◆第21回ヴィクトリアマイル・G1(5月17日、東京競馬場・芝1600メートル)追い切り=5月13日、栗東トレセン

 栗東で最終追い切りの取材を重ねていくうちに驚いた。実はこの日、出走予定馬がすべて坂路追い。

今の日本競馬は当週にソフトな調整で仕上げるのが通例で、今週は長距離輸送を控える牝馬たちだったとはいえ、あまり記憶にない。

 当週に控えるぶん、重要度が増しているのが1週前追い切り。その大事な調教に“変化”を加えてきたのがラヴァンダ(牝5歳、栗東・中村直也厩舎、父シルバーステート)だ。今までの1週前は栗東・CWコースで併せ馬が多かった。前走時は手綱を動かしつつ、ラスト1ハロン10秒7という珠玉の伸び。「やればいくらでも時計が出る馬ですから」と説明する中村調教師の言葉も納得の動きだった。

 しかし、レースでは見せ場もない8着。そこで動いた。今回の1週前は単走で手綱が動かされることはない。最後まで楽な感じで6ハロン83秒5―11秒3。時計は目立たないが、2回ともに1週前追い切りに騎乗した岩田望は「前走は1週前にやり過ぎて、それが結果につながらなかったので、今回は馬なりでした。動きは良かったですし、いい感じの1週前でした」と確かな意図を説明した。

 今週はいつもの当週と同じ坂路で53秒3―12秒0。気持ちよさそうに駆け上がる姿が印象的だった。「反応よく、余力残しで変わりないです」と語る中村調教師の表情は満足そうに映った。繊細な牝馬たちによる頂上決戦。“攻めない勇気”が好走を呼び込んだとしても驚けない。(山本 武志)

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