられないほど上達している。だから、そういった意味での距離はまったくない。冗談も言えるし、他の選手と同じように接することができる。最も重要なのは、彼らを全員同じように扱うこと。みんな、大きな子供のようなものだし、彼も教えやすいよ(笑)」

 先月26日(同27日)の本拠地・カブス戦で移籍後最長ブランクの12試合&60打席ぶり6号を放ったが、現在は再び7試合ノーアーチ。それでもベイツコーチは心配していない。

 「彼は他の選手より大きくて強い。

だから何試合出てないとか、そういう見方はしない。むしろ、どんな打球を打っているか、どれだけ芯で捉えているか、どんな球に手を出してるか。本人との対話を通して、何を感じてるかを探る。翔平の場合、状態がいい時はライナーがそのまま本塁打になる。芯で捉えれば、基本はフェンスを越えていくからね」

 ◆大谷の25年5月の爆発 エンゼルス時代の23年6月に並び、月別では自己最多となる15本塁打を放ち、打率3割9厘、27打点。内訳はビジター16戦では63打数19安打(21三振)、8本塁打、15打点だったが、ホームは11戦で47打数15安打(10三振)、7本塁打、12打点、打率3割1分9厘とさらに打ちまくった。

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