◆第87回オークス・G1(5月24日、東京競馬場・芝2400メートル、良)

 歴史的快挙だ! 第87回オークスが24日、東京競馬場の芝2400メートルで3歳牝馬18頭で争われ、5番人気のジュウリョクピエロに騎乗したデビュー5年目の今村聖奈騎手(22)=寺島厩舎=が、JRA所属の女性騎手として初のG1制覇の偉業を達成した。JRA所属女性騎手初のクラシック騎乗で、5着まで首、首、首、頭差の大接戦を制し、「夢を見ているみたいです」と満開の笑顔を咲かせた。

 大接戦の興奮は、一瞬にして祝福の嵐に変わる。新たに生まれたヒロインたちへスタンドから割れんばかりの拍手と、「聖奈」コールが包み込んだ。その中心で今村とジュウリョクピエロが、まばゆいばかりの輝きを放っていた。

 各馬が横に広がった最後の直線。今村には光が差すようにビクトリーロードが見えていた。ジュウリョクピエロは一歩、一歩前との差を詰める。真ん中を力強く割った先に待っていたのが、首差でつかみ取った歓喜の瞬間。鞍上は右手を突き上げた。「夢を見ているみたいです」。最高の笑顔でJRA女性騎手のクラシック初騎乗、初G1制覇の快挙を喜んだ。

 パドックの時点で発汗が目立ち、テンションが心配されたジュウリョクピエロ。「すごく危なかったです。

気が入っているなという感じでした」と鞍上は不安を覚えたが、スタート前には落ち着きを取り戻した。ゲートを出て、後方からの競馬を選択。「彼女のことは一番分かっている」と呼吸は乱れない。2番人気のラフターラインズの直後。有力馬を目標にしながら、抜群の手応えで直線を向いた。「馬群は狭かったですが、馬が導いてくれました」と強い信頼関係で結ばれた人馬がゴールへ突き進んだ。

 順風満帆な道のりではなかった。デビュー1年目の22年は華々しい活躍で51勝を挙げ、7月にCBC賞を重賞初挑戦で初制覇。しかし、2年目は25勝と半減。3年目は右肩脱臼などもあり、6勝まで落ち込んだ。「けがもしたし、(良い時との)ギャップもあって、すごくしんどかった」と当時を振り返る。環境を変えるため、25年の春に美浦での長期滞在を決断。

これが転機になった。師匠の寺島調教師も「帰ってきてから吹っ切れて、雰囲気が良くなった」と成長を実感。本人も「1年前の自分はまさかこんなこと(G1勝利)になると思っていなかったので、人生何が起こるか分からないな」とドラマのような展開に驚きを隠さなかった。

 忘れな草賞からの連勝で樫の女王に就いた。「四六時中カメラを向けられたり、ストレスがあったと思うので、ゆっくりしてもらいたい」と最高の相棒をねぎらった。凱旋門賞(10月4日、ロンシャン競馬場)にも登録済みで、今後は国内外のレースが候補となる。「注目されることが多いですが、彼女なら男気あるところを見せてくれると思うので、一緒に頑張りたいです」と先を見据える。若き人馬の未来は明るい。(三戸 達也)

 ◆女性騎手のJRA・G1制覇 今村がJRA所属の女性騎手として初のクラシック&G1制覇を成し遂げたが、過去JRAではロシェル・ロケット=ニュージーランド=が02年中山大障害(ギルデッドエージ)でJG1を初制覇。レイチェル・キング=英国出身、豪州拠点=が25年フェブラリーS(コスタノヴァ)で平地G1女性騎手初制覇を飾っている。

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