長嶋茂雄が「国民的ヒーロー」となった日。それが1959年6月25日だった。
鳴り物応援が禁止され、どこか厳粛な空気が漂う中、巨人・藤田元司、阪神・小山正明の両エースが先発した。長嶋は「4番・三塁」、新人の王貞治が「6番・一塁」でラインアップに名を連ねた。
巨人は1点を追う5回に長嶋が同点ソロ、続く坂崎一彦も一発を放って逆転。だが、阪神も譲らず、6回に3点を取ってひっくり返した。劣勢の7回に同点2ランをたたき込んだのが王。のちに106回を数えるONアベックアーチの“第1号”だった。
天覧試合を前にスランプ気味だった長嶋だが、「国民が注目しているビッグゲームは不思議と力が湧いてきた」。4―4で迎えた9回裏、先頭で打席へ。宿敵・村山実の速球をジャストミートすると、打球は左翼ポール際へ吸い込まれた。
「天覧の中でホームランを打ったこと自体が、野球人として最高の栄誉」。プロ2年目だった長嶋が、キャリアのハイライトとして挙げるこの一戦。「職業野球」を国民的娯楽の地位に押し上げ、自らがその象徴となった。










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